音楽史を概観しながら名曲を聴いていこうというこちらの連載。先日フォーレの楽曲をたっぷりと紹介しましたが、本日はカミーユ・サン=サーンス(1835〜1921年)に焦点を当てたいと思います。
サン=サーンスは作曲だけでなくピアニスト、オルガニストとして活躍し、さらには詩、天文学、数学、絵画の分野で才能を発揮したいわゆる“天才”。そのゆえか嫌味な性格で有名で、20世紀前半のフランスを代表するピアニスト、アルフレッド・コルトーに対して「へぇ、君程度でピアニストになれるの?」と言ったという逸話も。
ですが、それだけ一流の音楽にしか興味を示さないという、彼の信念の強さを象徴するエピソードでもあり、それは近代音楽が台頭し始めても、最後まで自身の作風を守り抜いたという点にも現れているのではないでしょうか。
組曲『動物の謝肉祭』
彼の作品の中で真っ先に思い浮かぶのが動物の謝肉祭。全部で14曲からなり、室内楽用に作曲されました。
実はこの曲はチェリストであるシャルル・ルブーク主催のプライベートな夜会のために作曲されたもの。中には、他の作曲家の旋律をパロディとして引用している箇所もあるため、サン=サーンスは自身が亡くなるまでこの楽曲の出版と演奏を禁じていたと言います。
第13曲「白鳥」
チェロ独奏曲としてとても有名な曲で、唯一生前の公開演奏と楽譜出版がなされた楽曲でもあります。
それにしても、この規模の室内楽をプライベートでって…なんて豪華なんでしょう。
ヴィルトゥオーゾの活躍
ところで、19世紀のヨーロッパでは、いわゆるヴィルトゥオーゾと呼ばれる超絶的技術を持った演奏家も華々しく評価されていました。ヴァイオリン分野のヴィルトゥオーゾといえば、19世紀前半はイタリアのパガニーニ、後半はスペインのパブロ・デ・サラサーテが有名でしょう。
サン=サーンスの書いたヴァイオリン協奏曲第3番は、サラサーテに献呈された楽曲です。
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調
ヴァイオリン協奏曲第3番は、サン=サーンスによる最後のヴァイオリン協奏曲です。憂鬱な雰囲気をまとう第1楽章、シチリアーノのリズムにのって明るく歌う第2楽章、自信に満ちて情熱的な第3楽章…と、ヴァイオリンの音色のさまざまな表情を引き出す名曲です。
動画はどちらも一部抜粋ですが曲の雰囲気を十分に楽しむことができます。気に入ったらぜひ音源を手に入れてくださいね♪
サン=サーンスを聴きに行こう♪
唐突の宣伝で恐縮ですが、実は5/27(土)15:00〜開催される「3時のおやつコンサート」でも、サン=サーンスの楽曲を演奏します!
おやつと紅茶を楽しみながら気軽にクラシックを聴こうという、まさに本連載「Sunday Classic」のオフラインイベントとも呼べるような演奏会なのですが、裏テーマとして「フランス音楽を楽しむ」というものがありまして。サン=サーンスをはじめとしてフォーレ、ドビュッシー、ビゼー…と、まさにフランス尽くしのプログラムとなっております!
フランスの比較的近代の楽曲なので聴きやすさもあり、優雅さもあり…ぜひお気軽に演奏を楽しみにきていただけましたら幸いです♪
詳細・ご予約はこちらのページから▶︎【お知らせ】COSMUSICA presents『3時のおやつコンサート』開催決定!
こちらの演奏会はCOSMUSICAが主催する初めてのコンサートなのですが、今後もなるべく定期的にイベントをおこなっていきたいと考えております。今回ご都合がつかない方も、ぜひ楽しみになさってください^^
ノリコ・ニョキニョキ
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