いきなり私ごとで恐縮ですが私は4歳から18歳までピアノを習っていたにも関わらず、ろくすっぽピアノを弾くことができません。ですが、今でもたまに弾きたくなることがあって、これはもう自分の中で完全にお約束なのですが、落ち込んだときに必ずベートーヴェンの『悲愴』第二楽章を弾くというものです(弾けてはいないけれど弾く)。
他の楽章ももちろん素晴らしいのですが、この第二楽章はもうなんと言ったらいいか、個人の感想ですが最高です(語彙力)。
というわけで今日はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827年)の回です。ハイドン、モーツァルトときて、古典派を締めくくるのがベートーヴェン。フランス革命期を生き抜いた彼は、宮廷や教会とは関係のない自由な立場で自身の音楽性を追求した最初の大作曲家であると言われています。
ご存じの通り、ベートーヴェンは若くから才能を発揮したものの20代後半に持病の難聴が悪化。一度は自殺を考えながらも結局はその苦悩を乗り越え、その後も数々の名作を世に残すこととなります。
その時期の作品群、いわゆる中期の作品群から、この曲を聴いてみましょう。
ベートーヴェン『交響曲第7番』
のだめカンタービレで使われたことでも有名なこちらの曲は1813年、まさにベートーヴェンの円熟期に書かれた楽曲です。ベートーヴェンの楽曲に多々見られる3度の転調が神業的に駆使され、長い第一主題から第二主題にかけて維持される付点音符を含んだ弾むようなリズムは筆舌に尽くし難い幸福感を与えてくれます。
哀愁を帯びた主題で始まる第二楽章、スケルツォの第三楽章と最後まで隙なく楽しめる名作中の名作です。
そしてベートーヴェンを知る上で弦楽四重奏曲を無視することはできません。晩年の弦楽四重奏曲(第12番〜第16番まで)は特にベートーヴェンの集大成とも言える作品群と言われています。
ベートーヴェン『弦楽四重奏曲 第14番』
これら5曲は全てが完成し尽くされた楽曲で、どの曲をご紹介するかということに関しては本当に決めようもないことなのですがここでは第14番を。
この曲は弦楽四重奏曲としては珍しくフーガで始まり、変奏曲、スケルツォなどを経てソナタ形式で締めくくられるという構成。全部で7つの楽章が切れ目なく続くのですが、その流れるような展開をワーグナーは “異なる世界からの啓示” と称したそうです。
ここからは個人の考えですが、ベートーヴェンの音楽に触れるたびに思うのは、音楽を愛し、仕事とし、音楽とともに生きることを決めた中で聴力を失うというのはどれだけの苦悩なのだろうということ。そしてその苦しみの中で一体どのように音楽への希望を紡いだのだろうと。ですが彼の作品を聴いていると、そこに確かに音楽への喜びがあったんだなあということは確信できて、それが私がベートーヴェンの楽曲を大好きな理由のひとつなのかなと思います。
さてゆるくまったりやってきたこの連載も気づけば今回で第10回目でした。いつも読んでくださっている方ありがとうございます!
来週もぜひこの時間にお会いしましょう😊
ノリコ・ニョキニョキ
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