【ドイツ】留学準備で押さえたいポイントたち【詳細編】

みなさん、こんにちは。

前回、ドイツの留学準備に関する記事(▶︎【ドイツ】留学準備のはじめの一歩【概要編】)を公開したところ、嬉しいことに多くの方に読んでいただけました。今回はさらに踏み込んだ内容として、具体的に留学までにいつどんなことがあるのか、私の経験をもとにご紹介します!

前置き

本編の前に、2点お伝えしたいことがあります。

・私がベルリン芸術大学を受験したのは約2年半前です。大学によって詳細は異なるので、最終的には必ずご自身で確認してください。

・私は夏(6・7月)に受験して冬ゼメスター(10月)に入学しました。冬(1・2月)に受験して夏ゼメスター(4月)から入学したい場合はすべて半年ほど変わりますのでご注意ください。

留学準備スケジュール

では早速、どのようなスケジュールで準備をおこなっていったのかを紹介したいと思います。

前年秋〜 1 月

  • 志望校決定
    入試要項を確認し、いつごろ何をしなければいけないか計画を立てる
  • uni-assist申請
    外国人受験者用に近年導入された、持っている学位がドイツのどの学位に相当するかなどを審査するシステム(私の受験時にはまだありませんでした)。ベルリン芸術大学をはじめ、いくつかの大学が願書提出時にこの審査結果の提出を義務づけている。結果が出るまで 4 〜 6 週間かかるので、願書提出までに結果が手に入るよう、早めに申請しておくこと。

2 月〜 4 月

  • インターネットで出願
  • 出願に伴う関係書類の郵送
  • 課題曲準備

6 〜 7 月

  • 入試詳細日程の通知
    大学により時期や通知方法に大きな差があるが、ベルリン芸術大学は入試 2 週間前ごろ
  • 入試本番

7 月末

  • 合否の通知
    7 月末ごろに大学から正式な合否通知が来る

8 〜 9 月

  • 入学手続き
  • 学生ビザ申請
    ドイツでは、シェンゲン協定*により 90 日間はビザなしで「観光客」として滞在できることになっており、学生ビザは渡航後に現地の外人局で申請する

*シェンゲン協定とは

ヨーロッパの加盟国間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定。日本人は有効なパスポートを所持していれば、ビザを申請することなく加盟国に 180 日の期間内で最大 90 日間滞在できる。

10 月

  • 留学ライフスタート☆

苦労したこと

ここからは、具体的に私が留学準備をする中で苦労したことをピックアップしてご紹介します。

ちょっと難しい!「シェンゲン協定」

出願時やビザの申請時などはさまざまな書類を提出せねばなりません。私は受験準備のために入試 3 ヶ月前の 4 月に渡航したのですが、上記のシェンゲン協定の「180 日の期間内で最大 90 日間」という部分を勘違いしており、急きょ「学生準備ビザ」というものを申請しなければいけなくなりました。

この部分は非常に注意が必要で、最終入国時から 180 日間でなく、トータルで 180 日間なのです。つまり、滞在が入国日から180 日を越える前に一度帰国して再入国した場合も、ビザなしでの滞在した日数はリセットされることなく加算されていきます。

私の場合、4 月中旬から 7 月初めまで約 80 日滞在して、一週間帰国することでこのカウントをリセットし、7 月末に 2 週間の講習会に参加する、という計画を立てていました。

しかし、一度帰国してもこの「180日カウント」はリセットされることなく 4 月の入国の日からずっと数えられていたため、講習会に参加すると総滞在日数が 90 日を超えてしまうのです。

つまり、80日滞在+ 1 週間日本+講習会14日=過去180日のうちに 94日滞在している、ということになってしまうのです。

これは例えば数ヶ月空いた場合も同様で、1月に1ヶ月ドイツを訪れ、2 ・ 3 月は日本に滞在し、4 月・5 月と再びドイツに来ると、150 日間のうちにすでに 90 日滞在しているので、6 月以降はビザが必要になります。

このために、急遽学生準備のためのビザを取らなければいけなくなりました。しかし、苦労したのはビザを申請することよりも、そのために必要な書類集めでした。渡航時はビザを申請するつもりがなかったため必要書類を持ってきておらず、慌てて両親に連絡を取りました。

日本で私のパスポートのコピーが必要になって、スマートフォンのスキャンアプリを使ったり、両親も書類をスキャンしてメールで送ってくれたりと、21 世紀のテクノロジーにこれほど感謝したことはありませんでした(笑)。渡航する際は、必要以上の書類を持って行って損はありません!

私の受験した学校は出願時の卒業証明書なども英語の使用が認められていましたが、学校によってはドイツ語のものしか受け付けないことがあります。その際は翻訳士に認証翻訳をしてもらわなければならないので、提出書類を揃える際に注意しておくと良いでしょう。
(参考:ドイツ大使館公式サイト「翻訳事務所リスト」)

国際送金あれこれ

出願時に一番困ったのが、国際送金。フォームの記入の仕方が分からなかったり、インターネットに書いてある口座情報が十分でなかったりと、本当にお金がきちんと届いているのか心配で仕方ありませんでした。

国際送金は、ゆうちょ銀行の手数料がほかの銀行に比べて安くてお得です。各地の郵便局からも送金できますが、小さい郵便局だと国際送金に詳しい方がいないことがあるので、なるべく大きめの支店に行くことをお勧めします。

また、ドイツに送金する際は、すべて大文字で書くことと、ウムラウト( Ä , Ü , Ö )とエスツェット( ß )を使ってはいけないことに注意しなければいけません(これを忘れて何度書き直したことか…)。ちなみに、ウムラウトやエスツェットは以下のように書き直します。

  • Ä:AE
  • Ü:UE
  • Ö:OE
  • ß:SS

たとえば「Universität der Künste Berlin(ベルリン芸術大学)」の場合は、「UNIVERSITAET DER KUENSTE BERLIN」と書くことになります(こうやって書き直していくと文字数が増えて記入欄が足りなくなり、また書き直す羽目になったりするのですけれども)。

また100 ユーロ以上の送金の場合、仲介手数料が送金金額から差し引かれたり、受取銀行によっては手数料を差し引かれる場合があるため、私はいつも 10 ~ 15 ユーロ上乗せして送金していました(途中で手数料が引かれて、受験料が 50 セントだけ足りなくて受験できなかった…なんてことが起きたら悲惨ですからね…)。

加えて現在では、国際送金をする際に金融機関でのマイナンバー提出が義務付けられています。マイナンバーを提出できない場合は送金を受け付けてもらえず、出直さなくてはならないのでご注意を!

合言葉は、マイナス 1 年!

したい! と思ってもすぐにできるわけではないのが留学。上記の通り、入りたいゼメスターの半年前にはすでに出願をしなければいけません。

ドイツ留学をめざす人は複数校を受験する場合が少なくありませんが、そうなると出願に伴う作業も当然増えますし、提出書類のをすべてそろえるのにも時間がかかります。先を見据え、留学予定の一年くらい前には準備を始められるようにすると良いでしょう。

 

ドイツへの留学の流れは、大まかですが以上です。何かご質問や、さらに詳しく知りたい情報等ございましたら、編集部までお問い合わせください♪

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あきこ@シュトゥットガルト

5歳よりヴァイオリンを、13歳よりヴィオラを始める。東京藝術大学卒業、ベルリン芸術大学修士課程卒業。ベルリン・ドイツオペラのアカデミーを経て、現在はシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団に在籍。