オーケストラ日誌!Day 5〜オーケストラ奏者の仕事着〜

みなさま、お久しぶりです。大分お休みをいただいてしまいました。ヴィオラ奏者のあきこです。

シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団で働き始めて1年3カ月が経ち、初めてのフルシーズンもまもなく終わりを迎えようとしています。すべてが初めてだった昨年にくらべて、少しずつ余裕も持てるようになってきました。(主に)週の前半がリハーサル、後半で演奏会というスケジュールにも慣れつつあります。

さて今回は、ときには毎週、ときには毎日演奏会がある私の、本番の服装をご紹介したいと思います。トップスからドレスまで、全部公開しちゃいます♪

服装は細かく決められている?

ドイツのオーケストラの共通規定によれば、女性の服装は以下のように定められています。

・黒ないし濃紺の最低膝丈のドレス、黒ないし濃紺のパンツスーツ(それに適したジャケットはズボンと同じ素材であること)、あるいはそれにふさわしい服装
・黒い靴
・黒いストッキング

私のオーケストラでもこの共通規定にもとづいた服装規定があります。

・黒の夜会服、くるぶし丈のスカート、女性用燕尾服または上品なズボン
・上品なブラウス(スパンコールのないもの、セーターやTシャツは禁止)
・黒いストッキング
・黒いエナメル靴
・小さな黒いハンドバッグ

(本当は演奏会の時間帯や男性の服装に合わせていろいろとバリエーションがあり、もう少し細かく決まっているのですが、ここでは割愛します)

私のオーケストラでは特に定められていませんが、基本的にどのオーケストラでも、ブラウスは長袖であることが好ましいようです。日本でも、学生オーケストラでは袖の短いドレスも着ていましたが、プロのオーケストラの演奏会に出演する際は長袖のものを着ていました。

エナメルの靴というのは男性の正装(夜会服である燕尾服にはエナメル靴を履くのが正式)に合わせています。シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団に入団するまでは、エナメルでない、少しキラキラした黒靴を履いており、特に何も言われたこともなかったのですが、入団後最初の演奏会で同僚さんから指摘を受け、エナメル靴を求めてシュトゥットガルト中の靴屋を探し歩きました…。

左:少しキラキラした黒靴 右:オーケストラ用のエナメル靴

なかなか見つからない、長袖のドレス

女性奏者の場合、ソロの演奏会などではロングドレスを着用することが多いですよね。これらは往々にして肩紐のみであったり、肩紐のないチューブトップと呼ばれる型であったりするため、オーケストラの場合は服装規定に反してしまいます。

私も黒の袖のないロングドレスを一着持っており、長袖のボレロなどを合わせてそれを着たいと思うこともあるのですが、長袖のボレロというものもなかなか見つかりません。デパートのフォーマルサロンなどを周って探したのですが、あって七分丈のもののみ。ところがあるとき、ボレロを探して立ち寄ったフォーマルサロンにて、代わりにこんなドレスが見つかりました。

東京ソワールさんが音大生とコラボして作ったという、奏でるDRESSシリーズの長袖ドレス。一見ものすごく幅が広いのですが、後ろがレースアップタイプなので、自分の体に合わせてきっちりと締めることができます。逆に、妊娠などによる体型変化の際も着続けることができます!

さらにありがたいのは、自宅で洗える仕様であること。もちろんデリケートな服のためのモードにする必要がありますが、普通に洗濯機で洗える上、ハンガーにかけて吊るしておけばアイロンも不要という優れもの。肩幅が広めな私には若干肩周りが狭く感じられますが、それ以外はとても楽ですし、適度なレース具合も気に入っています。

(注)こちらの商品は現在、販売終了かインターネットでは取り扱いがないとのこと…。なかなか手に入らない型なので、ぜひとも再販していただきたいものです。

参考サイト:「奏でるDRESS」シリーズ

ブラウスは気分(と気温)に合わせて・・・。

いつもドレスで出るのも仰々しいですし、野外での公演や少しラフな演奏会のときは上下が分かれているものを着ることが多く、3着の黒ブラウスとボトムスとを組み合わせています。

NARACAMICIEの黒ブラウス。シンプルでシックなデザインです。棒タイも合わせ全体的に漆黒なため、黒髪・黒スカートと合わさると大分隙のない印象を与えてしまうのが玉にキズ。透け感がなく中に何でも着込むことができるので、冬の寒い教会での演奏の際などにも重宝しています。

母がプレゼントしてくれた、少し透け感のある棒タイブラウス。中にキャミソールもヒートテックシャツも着ることができるので、NARACAMICIEと同じく年中着ることのできるブラウス。透け感のおかげで見た目には軽やかな分、生地が薄めなので寒い場所には適しません…。

earth music & ecologyのレースブラウス。中の黒のキャミソールとセット。伸びる素材なので着心地は非常に楽ですが、とても薄い上に中に着るものを選ぶので、あまり出番がありません。ただし、夏の暑いときにはとても便利です。

3着というのは、一週間に多くて3回演奏会があるかないかのシンフォニー・オーケストラでは十分な数ですが、毎晩公演があるオペラ・オーケストラにいたころはギリギリでしたし、同僚さんはみなさん数え切れないほどたくさん持っていらっしゃいました。

ちなみにこれらのブラウスはすべて洗濯可・アイロン不要です。職業柄、日本で私服を探して歩いているとどうしても黒ブラウスも探してしまうのですが、必ず洗濯可でアイロン不要というものを探すようにしています(そうすると大分選択肢が減ってしまい、なかなか見つからないのですが)。

ロングスカートとパンツスーツ

下は2点を使いまわしています。つい3年前まではロングスカートのみしか持っていなかったのですが、オペラ・オーケストラのアカデミーを始めて公演数が増えたことにより、もう1着少しラフな感じのズボンを買いました。

約10年前、某フォーマルサロンで買った上質なもの。上品な光沢がありいろいろな方から「素敵なスカートね」と褒められます。演奏会靴の金具に裾が引っかかってしまうことが多く幾度となく裾直しをしてきましたが、10年間着つづけています。腰がゴムではないので、このスカートを着つづけるためにも体型の変化には気をつけねばなりません…(笑)。母が買ってくれた当時、決して安くはない値段にびっくりしましたが、今では投資をしてくれた母にとても感謝しています。

3年前にドイツのデパートで買ったズボン。2層構造になっており、はたから見るとスカートのように見えることも。とても軽い着心地とそのスタイリッシュさを気に入っています。こちらも、安くもなく高くもないお値段でしたが、上品な素材なので重宝しています。

もちろん、どちらも自宅で手洗い可・アイロン不要です(これ重要)。日本からドイツに来たときにいわゆるスーツのズボンも持ってきましたが、クリーニングとアイロンが必要なので、演奏会用に着ることは全くなくクローゼットに眠っています…。


今回は、オーケストラ奏者である私の本番着をご紹介しました。何しろ毎週毎日のように着ているので、手入れが簡単なこともとても重要ですし、細かい服装規定はときに面倒なこともあります。

しかし、何よりも大切なのは、いつ何度着ても着たときに気分が引き締まること。正装をし背筋がなおる…私にとって、本番前の小さな儀式です。

ABOUTこの記事をかいた人

あきこ@シュトゥットガルト

5歳よりヴァイオリンを、13歳よりヴィオラを始める。東京藝術大学卒業、ベルリン芸術大学修士課程卒業。ベルリン・ドイツオペラのアカデミーを経て、現在はシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団に在籍。