日曜日の午後は紅茶とクラシックを楽しもうという私の趣味丸だしのこの連載。中世からルネサンス、バロックと音楽史を追いながら名曲を紹介してきました。
今日は、バロック時代に発展した「コンチェルト(協奏曲)」に焦点を当て、巨匠ふたりによる作品を聴き比べてみましょう!
バロック時代のコンチェルト・グロッソ
バロック以前、コンチェルトといえば声楽と器楽の合奏曲のことでしたが、バロック時代には独奏楽器+合奏(≠管弦楽)の組み合わせで「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」と呼ばれるものが発展しました。
特にその発展に寄与したのがアルカンジェロ・コレルリ(1653〜1713年)です。
クリスマス・コンチェルト/コレルリ
アレグロの箇所は爽やかな疾走感で聴かせつつ、終始上品さを感じさせます。クリスマス・コンチェルトと呼ばれるのは、クリスマス音楽に出てくるような牧歌的な旋律(パストラーレという)が含まれているからだそう。
そして、器楽曲で名を響かせたバロック時代の作曲家といえば、アントーニョ・ヴィヴァルディ(1678〜1741年)です。
次に紹介する『調和の霊感』は、12曲からなる曲集。そのうち8曲が、コンチェルト・グロッソの形で書かれています。ぜひコレルリの作風と比べて聴いてみてください。
「調和の霊感」/ヴィヴァルディ
第一楽章の冒頭の即興的な部分、そして続く厳格なフーガという形式は、オルガンの曲種である「トッカータとフーガ」を模したものだそうです。この曲は後にバッハがオルガン用に編曲しています。
個人的にはここでスッと本日分を終えたい気持ちですが、ヴィヴァルディを取り上げてこの曲を紹介しないわけにはいかないので空気を読んでこちらも。
「四季」/ヴィヴァルディ
「四季」は、1725年に出版された12曲のヴァイオリン協奏曲集『和声と創意への試み』のうち第1曲から第4曲までの『春』『夏』『秋』『冬』を指す総称です。
個人的に大好きな『冬』における最初のアレグロは冬の寒さの中で震えているシーン。そこからラルゴになって、暖炉の近くで安らぐのですが、最後はやはり寒さと対峙するという描写で終わります。なんなら露骨とも言えるほど「冬」というテーマが浮き彫りになっていますが、そのおかげでクラシック初心者も直感的に音楽鑑賞を楽しめるのではないでしょうか。
そしてなんと言ってもヴァイオリンのソロが素直にかっこいい! ただし、もれなく脳内で某スズキのCMが流れるのは不可避といえます。
さて、既に2回にわたってバロック時代の音楽を聴いてきましたが次回は……またバロックです。個人的な好みを鑑みればこのまま永遠にバロックかもしれないとすら思いますが、いずれ進みましょうね。
ではまた次週お会いします。ごきげんよう。
ノリコ・ニョキニョキ
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