楽譜を読むのに必要な知識「楽典」。一見難しく思えますが、楽典は非常にロジカルな学問なので、独学での習得も可能です。
独学にしろ誰かに習うにしろ、自習のときに欠かせないのが、道標であり先生でもある教科書や参考書。本日は学習に役立つ楽典本を、レベル別に 3 つご紹介いたします!
1. 黄色い本は楽典はじめの一歩!
音大を出た人で持っていない人はいない、「楽典―理論と実習」通称「黄色い本」。山吹色のカバーが印象的なこの本は、初版 1965 年とかなりロングセラーです。
はじめて楽典の勉強をする人は、この本の内容をマスターすることを最初の目標にします。多くの学校の入試問題も、この本の知識があれば大体は解けると言われています。巻末の練習問題は絶対に外せません。
2. 黄色い本の次のステップ!
黄色い本が物足りなくなったら、同じタイトルでも「白い本」にステップアップ。こちらの「新版 楽典―音楽家を志す人のための」は、楽語や楽曲構造、和音の情報はよりワイドに、より深く掲載されています。
こちらも付録で練習問題が付いていますが、こちらは日本全国の音大の過去問を集めた、かなり実戦で役立つ問題集になっています。これをすべて解けるようになれば、かなり力がついたと言える、虎の巻です。
3. もっと深く学びたいあなたに
黄色い本でも、白い本でも物足りない! 調べたいことが見つからない! そんなハイレベルなあなたには、少し古い本ですが、こちらのグレーのカバーに紫色の模様が印象的な「新しい音楽通論」をオススメします。
黄色い本よりは新しいのですが、本文中の言い回しやカタカナ表記の古臭さが否めません。しかし、基礎的な楽典の知識から、駆け足ながら和声・対位法・音楽史までがこの一冊にまとまっていて、章の分け方も見やすく、高度な音楽理論の学習には役立つこと間違いなし。
ロングセラーにはそれだけの理由がある!
以上、3 冊とも昭和の本ではありますが、手に取れば「ロングセラーにはロングセラーになるだけの理由がある」と納得させられるはずです。
これから楽典を学びたい方、今ある知識をより深めたい方。秋の夜長を、新しい楽典の本と過ごすのは、いかがですか?
最新記事 by 原田 真帆 (全て見る)
- 次々に演奏し、ばんばん出版。作曲家エミーリエ・マイヤーが19世紀に見せた奇跡的な活躍 - 24.05.18
- ふたりで掴んだローマ賞。ナディア&リリ・ブーランジェ、作曲家姉妹のがっちりタッグ - 23.10.30
- 投獄されても怯まず、歯ブラシで合唱を指揮。作曲家エセル・スマイスがネクタイを締めた理由 - 22.11.07
- 飛び抜けた才能ゆえ失脚の憂き目も経験。音楽家・幸田延が牽引した日本の西洋音楽黎明期 - 22.09.28
- 「暗譜」の習慣を作ったのは彼女だった。クララ・シューマンという音楽家のカリスマ性 - 22.01.30