いざ、海外プチ留学! ヨーロッパのおすすめマスタークラスを紹介

こんにちは。ドイツ、ハレ在住のピアニスト・ピアノ教育者の大木美穂です。

5月に入り、音大や音高に通う方々は夏に向けて講習会やマスタークラスを検討されている頃かと思います。本記事では個人的におすすめできるヨーロッパのマスタークラスを2つご紹介します。

海外のマスタークラスをおすすめする理由

世界各地で開催されるマスタークラス。もちろん国内でも勉強の機会はさまざまあるのですが、私が海外のマスタークラスをおすすめする理由は3点あります。

①プチ留学体験になる

留学してみたいけれど長期で留学するのは色々な事情があり難しい、という方。勉強も兼ねて、ヨーロッパに行ってみたい! という方。憧れの先生のレッスンを一度受けてみたい、という方。

マスタークラスは7〜10日間くらいの期間のものが多く、クラシックの本場であるヨーロッパでの生活を体験してみるのにもってこいです。マスタークラス終了後には、ぜひプチ旅行として現地の観光をするのもおすすめです。

②正規留学準備として

現在音高に通う高校生、日本の音大生などで、卒業後、ヨーロッパに正規留学したいと考えている人も多いですよね。私も実際にドイツのマスタークラスで多くの日本からの参加者に出会う中で特に多かったのが、留学準備としてマスタークラスに来る参加者たちでした。

留学したい! と漠然と思っていても、最初は何から始めたらいいのかわからないもの。そんなとき、マスタークラスに来てみて気になる教授のもとでレッスンを実際に体験してみるのがおすすめです。

気になる教授がいない場合は、周りに聞いてみたり、あとはとにかく一度来てレッスンを受けてみて、「この人のもとで勉強したい」と思える教授を探すのがヨーロッパ(特にドイツは)の大学探しスタイルでもあります。

③卒業後の自己研さんとして

日本の音大や短大卒業後、日本でピアニストやピアノ講師、または別な職業をもち働いている社会人の皆さんも、よくマスタークラスに参加しています。

というのも、大学を卒業して社会に出ると、大学時代に仲間ともに切磋琢磨していた環境とは変わり、音楽家・教育家として孤独を感じる、という方も少なくありません。

自分も音楽家としても一生成長し続けたい、という方。音楽を仕事にはしなかったけれど、今でも音楽が心の糧で、とても大切にしている、という方。定期的に外に出ることで、自分の中に新しい風を吹かせたい、という方。

そんな社会人の皆さんにも、海外のマスタークラスは特におすすめです。

ヨーロッパのおすすめマスタークラス

ドイツでは夏のこの時期、特にたくさんのマスタークラスが開催されます。普段大学で教えている教授が大学の夏休みで時間があること、また普段オーケストラで演奏している団員も、夏の間はSommerpause(夏季休暇)で定期演奏会がお休みであるという点が、理由として挙げられます。

では早速、私が自信をもっておすすめできる2つのマスタークラスを紹介します。

①ユーロ音楽フェスティバル&アカデミー in ハレ(ドイツ)

こちらは、私が住んでいる街、ハレで毎年開催されているマスタークラスです。ハレはドイツの中央あたり、ベルリンから電車で1時間半くらいのところに位置しています。

ベルリンからも来られますし、ハレ/ライプツィヒ空港を使うともっと便利です。

期間は毎年7月中旬〜8月中旬。全部で3セッションあり、好きなセッションを選べます。1セッションの長さは出発日と到着日を含め、10日間です。

教授たちのコンサートも。

開催地について:

  • ヘンデルの生誕地ハレが開催地!開催地のハレ大学の隣がヘンデルの生家(ミュージアムになっています)
  • バッハの家、シューマンの家、メンデルスゾーンの家があるライプツィヒまでも電車で30分!レッスンのない日に日帰り旅行もおすすめです。

ちょっとした注意点としては、

  • 大学にはクーラーがなく、閉め切った部屋での夏の暑い日のレッスンはまるでサウナのよう。十分な暑さ対策を!
  • ホテルが新市街にあり、レッスン室・練習室のある会場までは毎日トラムで移動となります(トラムで15分程度)。

私もハレに住んで6年目になりますが、毎年この時期は日本や韓国、中国を始め、アメリカ、ラテンアメリカなどさまざまな国から参加者が集い、大学の周りも賑やかです。

料金は、パッケージで1690ユーロ(2019年現在)。

パッケージに含まれるものは:4回のソロレッスン、4回の室内楽レッスン(もしくは2回の別の先生のソロレッスン)、一日2時間の練習室、期間中のコンサート、ホテル(シェアルーム、朝食付き)、そして場合によっては最終コンサートへの出演できることも。

ちなみに、パッケージには通訳は含まれませんのでご注意を。私もアテンドやレッスンでの同時通訳を承っていますので、来年の申し込みを検討されている方で必要とされる方は、ぜひこちら(通訳コンタクトフォーム)からご連絡ください。今年(2019年)は第1期(7月)のみ承ります。

Euro Music Festival & Academy公式サイト

②MusicAlp夏期音楽国際アカデミー in ティーニュ(フランス)

私自身、このマスタークラスに2016年に参加しました。

ここはもう、ロケーションがすごいです。自然大好きな私にとっては、ここにいるだけで癒やし効果大でした。

MusicAlpはなんと昨年(2018年)で20周年を迎えたそうです。私が参加したときも、オーガナイズが行き届いているという印象を受けました。

期間は、こちらも7月中旬〜8月中旬で、10日間ごとの3セッションに分かれています。

開催地について:

  • ティーニュはフランスとスイスの国境近くに位置しており、ちょっと行きづらいです。私は当時ジュネーブ空港から電車を乗り継いで最寄り駅へ、着いたのが夜だったのでバスがなく、タクシーでで行きました(タクシー80ユーロくらい…)。ただし、講習会専用バスも出ています(往復40ユーロ、片道2時間半要予約)。
  • 標高が高いため、真夏の開催期間に関わらず涼しくカラッとしていて、とても過ごしやすいです。

料金は、パッケージで1020ユーロ〜1320ユーロ。値段は、ダブルルームかシングルルームか、そしてホテルかキッチン付きアパートかによって変わります。いずれにせよ練習室は自由に使用でき、期間中のコンサートも聴講できます。

ホテルの場合、パッケージ料金には登録料、最低5回のレッスン代、朝・夕食込みの宿泊代が含まれます。ちなみに…ホテルの食事がとっても美味しかったです(特に朝食のクロワッサンが絶品。さすがフランス)。アパートの場合は食事なしなので、食事の準備を面倒に感じる方はホテルを選択することをおすすめします。

通訳も175ユーロでつけられるそうです(フランス⇆日本語のみ)。

あと、特筆すべきはSportignesカードというものの存在です。こちらは受講者全員に配られるカードで、これを使って色んなスポーツ、例えばプールや水上ベースなどが楽しめます。

こういったアクロバティックなのものは私たちは参加しませんでしたが…(私は結構やりたかったのですが笑)。

アルプスの麓で、たくさん学んでたくさん身体を動かす…これはオリジナリティのあるすてきなアイデアだなと思いました。

MusicAlpは、実際に参加した私が自信をもっておすすめできるマスタークラスのひとつです。

MusicAlp夏期国際音楽アカデミー公式サイト

海外のマスタークラスに積極的に参加してみよう

マスタークラスに行ってみたいけれど、どんな様子なのか不安… 実際に行ったことがある人からの実際の声が聞きたい、という方の参考になれば幸いです。

みなさんが自分に合ったマスタークラスを見つけられますように!

The following two tabs change content below.
栃木県出身。3歳からピアノを始める。2010年、横浜国立大学音楽教育課程在学中に日本政府より奨学金給付を受け、ドイツ、エアフルト大学に一年間留学。2013年よりドイツ、ハレ在住。2017年、マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク器楽教育ピアノ修士課程を最高得点で修了。2019年よりエアフルト大学にて音楽教育科にてピアノとアンサンブルの授業を受けもち、後進の指導をしている。現在、ザクセン・アンハルト州より研究奨学金を受け、ハレ大学博士課程にて、スポーツ心理学を応用した音楽家のためのメンタルトレーニングについて研究中。ピアノ演奏、研究、ピアノ指導のかたわら、ドイツ語翻訳及び通訳、メンタルトレーニングコンサルタントをおこなっている。