From Germany「年に一回のお祭り!オペラハウスの『無料開放日』に行ってみた」


秋の香り漂うドイツより、みなさん、Guten Tag(こんにちは)!! ヴィオラ奏者のあきこです。海外の演奏会をレポートしていく連載「World Concert Tour」第 4 弾は、ベルリンの秋ならではのイベントをお伝えします。

8 月下旬から 9 月上旬にかけ、ドイツではオーケストラの新シーズンが一斉に始まります。シーズンオープンのコンサートももちろん行われるのですが、ベルリンにあるオペラハウスではシーズン始めに「Tag der offenen Tür」というイベントが開催されます。直訳すると「開かれた扉の日」、要するに無料開放日です!

ちなみに、「Tag der offenen Tür」という無料開放のイベントは、オペラハウスに限らず博物館や歴史的建造物など、ドイツではいろいろな形で年中おこなわれています。「Tag der offenen ◯◯(開かれた◯◯)」という名称に統一されているので、観光の際などにチェックしてみると良いかもしれません。

さて、私が今回行ってきたのは、ベルリン・ドイツ・オペラの無料開放イベント。おととし初めて行って以来はまってしまい、昨年に引き続き 3 回目の参加でした(笑)。このイベント、何がすごいかというと、ベルリン・ドイツ・オペラとベルリン国立バレエ団が総出で、14時から夜まで劇場のありとあらゆる場所を使ってさまざまな催し物を開いているのです!

実際に使われた衣装の展示。これらの豪勢な衣装は、実は非常に重い!!

たとえば、2階席のロビーでは、衣装部門が衣装を展示していたり、シャツのアイロンの実演(!)をしていました。また、実際に着られる衣装や被り物もたくさん出ていて、来場者は一日それを着て会場を回ることができます。

実演用の大量のワイシャツ…

さらに、その横ではメイク部門舞台化粧体験をしていて、子供たちに動物の顔のメイクをしてくれたり、衣装を着ているとそれに合ったメイクをしてくれたりします。そのほかにも舞台スケッチの実演やレクチャーなど、ここだけでもたくさんのイベントがおこなわれていました!

大ホールでは 45 分程度のイベントが入れ替わり立ち替わり開催されています。まずは、例年、開始直後に超満員になるバレエ団の公開リハーサル。今年のリハーサル演目はプロコフィエフの『ロミオとジュリエット』で、バレエ団の総監督の指導の下、録音音源に合わせて群舞やパ・ド・ドゥなどが次々に練習されていきました。途中で音源がうまく流れないというアクシデントが発生し、ダンサーさんが手拍子で拍を取り始めたので、観客が合わせて手拍子をし、逆に盛り上がるなんて一幕もありました。

バレエリハーサルの様子。手前にいるのが総監督

大ホールでバレエリハーサルと同じく大人気なのが、一日のうちに 2 回おこなわれる舞台技術のショー緞帳(どんちょう)や可動式舞台の紹介に始まり、照明せり音響効果など、オペラ上演時に使用されるすべての技術が紹介されていきます。言葉での説明だけでなく実際にその技術を使った寸劇もあり、それもわかりやすくおもしろいので、大人から子供まで楽しめるのです。内容は残念ながら 3 年間ずっと同じなので、私はもう何度も同じものを観ていますが、それでも毎度その膨大な技術に感心させられ、終わったあとには必ずもう一度観たいと思わせられます。

船が荒波に遭った様子を、ウィンドマシーンやドライアイス、後方スクリーンに映し出される波、上から吊るされたロープを使って上演

大ホールで大きなイベントが催されている間にも、舞台裏ツアーや、バレエ団のスタジオリハーサル、楽器体験や子供向けのオペラ…など、劇場全体を使って同時進行でイベントがおこなわれています。

ロビーではミニコンサートがたくさん!

今年初めて参加してみたのは、大ホールでの合唱体験。合唱指揮者と劇場専属の伴奏者の指導のもと、有名なコーラスをお客さんに体験してもらう企画です。実際に楽譜も配られるのですが、今年の曲目はモーツァルトのオペラ『魔笛』の最後のコーラスでした。

楽譜が配られてみんなで初見。舞台上にいるのが合奏指揮と伴奏者

すぐ歌うには簡単ではないこのコーラス、合唱指揮者は「まぁまずは一度歌ってみましょう」とまさかの無茶振り。一応聖歌隊出身だしまぁやってみるか…と歌いだすと、後方にものすごい声量の集団が。このシーズンから就任したイギリス人合唱指揮者を応援してか、そのあとのコンサートの発声を兼ねてか、はたまたただ単に面白半分でか、劇場のホンモノの合唱団員さんがサクラで参加していて、本番並みの声量で思いきり歌われていました。これにはお客さんも拍手喝采!

あまり時間がなかったのとコーラスが難しかったのとで、歌唱体験という点では少し消化不良でしたが、全然お客さんに紛れていないサクラの合唱団員さんがおもしろかったり、慣れないドイツ語で頑張る合唱指揮者さんがほほえましかったりで、大盛り上がりのうちに終わったのでした。

そしてこのイベントの最後を飾るのが、シーズンオープニングのコンサート。オーケストラがオーケストラピットに入り、オペラのアリアがたくさん演奏されました。個人的には、フランスの作曲家ビゼーの知られざるオペラ『真珠採り』の中の大好きなアリアを聴くことができたのが、とても嬉しかったです。

ちなみに、このコンサートのあとには、オペラのレストランにて裏イベントのような形でジャズとビッグバンドのライブがおこなわれていました。

たった一日だけの無料開放日ですが、オペラハウスの表側と普段なかなか見ることのできない裏側を、趣向を凝らして公開していて、初めての人や子供からコアなファンまで楽しめるとても素敵なイベントでした! たまにこういったものを訪ねてみると、普段のコンサートやオペラもさらにおもしろくなりますね♪

映像で見る無料開放日の様子(一昨年のもの)はコチラ↓