From Vienna「ウィーンで日本フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴く!」

こんにちは、ウィーン留学中のヴァイオリニストのハルカです♪

海外の演奏会をレポートしていく連載「World Concert Tour」、前回に引き続き会場はウィーンの楽友協会ですが、今回は「黄金のホール」と呼ばれている大ホールにて開催された、日本フィルハーモニー交響楽団ヨーロッパツアー・ウィーン公演をレポートしたいと思います。

楽友協会の大ホール「黄金のホール」

名前の通りホール全体が黄金に輝いており、見渡すと美しい天井画や女性をかたどったの柱など、豪華な装飾が見受けられます。「ここは美術館なのではないだろうか?」と思うほど、これまで足を運んだホールとは一線を画す華やかな空間に息を飲んでしまいます。

日本フィルハーモニー交響楽団のヨーロッパツアー

日本フィルハーモニー交響楽団(以下、日フィル)として親しまれている日本のプロオーケストラによるヨーロッパツアーの一環で、私が住んでいるウィーンでも演奏会が開催されました。今回のツアーではほかにもフィンランド、ドイツ、イギリスの各地が含まれています。

苦学生にありがたい立ち見席

異国の地で生活するとなると学生の身でできる贅沢は限られてきます。ウィーンのような物価の高い都市ではなおさらお財布事情が付きまといますが、さすが芸術には寛容。なんと、どんな一流演奏家やオーケストラでも立ち見席なら7ユーロ(約880円)で聴くことができるのです。ぜひ日本でも取り入れてほしいシステムです。

演奏会当日、立ち見席チケット購入

1000円以下で日フィルを、それも黄金のホールで聴けるなんて…!

今回は急きょ演奏会を聴きに行くことを決めたので、当日券を購入しました。演奏会開演1時間前から当日券の発売が始まります。楽友協会正面左の路地に入るとチケット売り場(KONZERTKASSA)があるので、そこで立ち見席(Standing または Stehplatz と言います)を購入できます。

演奏会当日に立ち見席チケットを購入すれば、気軽にお安く演奏を聴けますが、事前販売チケットが売り切れていた場合、立ち見席のチケットに人が殺到して購入できなくなることがあります。「どうしてもこの演奏だけは逃したくない!」という演目があれば、事前にネットでのチケット購入(もちろん立ち見席も購入可能)をオススメします。

立ち見席はこの階段の下で並んで待ちます。運良く一番乗りでした!

嬉しいサプライズ!

この日は思いがけない幸運がありました。会場内に入り、立ち見席のブースに立っていたら、客席からひとりの女性が近づいてきて「うちの夫が来られなくなったからあなたにこのチケットをあげるわ。」とチケットをくださったのです…! 今まで座席チケットには手を出せず、立ち見席しか経験がなかったので、とてもありがたいお心遣いをいただきました。

いただいたチケット。15列目で舞台がしっかり見えました。

降り注ぐ輝く音色

この日のプログラムは以下のような構成でした。

  • ラウタヴァーラ『In the Beginning』
  • エルガー チェロ協奏曲
  • 武満徹『弦楽のためのレクイエム』
  • シベリウス 交響曲第2番

加えてアンコールが2曲もあり、とても満足感のある演奏会でした。指揮者のピエタリ・インキネン氏がフィンランド出身ということで、フィンランド出身の作曲家で2016年に亡くなったラウタヴァーラや、言わずもがな同国を代表するシベリウスの楽曲が組まれていたようです。

一番印象に残ったのは前半のプログラムの、エルガーのチェロ協奏曲です。この日のソリストで、2018年の英国王室のロイヤルウエディングでも演奏をしたことで知られる若きチェリスト、シェク・カネー=メイソンさんは、濃厚なこの曲を重くなりすぎずに、オーケストラの各楽器を引っ張って、エネルギッシュに弾き上げているようでした。

春にちなんで日フィルが 3.11 の被災地を訪れたときの写真も展示されていました

また、黄金のホールとオーケストラの音色の相性がとても合っているように感じました。黄金のホールの場合、舞台の音が天井方面に向かっていくように聞こえますが、低音楽器がしっかりと土台を作り上げていて抜群の安定感がありましたし、高弦の音色が響き渡り、粒の揃った音がキラキラと輝いているようでした。こちらの空気が乾燥している影響もあるかもしれませんが、音がとてもクリアに聴こえてきました。

日フィルは私が日本で一番よく聴いてきたオーケストラでもあります。ウィーンではいつもヨーロッパのアーティストやオーケストラの演奏を聴いていますが、今回、国境を越えて空気が全く違う土地で聴く日フィルの演奏はとても新鮮に感じました。東京拠点の楽団ですが地方公演も多く、私の地元長崎での演奏会は、地方出身の私が幼いうちから質の高い音楽に触れることができる貴重な機会でした。私にとって身近に感じられる音色を新天地のウィーンで聴けたことは、人生の点と点が繋がったような気がしています。