藤原歌劇団研究生 高橋香緒里が案内する”オペラの楽しみ方”

みなさん、オペラを見に行ったことはありますか?

見たことないという方や、小学校のときに社会科見学で見に行ったきり、という方もいらっしゃるかもしれません。

今日は、東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業し、現在はオペラを専門に学ばれている高橋さんにオペラの魅力を紹介していただきます✨


高橋香緒里(たかはし・かおり)Soprano

kaori

北鎌倉女子学園高等学校音楽科を卒業。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業し、現在は藤原歌劇団研究生としてオペラを学んでいる。2013年にはオーケストラと共演、2014年にはTBS夏サカスにてウクレレとのユニット「KeA」としてゲスト出演。2015年にはテレビ朝日「サマステミュージカルコレクション」に出演。第56回鎌倉市学生音楽コンクール声楽の部第二位、鎌倉音楽クラブ賞受賞。第65回湘南ひらつか織り姫。これまでに、保永秀樹、平松英子、綿引あやの、ルチェッタ・ビッツィの各氏に師事。

Twitter: @bnnkaori
高橋香緒里オフィシャルウェブサイト


そもそもオペラとは?

Operaとはイタリア語で「作品」という意味を表す言葉で、台詞までも歌で表現するする舞台芸術のことを言います。ミュージカルとはまた違いますが、簡単に言うとミュージカルの台詞が全て歌になったようなもの。
オペラは少しお堅いイメージを持つ方が多いと思いますが、実は内容はとても親しみやすい内容が多いです。もちろん真面目な神話や歴史上人物を主人公とした内容もありますが、それ以外には人々の恋愛模様を描いたものや、悪者を退治する内容など、我々でも親しみやすい内容が多いです。

有名なオペラ

モーツァルトの4大オペラと言われる『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』『魔笛』『コジ・ファン・トゥッテ』や、個人的に大好きなプッチーニ作曲の『ラ・ボエーム』など、たくさんあります。最近ではオペラのアリア(曲)がCMなどで使われたりもして、オペラ自体でなくその曲単発で有名になっていたりもします。

せっかくなので少しあらすじをご紹介します。

フィガロの結婚

舞台はスペイン、アルマヴィーヴァ伯爵邸にて。題名となっているフィガロ(アルマヴィーヴィ伯爵の従者)と、その恋人スザンナ(伯爵家の女中)は結婚を目の前にして幸せに過ごしていた。しかし結婚目前にし、妻に飽きていたアルマヴィーヴァ伯爵は廃止されていた初夜権を復活させてスザンナと一夜を共にしようと企む。それを知ったフィガロ、スザンナ、夫の浮気を知った伯爵夫人たちによる仕返しの物語。

アリア《恋とはどんなものかしら》は耳にしたことがあるという方も多いと思います♪

現在私は藤原歌劇団研究所でスザンナ役として勉強中です! このオペラはオペラ初心者の方にもとても見やすい内容で、新喜劇を観ているように感じる場面もありますのでおススメです♪

ドン・ジョバンニ

こちらも舞台はスペイン。相当なプレイボーイである貴族ドン・ジョバンニによる数々の女遊びに対し、被害を受けた周囲の人々が復讐をする物語である。

笑いのシーンもたくさんあるのですが、序盤からシリアスな決闘シーンが展開されたりと退屈しませんし、特にラストシーンでドン・ジョバンニがどうなってしまうのかが見どころだと思います!

魔笛

舞台はエジプトの架空の国。王子タミーノは大蛇に襲われるが、夜の女王の待女である三人の女に助けられる。そこでタミーノは待女達から夜の女王の娘であるパミーナ王女を悪人ザラストロの元から救い出せと命じ、そこから物語が繰り広げられる。

旅の途中に出会った鳥刺しのパパゲーノと共にパミーナを救おうとするが、途中ザラストロは悪人ではなく実は世界征服を企む夜の女王からパミーナを守っていた大祭司であった。そしてタミーノは、一目惚れしたパミーナと結ばれるために祭司から与えられた様々な試練に立ち向かい、最終的にはハッピーエンドで終わる…という現実離れした物語。

やはりこのオペラの中で聴衆が楽しみにしているアリアと言えば、夜の女王が歌う超絶技巧の「夜の女王のアリア」として知られている『復讐の炎は地獄のように我が心に燃え』だと思います!

他のアリアも有名な曲が沢山ありますが、私の中では最も楽しみにしているシーンです♪

コジ・ファン・トゥッテ

「コジ・ファン・トゥッテ」はイタリア語で「女はみんなこうしたもの」という意味で、女はみんな浮気をしますよ! というようなお話。舞台はイタリアのナポリ。二人の姉妹、フィオルディリージ(姉)とドラベッラ(妹)にはそれぞれ恋人を持つ。フィオルディリージの恋人であるグリエルモ、ドラベッラの恋人であるフェルランドが「彼女らは浮気をしない」と話していると、ドン・アルフォンソという老人が「彼女たちが浮気をしないか賭けをしよう」と話を持ちかける。彼らは姉妹に戦争に行くと嘘をつき、変装して別人になって彼女たちを誘惑し、浮気をしないか試す…というお話。

このオペラで私が一番好きなところは、フェルランドとグリエルモが変装し登場するシーン。どんな変装をしてくるのか楽しみで見てしまいます!

ラ・ボエーム

そして最後に大好きな「ラ・ボエーム」について。
舞台はフランス、パリのアパートの屋根裏部屋。クリスマスイブにボヘミアンと呼ばれた芸術家の卵たちが集まっているシーンから始まる。
貧しい暮らしをしていたが、今夜は音楽家ショナールが稼いできたお金で街で食事することになったが、詩人であるロドルフォだけ仕事を終わらせてから合流するといい、部屋に残る。すると隣人であるお針子のミミがロウソクの火をもらいにやってくるが、ロドルフォの火も消えてしまい、部屋は真っ暗に。ミミがカギを落としてしまいそれを探すうちに二人の手が触れ合い、恋に落ちる。そこから二人は付き合い始めるが、ミミは結核を患っていて、貧しいロドルフォには治してやるお金がない為、二人は互いに愛しながらも別れる。ミミは別れた後にパトロンを見つけしばらく生活をしていたが、結核は悪化。瀕死のミミは最後の力をふり絞り、愛するロドルフォの元へ戻ってロドルフォの元で息をひきとる。

…という最後はアンハッピーなお話ですが、このオペラを好きな声楽家は非常に多いです! 私は第一幕の二人が恋に落ちるまでのシーンが大好きです♪

こちらはふたりが出会ったシーンのすてきなアリアです。

オペラの楽しみ方

現在オペラを勉強中の私からすると、オペラを観るときまずは歌い手に注目します。歌い手の発声の仕方、動きなど…。
しかしオペラを初めて見る方は、きっと舞台セットにまず目が行くのでは? と思います。豪華な舞台セットのときもあれば、シンプルな演出の場合は何もないときもありますが、オペラと言ったらやはり豪華な舞台を目でも楽しんで欲しいです。そして歌い手の美しい声をじっくり聞く。目でも耳でも楽しめる物だと思います。

オペラを見に行くときの注意点は

まずはどんな内容なのか、プログラムに目をさっと通しておくとよりオペラを楽しめると思います。

日本での公演はだいたい日本語訳と同時に舞台が進行されていくので、対訳を読みながら舞台も見て…と忙しくしていると少し見逃してしまう部分もあるというもの。そのため、事前にある程度内容がわかっていれば、もう少し落ち着いて観劇することができると思います。

そしてもうひとつは服装について。もちろんカジュアルな服装でも構いませんが、オペラは観に来る楽しみだけではなく、社交の場とされていましたので、おしゃれを楽しむ場所でもあります。

昔の貴族はそういった社交の場とお洒落を楽しむ場としてもオペラを愛していたので、今でも多くの方は普段着ではなく、少しおしゃれをしたファッションでいらっしゃる方が多いと思います。海外の公演などはドレスコードがある場合もあるので、事前に調べておくと安心です。

 

いかがでしたでしょうか♪

みなさんが少しでもオペラに興味を持つきっかけになれたら嬉しいです。それでは楽しいオペラライフを!

 

高橋香緒里

1 個のコメント

  • 可能性が、非常に、秘めていると、思いました、いままで聞いた、オペラのなかで、1番楽しく、最後まで、聴きいってしまいました。