はじめまして! 2017年から、「COSMUSICA」にライターとなりました田下 愛(たおり あい)です。
本業はフリーライターですが、小さいころからヴァイオリンを続けていて、現在、都内の市民オーケストラの団員として仕事の合間で演奏を続けています。
プロの演奏家さんたちとはまた違う、アマチュア・プレイヤーの目線から、クラシック音楽に関わるあれこれを語っていきたいです!
さて、2月~3月といえば、確定申告の季節。フリーランスの事業家にとって、年に一度の欠かせない作業です。
ここを見ている中には、フリーランスの音楽家さんたちもいるかと思いますが、中にはフリーになったばかりで、確定申告がよくわからない、どうしたらいいの?という方もいるかもしれませんね。
今回は、そんな方たちのために、確定申告について解説してみたいと思います!
そもそも確定申告って何?
では、まず、そもそも確定申告とは何なのか? というお話から。
確定申告とは、事業主が、毎年、2月から3月の指定期間内に、管轄の税務署に、
「昨年度、これだけの売り上げがあり、これだけの経費がかかった。また、自分はこれだけの控除(税から差し引かれる額)を受けることができる。結果、これだけの税金を納めます」
と納めるべき税金を確定させて申告することです。
なお、確定申告の方法としては、白色申告と青色申告の2つがあります。
この2つの違いですが、
白色申告…帳簿付けや書類作成が簡単。ただし、控除額は少ない
青色申告…帳簿付けと書類作成がやや難しい。ただし、控除額は多い
というところ。
また、この2つのうち、青色申告については、事前の準備が必要。申告をおこなう前の年に
・開業届
・青色申告承認申請書
を税務署に提出しておかないといけません。
確定申告に必要なものは?
確定申告では、税務署に以下の書類を提出しなくてはいけないのは、次のものになります。
・確定申告書B
※AとBがあり。個人事業主はBを使います。
白色申告の場合
・収支内訳書
青色申告の場合
・青色申告決算書
以上は、国税庁HPでダウンロードが可能。あるいは、確定申告シーズンであれば、地域の税務署や出張所などでもらえるはずです。
・控除関係の書類
国民年金、生命保険料などを支払っている人は、額などに応じて控除(納める税から差し引かれる額)を受けることができます。ただ、そのためには、支払ったことを示す証明書が必要。これは、毎年、秋ごろに対象者に郵送されています。また、なくした場合でも再発行は可能です。
・マイナンバーの本人確認のための書類
今年から、確定申告書にマイナンバーを記載することになり、また、あわせて番号を所持する本人であることを証明する本人確認書類の提示または添付も必要になりました。
こちらについては、マイナンバーカードがあれば、マイナンバーカードだけで大丈夫。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーの通知カード+本人証明書類(運転免許証、パスポートなど)が必要です。
確定申告、実際どうやるの?
では、実際に確定申告をやる場合に、どのようにすればいいかということですが、大まかには以下のような感じです。
・昨年度の売上を計算する
・昨年度の経費を計算する
・受けることができる控除を確認する
以上のことを、申告書に記入し、納めるべき額を確定し、申告書と必要書類を税務署へ提出という形になります。
音楽家の「経費」とは?
確定申告で、売上とともに計算しなくてはいけないのが、前年度の仕事にかかった経費です。
経費として認められるのは、原則として「仕事の必需品」であったり、「これを買ったから(このお金を支払ったから)仕事ができた」と証明ができる購入品や費用になります。
音楽家の方が経費にできるかと思うものをまとめてみました。
・旅費交通費
演奏会の会場や、レッスンをする場所に行くための交通費。地方での演奏会の際の宿泊代など
・新聞図書費
仕事で使う楽譜の費用など
・通信費
仕事のためにスマホ、パソコンなどの通信でかかった代金。楽譜や仕事関係の書類を郵送するための切手代など
・消耗品費
弦楽器の弦、管楽器のリードの費用や、練習時に使う筆記用具の費用など
・広告宣伝費
演奏会のチラシの作成費用、インターネットでの宣伝などにかかった費用など
・修繕費
楽器の修理、メンテナンスの費用など
・会議費
仕事の打ち合わせを行ったカフェの飲食料金など
なお、購入品によっては、経費になるかどうかはケースバイケースということが実はよくあるので、「これは経費になるの?」と迷うときは、とにかくまず領収書(レシート)をきちんともらっておくこと。そして、判断が付かない場合は、税務署に電話したり、税理士さんに相談したりして、確認していきましょう。
確定申告のために普段からやっておくとよいこと
確定申告の時期になったとき、スムーズに申告準備をすすめるためには、以下のようなことを普段からやっておくと便利です。
・領収書(レシート)・請求書などの経理関係の書類をまとめておく
仕事を続けていると、請求書や領収書の類はどうにも増えてきてしまうもの。ただ、これらを整理しないでほっておくと、確定申告のときに大変なことになります。
なくさないように、専用の場所など作って必ずまとめて整理して保管しておきましょう。
・クラウド系の経理サービスを活用する
便利な時代になったもので、今は、複数のデバイスから手軽にアクセスでき、なおかつ使いやすいクラウド会計サービスが多数登場しています。
メジャーなものとしては以下のようなところがあります。
・MFクラウド会計
・freee
・弥生の白色申告オンライン
・弥生の青色申告オンライン
これらを普段から使っておくと、通常の経理作業が楽になり、なおかつ確定申告のときにも大いに役立つはずです。
確定申告は、フリーランスとして仕事を続けていくならば、決して避けることのできない作業です。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、実際にやってみれば、それほど難しくはないはず。上記で紹介したような便利なサービスもたくさんあるので、適宜活用して、どうぞひるまずに取り組んでいってくださいね。
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