「製本しなきゃ、めんどくさい」
音大生あるあるですねぇ。製本の何がこんなに気を重たくさせるって、キレイに譜面を作るためには、時間と神経の集中を要するから!
従来の製本では、紙の一片すべてにテープを貼ります。
※「製本テープ」はこの場合「医療用テープ(紙or不織布)」または「マスキングテープ」をさす
※セロハンテープは劣化が早く、メンディングテープはちぎれやすいため、製本に適さない
しかしこの方法は「ヨレやすい/時間がかかる/テープの消費量が多い」という三重苦。まして、ぶきっちょさんにはかなりの精神的負担です。
そこで「製本美しい選抜」常連のわたくしは、この三重苦を解消した製本テクニックを開発しました! 「不器用でもできる/速い/テープ長持ち」な、誰もができる「キレイ」な製本方、本邦初公開です!
手順1■楽譜をセット
これは製本の基本ポジション。みなさんすでに実践されていると思いますが、いま一度確認いたしましょう。
製本したい楽譜を横向きに並べます。わたしのオススメは、奥にこれから製本する譜面を置いて、貼ったページを手前に寄せていく方法。繋がった楽譜を机から膝に落としながら進めることができます。
逆向き製本の悲劇は「あるある」、ここで向きに気をつけましょう。テープを貼る面(楽譜面/裏面)や、ページの前後どちらから貼るか、それぞれお好みがあると思いますが、下の表を参考にセットしてください。
手順2■テープを貼る
※わかりやすいように、場面に応じて色付きテープを使用しています
ここからが必見の新製本術。
まずテープを3,4cm切ります(手でちぎってOK!)。なおテープは普段お使いのもので構いません。ちなみにわたくしはマツモトキヨシの「紙テープ」を使っております。
そして、紙にプットオン!
紙と紙を貼り合わせる時には、定規の目盛りの線の太さくらい、スキマを開けます。このスキマの幅を均等にすることが、美しい製本のコツ!! 同じ要領で、1ページにつき上中下3か所留めます。
このときテープがこんなに曲がってしまっても、まったく問題ありません。なおテープの端が紙から出ないようにすると、とてもきれいに仕上がります!
これをページ分繰り返し、すべての紙が繋がったら、束にして背表紙を作ります。このときに「なぜかズレちゃう!」というお悩みが多いのですが、無理やり端を揃えて固定してしまえば勝ちです。
テープの重なった部分が分厚くなっているので、そこを覆うようにして同じ程度の長さのテープで留めます。
上中下3か所を留めて完成です。上だけ色付きを使うと、インデックスのように使えます。
■全部貼らなくて大丈夫!?
テープをそんなにケチって、楽譜は譜面台の上にたっていられるのか? 気になる「耐久性」「実用性」を見てみましょう。
開き心地、問題ありません。スキマのおかげで、ペタッと平らに開きます。
ページ下が止まっているため、めくるときもばらけません。同じくページ上も止まっているため、ピアニストが譜めくりの人をお願いする際も心配ありません!
それでは、筆者の腕にかけて、オケマンのスピードでめくってみましょう!
シュタッ。「耐久性」「実用性」問題ありません!
この方法は、テープを貼り合わせる面積が狭いため、一片すべてを貼り合わせるよりも集中することが簡単です。何よりテープの節約が可能という魅力があります。
また、テープ自体は曲がっても問題ないため、「キレイ」な出来上がりにするためのハードルが下がり、不器用な方でも「やりやすい」のです。
しかも製本って、テープを長く真っすぐに伸ばすために、広い場所がないとできないイメージがありませんか? ところがテープを短く使えば、場所も取りません!
製本がキレイだと、同じ曲を弾いていても心なしかテンションが上がります。美しい音楽は美しい楽譜から。美しい譜面を作りましょう!
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