印象主義、原始主義…と見てきてついに今日は、かの有名な「十二音主義」を取り上げるのかな!? と思われるはずですが、こちらに関してはyuccaさんの連載「ちょい聴きから始める現代音楽」の方でわかりやすく取り上げていただいているのでぜひお読みいただければと思います。
▶︎どうして「無調」がうまれたの? 新ウィーン楽派 ⑴
▶︎シェーンベルクが生み出した「十二音技法」 新ウィーン学派(2)
このあたりの音楽は現代においても一般的には “難解である” という認識が強いですが、それは当時も同じだったようです。第一次世界大戦が終息し、一時的な安寧の中で、複雑なリズムや不協和音のない “わかりやすい” 音楽が求められ、「新古典主義」が登場します。
フランス6人組の活動
その流れの中で、フランスで活躍した作曲家集団(通称:6人組)がいます。
- ルイ・デュレ(1888〜1979年)
- アルテュール・オネゲル(1892〜1955年)
- ダリウス・ミヨー(1892〜1974年)
- ジェルメーヌ・タイユフェール (1892〜1983年)
- フランシス・プーランク(1899〜1963年)
- ジョルジュ・オーリック(1899〜1983年)
彼らはハイドンのソナタ形式やラモーの組曲形式を模範として、音楽を “本来の” 姿に戻すべく活動しました。今日は彼らの作品の中から、2つの名曲をご紹介します。
ミヨー『屋根の上の牡牛』
ブラジルの大衆音楽や舞曲の要素を多分に含んだバレエ音楽。曲名自体、ブラジルの古いタンゴに由来しているそうです。
小気味よい音楽で思わず踊り出しそうになるキャッチーさがあるのですが、実際は調性もリズムも違う複数の音楽を同時に鳴らす技法が使われています。ただ、半音階的な進行がないために、難解という印象は受けないようです。芸術音楽と大衆音楽、その狭間で、しかし無理なく快活に創作活動をした人物、それがミヨーなのですね。
タイユフェール『ハープのためのソナタ』
フランス6人組の中で唯一の女性、タイユフェール。非常に才能あふれる女性だったそうで、作品も多数残しています。私としては、ぜひこちらのハープソナタをお聴きいただきたいのです!
この時代にもなるとハープ作品も増えてくるのですが、女性の書いた曲は男性作曲家の書いたものとはやはり趣向が違うなと感じます。思想色が強いというか、内面性が強いものが多いように思うのです。こちらの曲も、ソナタという古典的な形式ではありますが、女性でありながら芸術界の第一線で活躍したタイユフェールの目線を通した、新しい世界へ希望や活力が反映されているように感じます。
さあ、時代もいよいよ20世紀へと入ってきて、この連載も佳境に入ってまいりました。夏の終わりが訪れる頃、こちらも終息へと向かいそうですね。それまでもうしばらくの間、ぜひ午後のティータイムのお供にしていただければ幸いです♪
ノリコ・ニョキニョキ
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