From London「“惚れ薬”で大混乱? ロイヤルバレエ団を楽しむ夏の夜」

こんにちは! ヴァイオリン弾きの原田真帆です。わたしは今ロンドンで勉強しており、日々学校に通いながらロンドンのさまざまな文化に触れています。やはりヨーロッパのコンサートは楽しくて…この様子をCOSMUSICA読者のみなさまに届けたい…! と思い、海外の音楽シーンを日本のみなさまにお伝えしていく企画「World Concert Tour」を立ち上げました。

COSMUSICAライターには留学中の方も多くいらっしゃるので、わたしのみならず、今後いろいろな国・都市からのコンサートレポートをお届けしていきたいと思います♪

初回の今日は、ロンドンを代表する歌劇場ロイヤルオペラハウスでのバレエ公演の様子をお送りいたします。

いざロイヤルオペラハウスへ

午後7時半からの公演に向かいます。空はまだ青く、太陽が沈むまであと数時間あります。夏のヨーロッパの夜は、まだまだ暮れません!

この日の公演名は「The Dream / Symphonic Variations / Marguerite and Armand」。小さな演目を3本立てで上演するプログラムです。それぞれ、メンデルスゾーン、フォーレ、リストの音楽をベースにアレンジした楽曲を使用した演目です。

ロイヤルオペラハウスは真紅を基調にしたとても高級感のある内装です。この座席だけでもかなりテンションが上がりますね…! 客席は土曜日ということもあってかかなり埋まっていました。

さぁ間も無く開演! 舞台準備中の“安全幕”が上げられて、やはり真紅のすてきな緞帳(どんちょう)が出てきました。…おっと、実はこちら、以前超イイ席が取れたときのお写真。この日の本当の席はリーズナブルな学割で取れた最上階最後列の席です。

バレエダンサーの衣装がかわいい

3つの演目の中で特に印象に残った、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』のワンシーンをご紹介させてください。

目が覚めて最初に見た人に恋してしまう『惚れ薬』の登場で、ある2組のカップルの関係があべこべになってしまうシーンがあるのですが、まずこの衣装の色合いが巧妙だな、と思いました。暖色系と寒色系で組み合わせが一目でわかるだけでなく、紅色のジャケットの彼がパープルのドレスの彼女にうっかり惚れてしまうのも色合いからして理解しやすいのです。

そしてバレエ全体を通しての感想ですが、何をやってもとにかく優美。このイラストのあとのシーンで、男性同士の決闘シーンを迎えますが、闘っているくせに“雅”は失わないのがニクい! それらはバレエの訓練の中で、多様な型を学んだからこそ為せるフィジカルのわざです。

バレエのさまざまな「型」は人間のあらゆる動きを美しく表現するためにあるのだということを、今回いつもに増して強く感じました。鍛錬を積んだバレエダンサーたちは、動きに「型」を使っていながらそれを感じさせず、いつどの瞬間も美しく、体の重さすら感じさせずに踊りを繰り出していきます。トゥシューズの先でタタタッと駆けるシーンでは、音楽の拍との絶妙な駆け引きがあり、とってもエモーショナルな表現が伝わってきます。

言葉がないのに、こんなにも感情を豊かに魅せるものか。その点では、バレエって海外に行ったときに見るのもオススメかも…! と思いました。たとえ隣の人と英語で会話することが難しくても、こうしてストーリーや美は共有できる。美しいものは言葉を超える、としみじみ感じました。

休憩時間のおたのしみ

バレエやオペラの休憩時間は20分から25分程度と結構長いので、休憩中は軽食やドリンクを楽しみます。ロイヤルオペラハウスにはこのようなバーがあり、休憩になると写真のように人でごった返します。そうすると注文だけでなかなか時間がかかるので、そこはネット好きなイギリスらしく、専用のアプリで事前にオーダーしておいて、休憩になったらすぐに商品を受け取れるサービスの利用が勧められていました!

わたしはそのシステムを今回初めて知ったので、残念ながら注文の列に並ぶだけで休憩が終わりそうになってしまい、無料で配られていたお水でガマンしました。でもよく冷えていておいしかった…!

お水ではさすがに趣がないので、以前同じ会場に行ったときに食べたアイスクリームの画像を付けておきますね。ロイヤルオペラハウスのオリジナルのアイスクリームで、容器の側面には建物の絵とロイヤルなライオンがあしらわれていてかわいい…! お味もとってもおいしかったです。

ロンドンの休日

ロンドンでのバレエ観劇レポート、楽しんでいただけましたか? 帰りのエントランスは大混雑ですが、同じ“きらめき”を共有した人たちの良い表情が溢れているので、その人混みは決して不快なものではありません。10時を過ぎると、やっと月が出てきました。

iPhone撮影につき、まったく美しく撮れなかったのが残念ですが、この日はストロベリームーンの翌日だったので、満月よりも大きいと言われる十六夜の月でした。バレエで満たされたあとに、ロイヤルオペラハウスの旗の向こうに浮かぶまん丸な月に出会えて、なんだかとってもロマンチックに感じました…♪ さあロンドンといえば…パブ! このあとパブにでも寄っていきますか?

ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院研究課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。