3つの条件で音楽はもっと楽しくなる! スタジオWeb予約プラットフォーム『スタジオル』が生まれたワケ

音楽家であれば、誰もが一度は音楽スタジオを利用したことがあるのではないでしょうか。しかし、なかなか探すのが大変だったり、予約が取れず練習ができなかったりしたことはありませんか?

今回は、そんな問題点を解決したいと考え音楽スタジオ Web 予約プラットフォーム『スタジオル』を運営しているという、株式会社スタジオルの代表・山地 瞭(やまじ りょう)さんにお話しを伺いました。


スタジオと音楽家をつなぐサービス『スタジオル』

− 改めて、『スタジオル』について教えてください。

「一言で言うならば、音楽スタジオや音楽を練習できる施設の Web 予約に特化した、Web 予約プラットフォームになります。スタジオ利用者とスタジオ経営者、双方へ向けたサービスを展開しています」

− なるほど。スタジオ利用者にはどのようなサービスを提供していらっしゃるのですか?

「『スタジオル』に登録したスタジオ利用者は、自分の利用したい条件でスタジオを検索することができます。検索条件にあった空いている部屋のあるスタジオの一覧が出てくるので、そこからさらに Web 予約ができるというサービスです。利用時間や人数、設備や最寄り駅などさまざまな条件で検索・予約することができるようになっています」

− 『ホットペッパー』のようなサービスの音楽スタジオ版というわけですね。では、スタジオ経営者向けのサービスというのは?

「『スタジオル』を導入されたスタジオは、このシステムにより管理画面で Web 予約、電話・店頭予約が一元管理できます。予約情報を全て Web で管理することにより稼働率や売上情報の分析まですることができ、このシステム1つでスタジオ経営ができるようになっています。また、店舗紹介ページも作成できるので、部屋の広さや写真、機材等設備も記載することが可能です」

− スタジオ利用者と経営者をつなぐことで、どちらにもメリットがうまれるという仕組みなのですね。ところで、『スタジオル』という可愛らしい名前ですが、どんな思いを込められたのでしょうか?

「スタジオとスタジオ利用者をオンラインでつなぎたく、studio と online をかけて studi-ol という名前にしました。また、Twitter などの SNS で見かける、スタジオを使うことを意味する言葉『スタジオる』ともかけています。このオンラインのサービスでスタジオと利用者はもちろんのこと、利用者同士もどんどんつながっていって欲しいという願いが込められています」

ピアノクラブ活動を通して見えた、音楽ビジネスの課題とチャンス

北海道大学時代にピアノを弾く山地さん

− 続いて起業に至った経緯等をお聞かせください。新卒で2年働かれてすぐに起業をされていますが、思い切った決断ですよね。

「2年勤めた会社がものすごくよいところで、新卒にもかかわらず2年間いろいろな経験を積ませていただき、その濃密な時間の中で、次第に将来的にひとりでやっていけるのではと思うことができました。また、旅館などには Web 予約のポータルサイトがすでに導入されていたので、この業界で新たなサービスを開発をするならば自分が早くやるしかないと思い、起業を決めたのです」

− そもそもなぜ音楽業界でビジネスをしようと思ったのでしょう。

「昔からピアノを習っていて、進学した北海道大学でもピアノクラブに所属し部長を務めるほど、音楽には親しんでいました。

このサークルがすごくて、毎年たくさんの初心者の人たちが入ってきていたのですが、彼らが4年間長くピアノを続け、すごくうまくなっていくのです! 中には経験者よりもうまくなる人も。そんな状況を見たとき、楽器への憧れをもっている人が僕が思っているよりたくさんいることや、始めるのが遅くても楽器を楽しむことはできるのだなと知ることができたのです」

− その頃から起業のビジョンはあったのですか?

「前述のようなピアノクラブでの経験を通して、将来的に楽器のハードルを下げるというコンセプトで起業をしたいと思うようになりました。実は、学生時代にビデオ通話を利用して音楽レッスンを受けられるサービスを作ってみたこともあります。これはあまりうまくいかなかったのですが…(笑)」

− 音楽スタジオの Web 予約プラットフォームという着想はどこからきたのでしょうか。

「自身の幼少期はピアノが家にありましたし、北大にも練習室があったので練習場所に困ることはありませんでした。ところが、社会人になってドラムを始めたみたところ、ドラムセットを買っても家に置けないし、主にスタジオで練習せざるを得ず、練習場所の確保が非常に大変でした。また、ほとんどのスタジオが予約は電話での受付のみだったため、片っ端から電話をかけて今日入れるか聞かなければならず、その面倒さから次第に練習をしなくなってしまいました。

しかし、それではもったいないと思い、今のインターネットの技術を使えば空いているスタジオを即座に予約できるサービスが作れ、僕のように練習場所に困っている人たちがもっと練習できる、そして練習したくなるのではないかと思い、音楽スタジオ専用の Web 予約サービスの開発を決意しました」

山地 瞭の考える楽器を続ける“3つの条件”

− 先ほど、楽器のハードルを下げたいとおっしゃっていましたが、具体的にどのようなことをが重要だとお考えですか?

「ここにもピアノクラブでの経験が影響しているのですが、僕は、楽器を続けるには3つの条件が必要だと思っています。1つ目は、場所。練習場所だったり発表会の場所だったり、演奏をアップロードするならばたとえば YouTube という場所が必要です。ピアノクラブの場合は朝から晩まで使える部室がありました。

次に必要なのは、道具。楽器や楽譜といったものです。最後に一番大事なのが、。一緒に練習をしたり演奏したりする仲間や、演奏を聴いてくれる人、そして教えてくれる人が居てくれることはこの上なく重要なことです。

これらの3つの条件が揃うことで楽器を続けたり、楽器に楽しく取り組むことができると思っており、『スタジオル』ではまずこの第1の条件、『場所』=音楽スタジオのハードルを下げることから始めています」

− ということは、これから残りの条件も『スタジオル』でカバーしていこうと?

「はい、今はまず場所から取り組んでいますが、将来的にはこの3つの要素をカバーし、楽器のハードルを下げるサービスを提供していきたいと思っています。たとえば、利用者同士の楽器の貸し借り・売買ができるようにしたり、利用者同士で情報交換やバンドを組めるマッチングサービスなどを展開できたらと思っています」

− しかしこのような新たなサービスを1から始めるというのはとても勇気がいるような気がしますが…。

「実は、起業をする前に、楽器を趣味にしている(していた)という人たちに、楽器を続ける上での不満や不安はなにかというアンケートを取りました。その結果一番多かったのが、練習場所の確保が面倒・困難、ということでした。それを見たことで、今楽器をやっている人のためには練習場所の問題を一番に解決せねばと思い、まずはそれを根本にすえてサービスを開発することにしました。

また、楽器をやりたい・やりたいと思ったことがある人は日本の全国民中6~7割に上るというデータがあります(ヤマハ社調べ)。しかし、実際にやることができている人はそのうちの7%しかいないそうです。このギャップを埋め、楽器をやりたいという憧れを胸に抱いた人たちがどんどん挑戦できるための環境整備をしたいと思っていますし、楽器という趣味によって彼らの人生がさらに豊かになるのではないかと思っています」

− なるほど。今後の発展を楽しみにせずにはいられません。最後に、読者のみなさまへ一言お願いいたします。

「2017年11月にサービスを開始して以来、スタジオルで Web 予約できる音楽スタジオは現在急速に増えています。僕は誰かに喜んでもらうことなしにはビジネスはうまくいかないと思っており、起業してからはなおさらそう思うようになりました。スタジオのオーナーさんの希望を反映したり、お客さんが喜んでくれるサービスをずっと作り続けたいと思っています。

音楽スタジオ専門というとどうしてもバンドのイメージがあるかもしれませんが、クラシックの方々にもご利用いただけるよう録音設備の有無・生楽器限定(アンプなし)などの条件も検索できるようにしています。また、空き時間を練習場所としてご提供いただける音楽教室・施設などがあれば、ご一報いただければと思っています」


『スタジオル』は、『横浜ビジネスグランプリ2018』で一般部門優秀賞を受賞したり、『かながわ・スタートアップ・アクセラレーションプログラム2018』の指定企業に採択されたりしているそう。

頭の中に描く音楽業界の未来を、自らの手によって切り開いていく山地さんの実行力に感銘を受けるとともに、IT技術の発達によって、ますます音楽業界が盛り上がっていくように感じ、一層楽しみになりました。

スタジオル
Tel: 045-392-9065
Mail:info@studi-ol.com
Homepage:https://studi-ol.com
(スタジオルに出店をご希望の方はこちらをご覧ください)

(注1)
『横浜ビジネスグランプリ2018』で一般部門優秀賞を受賞
http://www.idec.or.jp/kigyo/ybg/2018_report/

(注2)
『かながわ・スタートアップ・アクセラレーションプログラム2018』の指定企業に採択
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/prs/r9459150.html

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    あきこ@シュトゥットガルト

    5歳よりヴァイオリンを、13歳よりヴィオラを始める。東京藝術大学卒業、ベルリン芸術大学修士課程卒業。ベルリン・ドイツオペラのアカデミーを経て、現在はシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団に在籍。