オーケストラ。それはたくさんの楽器でクラシック音楽を奏でる集団。
最近ではオーケストラの演奏で「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」などのゲーム音楽を特集したコンサートも多く開かれるようになりました。
ところでこの世の中には、オーケストラってたくさんあるってご存じでしょうか? 今日はそんな、アナタの知らないオーケストラの世界をご案内したいと思います🎩
比べるとおもしろい!
オーケストラ(以下、オケ)というのは、たくさんの楽器がありますが、オケ自体がひとつの楽器のようなものであると言われています。
たとえばピザ🍕はそれ自体でひとつの食べ物ですが、そこには小麦からチーズからトマトにバジルといった食材が乗っています。そして、同じマルゲリータでも、作り手が違ったり材料の産地が変われば、味わいも異なりますよね。
何が言いたいって、オーケストラも、人が変わればキャラクターが変わるということです!
そこで、ごく一部にはなりますが、今回は実際のオーケストラをいくつかピックアップして簡単にご紹介していきたいと思います。
東京は世界的にもオケが多い!
東京はオーケストラが多い街と言われていて、ニューヨークやロンドンなど世界中の大都市を見ても、こんなにオケがある街ってないんですって!
つまり東京近郊にいらっしゃる方は、世界の中でもっとも聴き比べするチャンスをお持ちだということです。各オケの主な演奏会場も挙げてみたので、ぜひオケ巡りをしてみてください🎶
NHK 交響楽団(通称・N響)は名実ともにいちばんと言われ、だれもが知るあの放送局に属するオーケストラです。そのため本拠地は NHK ホール、代々木公園のお隣なので休日にふらりと行くにはいい場所です。毎年大河ドラマのテーマ曲の演奏も担います。
読売日本交響楽団(通称・読響)は名前の通りジャイアンツの新聞社のオーケストラ。メインで演奏会を開くホールは六本木のサントリーホールです。かつては男性しか入団できなかったとあって、硬派なカラーを持ちます。元AKB48松井咲子さんMCの深夜番組「読響シンフォニックライブ」もぜひご覧ください。
そして申し訳ないけれど正直名前がややこしいシリーズをご紹介します。
東京都交響楽団は東京都の持ち物で、前回の東京五輪を記念して作られた、都が所有する楽団です。ホームグラウンドは上野の東京文化会館、通称は都響です。『のだめカンタービレ』では実写化・アニメ化の際に、オーケストラ部分で演奏協力をしました。
東京交響楽団はもともと映画の「東宝」が設立したオケなので、かつては東宝映画のサウンドトラックを多く担当していました(最初の『ゴジラ』とか)。ホームグラウンドは川崎駅前のミューザ川崎、通称・東響です。
続いては「東京+カタカナ」3 連発です。
東京フィルハーモニー交響楽団は創立 1911 年と日本でもっとも古いオケ。渋谷の東急側にある Bunkamura オーチャードホールが本拠地、通称は東フィルです。毎年、演奏で新年をカウントダウンする演奏会を行い、その模様はテレビで生中継されます。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団は京王新線の初台にある東京オペラシティを本拠地に構え、通称はシティ・フィル。1975 年に若い音楽家を中心に立ち上げた、リアル「R☆Sオケ」(ライジングスター・のだめに出てくるオケ)。映画『もののけ姫』の音楽はこのオケが担っています。
東京ニューシティ管弦楽団は池袋の東京芸術劇場がホームスタジアム。コンセプトは「いつも なにかが あたらしい」。意欲的な演奏会を続けていることで知られています。
最後は新旧比較。
日本フィルハーモニー交響楽団(通称・日フィル)は、1956 年に文化放送の専属オーケストラとして創立されます。しかし 1971 年、日本のクラシック界史上初の全面ストライキを行います。ここから運営元の文化放送とフジテレビに全員解雇通告されるなど、争議が続きます。このとき残って闘った人もいれば、小澤征爾氏率いる 3 割ほどのメンバーは独立して新日本フィルハーモニー交響楽団(通称・新日フィル)を作りました。
現在はどちらもそれぞれプロオケとして活動しています。日フィルのホームは杉並公会堂。元運営先との闘い以来、このオケでは「市民とともに歩むオーケストラ」をスローガンに、日本全国での演奏活動を行っています。またこの「日フィル争議」は、日本の音楽家が労働者の権利について見直すきっかけとなりました。
新日フィルは、墨田区のすみだトリフォニーホールが本拠地。近年は作曲の久石譲氏とのタッグも多く、映画『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』などの音楽は新日フィルの演奏です。
在阪オケは 4 つもいらない!?
一方、大阪府にもいくつかオーケストラがあります。有名どころは、大阪交響楽団・大阪フィルハーモニー交響楽団・関西フィルハーモニー管弦楽団・日本センチュリー交響楽団あたりです。
オーケストラが近くに多数存在する状況を、刺激を与えあえて良いと思う人と、ひとつにまとめたほうが良いと思う人がいまして……それぞれのオケの指揮者が集まるだけでも珍しいのですが、指揮者同士で本音をぶつけあったちょっと怖い貴重なセッションの様子が産経新聞に取り上げられました。
「大阪には1つのオケでいい」「金にあかしてプレイヤーを集めたら良いというわけではない」
【関西の議論】大阪に4つもオーケストラは必要か?橋下改革の命題に4オケ指揮者が激論 – 産経WEST http://t.co/d9gULa0bBB pic.twitter.com/vfDMRE4VnE— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) 2015年5月12日
定期会員制度とは??
オーケストラによっては「定期会員制度」という、ファンクラブのような仕組みをもっているところがあります。
年会費を支払うと、そのオーケストラの「定期演奏会」と名が付くコンサートを、毎回同じ席で聴くことができるこの制度。年会費=チケット代(セット価格)で、チケットを公演ごとに単品で買うよりオトク。またオーケストラによっては「定期演奏会」以外の演奏会もお得な価格で楽しめます。
なお定期会員になると、カレンダーや非売品のCD、あるいは会報誌を発行するところもあります。定期会員の年会費=今後の 1 年間の演奏会を聴いてもらえるという保証。これこそが最もオケの支えとなります。
たとえば一口に「ジャニーズのファン」と言っても、嵐のファンの人もいれば、いやいや農業アイドルTOKIOだろって人もいれば、20周年過ぎてV6いい味出てるよ、ちょっと待った関ジャニ∞忘れてくれはったら困るで、そんなオジサンじゃなくてこれからは Hey! Say! JUMP だ……などなどなど、まァいろんなファンがいますよね!
各グループにカラーがあって、ライブの雰囲気も違って……オーケストラもそんなふうに、それぞれにカラーがあります。定期会員の人たちは、AKB 用語で言えば箱推し、つまりそのグループのファンなのです。
オーケストラはいくついる?
たくさんのオーケストラをご紹介したので、お腹いっぱいかもしれませんね🐖
大阪でも議題になったように、オーケストラってこんなにたくさん必要なのでしょうか?
世の中を見渡せば、俳優さんもたくさんいれば、歌手もたくさんいて……いるかいらないか問題では切れない存在があります。わたしはオーケストラもそんな存在のものだと思うのです。
オーケストラもよく見ていくと、ひとつひとつキャラクターが違います。その違いを楽しむには、いくつかの団体があってこそ。たとえば様々なアイドルを応援するように、いろいろなオーケストラを聴き比べてみませんか?
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