前回、前々回とロシアの音楽を取り上げました。前回の「踊りも音楽も! チャイコフスキーのバレエ音楽まとめ」は多くの方にご好評いただき、チャイコフスキー人気の根強さをひしひしと感じましたよ。
今日も、異国情緒を楽しむ回になります。いざ、19世紀のチェコへ!
ドヴォルザーク
チェコの後期ロマン派の作曲家といえば、真っ先に思い浮かぶのがアントニン・レオポルト・ドヴォルザーク(1841〜1904年)ではないでしょうか。ブラームスに見出されたドヴォルザーク。「ボヘミア楽派」と呼ばれ、チェコの民族主義的な音楽を創作しました。
『スラヴ舞曲集』
ブラームスの『ハンガリー舞曲集』が人気を博したために、ドヴォルザークにも舞曲集の作曲依頼が舞い込みます。そこで作曲されたのが『スラヴ舞曲集』です。元々ピアノ連弾のために書かれ、その後本人により全曲が管弦楽用に編曲されました。
動画は「第2番 ホ短調」。ゆっくりとした悲哀の部分と、テンポの速い情熱的な部分からなる構成で、「ドゥムカ」と呼ばれるそうです。ピアノは小さなオーケストラなんてよく言われますが、4手もあればまさに充実した音楽になりますね。
オーケストラ版は「第8番 ト短調」を見つけることができました。大所帯になってもダンスの軽快な雰囲気はまったく損なわれませんね!
交響曲第9番「新世界より」
ドヴォルザークといえば、1893年に作曲した最後の交響曲もはずせません。ドヴォルザークは1892年から3年間アメリカにいたのですが、この曲はそのときに書かれ、副題の「新世界より」はアメリカ(新世界)からボヘミア(故郷)に向けてのメッセージという意味合いがあるそうです。
現在でも演奏機会がとても多いことからも、その人気ぶりがうかがえます。
スメタナ
ドヴォルザークに先んじて活躍した作曲家が、連作交響詩「わが祖国」を作ったペドリッチ・スメタナ(1824〜1884年)。「わが祖国」は6つの交響詩からなり、チェコの歴史、伝説、風景を描写した作品です。
連作交響詩「わが祖国」より『モルダウ』(ハープ編曲)
なんでハープ編曲やねん!? って思いましたか? ふふ、油断大敵。私は隙さえあらばハープの素晴らしさを布教していくスタンスですよ(誰)。しかしこのフランスのハーピストMilotさんの演奏はきらびやかで本当にすてきなんです。爪がないのかな? というくらい全く雑音が入りませんね。すごい。
オーケストラ版もどうぞ。
ヤナーチェク
最後に、レオシュ・ヤナーチェク(1854〜1928年)からも名曲を。
『利口な女狐の物語』
なんと、ヤナーチェク自身が台本を書いているオペラ。動物がたくさん登場するので一見ファンタジックなのですが、テーマはというと「自然の生命の回帰」で、哲学的な要素を多分に含んだ作品となっています。
ヤナーチェクの特徴は、なんといってもその独創性。前述のふたりがいかにボヘミアンな曲調を作り上げたといっても、それはあくまで伝統的な西欧音楽の枠組みを飛び出すものではありませんでした。その点、ヤナーチェクの音楽は当時大流行していたワーグナーの音楽とはほとんどなんの共通点もなく、似ている音楽というのを見つけることができません。
さて、今回は図らずもなかなかのボリュームとなってしまいました。どれも魅力的な楽曲ばかりで、削ることができなかったんです…と言ったら全部聴いてもらえるかしら!?
次週はスペインのクラシックを取り上げます。どんな違いがあるのか、楽しみですね♪
ノリコ・ニョキニョキ
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