【メンズ向け】何をそろえたらいい?本番衣装のいろは


演奏家にとっては、本番の衣装というのも大切な商売道具のひとつです。女性は大概ドレスを着ていれば済むのですが、男性の場合はいろいろと組み合わせがあって、そろえなければいけないものが多いですよね。

そこで今回は、特に皆でそろえる必要のあるオーケストラに関わる楽器の奏者向けに、男性の衣装についてまとめました。

男性衣装の衣装いろは

燕尾服

エディンバラ公(右)とオバマ前大統領が着ているのが燕尾服(引用:thestar.com

オーケストラ、特にプロの楽団で演奏する際は欠かせないのが燕尾服。

燕尾服とは、ジャケットの後ろの裾がツバメの尾のように長いことから名付けられています。英語ではテールコートと言います。前のボタンは閉めないのが正式な形です。襟はラペル(画像参照)が上向きにとがっています(ピークドラペル)。

燕尾服を着る際に必要なセットは以下です。

  • そろいのトラウザーズ(パンツのこと)
  • 白のウイングカラーシャツ
  • 白の蝶ネクタイ
  • 白のウエストコート(ベストのこと)
  • オックスフォードシューズまたはオペラパンプス(エナメルが望ましい)
  • 白のポケットチーフ(なくても可能)

ウイングカラーシャツ

トラウザーズは本来シルクの「側章」が2本付いたものが燕尾服の対となっています。側章とはトラウザーズの脇の縫い目に付ける飾りテープのことです(ただ実際のところは、側章が1本のみのタキシード用トラウザーズや黒スーツのスラックスを使用している方が多い、ということは付記しておきます)。

トラウザーズのサイドを縦に飾る側章。ちなみにこのジャケットの下に着用されているのがウエストコートです(画像は日本橋三越本店HPのスクリーンショット)

演奏家においては、ウエストコートの代わりに白のカマーバンドを合わせる方もいます。

お腹に巻いているのがカマーバンド(引用:ForzaStyle

オックスフォードシューズ

タキシード

こちらはシャツがカジュアルですが、タキシードです

オーケストラの演奏会や式典演奏などで求められることがあります。

タキシードのジャケットはひとつボタンで、本来は閉めて着るものですが演奏家の場合は演奏しやすいように開けて用いることが多いです。 襟とラペルがつながっている「ショールカラー」をよく見かけますが、燕尾服同様ラペルがとがっている「ピークドラペル」のものもあります。なお燕尾服との最も大きな違いは「お尻の裾が長くないこと」です。

こちらの画像のみなさんはタキシードを着用しています

タキシードに合わせる小物は以下のものです。

  • そろいのトラウザーズ
  • 白のウイングカラーまたはレギュラーカラーシャツ
  • 黒の蝶ネクタイ
  • 黒のカマーバンド(黒のウエストコートも可)
  • オックスフォードシューズまたはオペラパンプス(エナメルが望ましい)
  • 白のポケットチーフ(あるのが望ましい)

レギュラーカラーシャツ

タキシードのトラウザーズはシルクの側章が1本付いているものが正式です(が、こちらもスーツのものを着てしまう方が多いことはこっそり書いておきます)。

こちらがオペラパンプス(引用:REGAL SHOES 公式サイト

黒スーツ

学生オーケストラの公演や、あるいは室内楽の際にほかの人と合わせるときなど、出番が多めの衣装です。特に学生さんだと、黒スーツは一番にそろえるべきでしょう。スーツ自体はビジネスマンも着用する、ごく一般的なものと同じです。

黒スーツに合わせる小物は、以下のものを揃えます。

  • 白と黒のレギュラーカラーシャツ
  • ふつうのボウタイ・銀またはグレーのボウタイ
  • 状況によりベスト
  • 黒の革靴

黒スーツの場合は、シャツが白の場合も黒の場合もあります。日本ですと “黒シャツに銀ネク” という定番コーディネートがあるので、銀またはグレー系のタイが1本あると安心です。海外は圧倒的に “オールブラック” の出番が多く、これはタイなしで黒シャツを着ます。オールブラックの場合はジャケットなしが認められる場合も多々あります。

この画像をよく見ると、ソリストやオケ奏者は黒スーツに白シャツ、合唱団はオールブラックです

ベストは周りの方に合わせて着用の有無をそろえると良いでしょう。でもいざという時に着られるように用意しておきたいですね。

靴はオックスフォード・シューズなど黒の革靴を着用します。シンプルなストレート・チップまたはプレーン・トウのものを合わせましょう。

茶色ですが、このつま先がストレート・チップ

プレーン・トゥのオックスフォード・シューズ

どこで買えるの?

燕尾服以外はいわゆるチェーンのスーツ屋さんで購入することができます。燕尾服レベルが必要になってくるのは日本ですとプロのオーケストラの本番になってくると思います。

燕尾服やタキシードが仕事着として必要な職業というのもなかなか珍しいものですが、音楽家が今もそういった衣装を着る理由のひとつに、「非日常の演出」のためという説があります。

燕尾服の美の象徴として、華麗に舞う俳優フレッド・アステア(1899-1987)の美しさが語り継がれています(引用:NewStatesman

音楽を聴くという体験が、聴衆にとってスペシャルなものであってほしいから…今となっては日常的に着用されることはない衣装を着て舞台に立つことで、音楽家は人々に特別な時間を提供しているわけです。