こんにちは、ヴァイオリニストのハルカです♪
本格的な寒さで体の芯から冷えてくる今日この頃ですが、年始に比べると、日差しからかすかに春の兆しを感じられるようになってきましたね🌸
そう思いながら寒さに耐えていたところ、ある曲の「一筋の暖かい光が差し込むような音色」が奏でられる瞬間を思い出しました。今回はその音色が登場する映画から 2 曲、ご紹介します!
『シンドラーのリスト(Schindler′s List)』(1993年)
あらすじ:第二次世界大戦時の 1939 年、ドイツ占領地でユダヤ人のホロコースト(大量虐殺)が進む中、ドイツ人の実業家であるオスカー・シンドラーが、強制収容所にいるユダヤ人たちを亡命させるためのリストを作成し救出する。ホロコーストを題材にした映画の中でも、とても有名な作品。
現代を代表する映画監督であるスティーヴン・スピルバーグが手がけ、数々の名曲を生み出してきたジョン・ウィリアムズが音楽を担当し、世界的なヴァイオリニストのイツァーク・パールマンが演奏を担当するという超豪華な顔ぶれで、ホロコーストの残虐さがとてもリアルに描かれています。上映時間も約 3 時間に及ぶ大作です👀
そのラストで流れる映画音楽が、こちら。
シンドラーのリスト(ジョン・ウィリアムズ作曲)
フィギュアスケートでも使われていたことがあるので、耳なじみのある曲ではないでしょうか。
なにかが通り過ぎるような前奏が終わったあと、静かにヴァイオリンが低音でゆっくりメロディを弾き始めます。クライマックスに向けて感情的に最後へ向かっていきますが、だんだん静かにおさまっていきます。全体を通して悲しみに溢れ、争いが生む虚しさや冷たさが伝わってくる切ない曲想です。
しかし楽譜を見ると、曲の最後の最後で「warmly(あたたかく)」と記されています。戦争ですべてを失った極限状態という絶望の淵で生きる中、まるで一筋の希望の光が差し込むように聴こえてきませんか?😢
この映画のテーマ音楽の演奏は、現代の偉大な音楽家のひとりとして世界的に評価されている、イスラエル生まれのヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンです。パールマンの演奏はとてもロマンチックでエモーショナル。映画の音楽を担当するにあたり、その音楽性のすばらしさは誰が見ても申し分ありませんが、ユダヤ系のヴァイオリニストであることも、起用された理由のひとつのようです。
ポル・ウナ・カベサ(カルロス・ガルデル作曲)
今回もうひとつご紹介したいのがこちらの楽曲。アルゼンチンのタンゴ歌手、カルロス・ガルデルが映画『タンゴ・バー』(1935年)の挿入歌のために作曲したタンゴです。とても歯切れ良いリズムで、一度聴いたら頭から離れません。
ポル・ウナ・カベサ(Por una cabeza)とは、競馬用語で「首(ひとつの)の差で」という意味です。競馬でわずかな差で負けた競走馬に、恋愛での駆け引きにわずかな差で敗れてしまった悔しい想いを重ね、タンゴとして描かれています。
私は『シンドラーのリスト』を見てこの曲を知りましたが、『タンゴ・バー』をはじめ、他の映画にも使用されているようです。また以前、某食品会社のCMに使われていたこともありました。
ノンフィクションと映画音楽
気軽な気持ちで観るには重すぎる映画ですが、二度と起きてはいけない歴史の事実を知ることは大切なことだと思います。また、音楽が作られた背景を知って映画を観ると、作品に込められた想いをより深く感じられるのではないでしょうか?
映画を観るときはもちろんストーリーに没頭するものですが、少しだけ聴覚に意識を向けてみると「あっ! この曲どこかで聴いたことある!」と、より一層映画を楽しむことができますよね♪
今回はしっとりした曲と威勢の良い曲、対照的な雰囲気の 2 つを取り上げました。次回もお楽しみに!
月元 悠
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