運転手がいる? 世間の音大生のイメージと現実のギャップを検証してみた

音大生に、みなさんはどのようなイメージをお持ちですか?

美しいサロンで優雅に楽器を奏で、セレブに囲まれるピアノ弾きのお嬢さん? あるいは、ドレスに身を包み華やかにヴァイオリンを奏でる美女? はたまた、頭脳明晰で王子様のような指揮者?

「若者のクラシック離れ」がささやかれて久しく、そのことをクラシック界の若者たちも嘆いているのですが、このギャップの要因のひとつには、「音大生=セレブ」というパブリックイメージが強くあると思うのです。そこで今回は、音大生に対する世間的なイメージとリアルな姿を比較検証してみました!

音大生って…「お嬢さま&お坊ちゃん」なの?

運転手とかいる?

東京藝大剣道部を舞台にした小説がありまして、個人的には丁寧な物語で好きなのですが、ひとつだけどうしても気になるところが。主人公のヴァイオリン女子が、運転手の送り迎えで登下校しているのです。

言いますけど、「運転手の送り迎えで登校している人」はこれまで一度も聞いたことがありません。もしかしたらどこかにはいらっしゃるのかな…というレベルに幻です。まぁ、楽器や本番衣装があまりに重い上に雨が降っていたりしたら、タクシーに乗りがち、というのはあるかもしれませんが…。

スポーツは禁止?

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そんな小説の舞台となった東京藝大剣道部は、実在の部活動。ほかにもバスケ、サッカー、テニスに器械体操部も…!

実際、部活に所属しているのは美術学部の学生の方が多いですが、音楽学部の学生でも運動部に入る人もいます。中学高校で運動部に入っていたよ、という人も少なくありません。スポーツ好きな音楽家、実は結構います。そしてご想像通り、運動音痴な演奏家もそこそこいます。しかしいずれにしろ、けがをするから禁止! なんてことはありません。

プライド高そう

ごめんなさい、これは否定できません(笑)

やはり人一倍努力して、受験して、合格したから今がある、と思っているために、そんな自分ががんばってきたことへのささやかなプライドは誰もがあると思います。いいプライドは、健やかな生活にはいい栄養です。でも高すぎるプライドは邪魔になりますね…。

家事とかできるの?

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これはかなり人によります。常に外食をしたり買ってきたものを食べている人もいれば、しっかりお弁当を作っている人、美味しいスイーツを友達に振る舞ってくれる人まで…。この点は世間的な大学生像と一緒です。ただ時折、極端に「のだめ」ふうのお部屋の人がいることは、内緒にしておきましょう。

バイトとかしたことある?

一般的な大学生バイト率よりは減りますが、音大生のバイト経験者は意外と多くいます。業種は飲食からアパレル、塾講師まで多岐にわたります。また、卒業後にフリーランスとしての活動が安定するまでバイトをこなす人もいますよ。

一方、音大生ならではのアルバイトは、コンサートホールのスタッフ。チケットもぎりや客席内のご案内、クロークなどの業務に従事します。

飲み屋行ったことある?

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あります。演奏会の後に打ち上がったりするときに利用します。アメ横、池袋、新宿…もちろんチェーン店にだって行きます。幹事さんならお店のLINEくらい登録して、割引に詳しいかもしれません…。お座敷タイプのお店なら楽器を隅にまとめて置くことができる、というライフハックもあります。

浮世離れしてそう

浮世離れは…かなりしていますね。どこの段階から世間離れしてしまったのか、本人たちはイマイチ自覚がありません。そのため、その世間知らずさから、親御さんにすら驚かれることや、たまに地元の友達と会うと話が噛み合わないことも…。もともとしっかりしていて、あまりズレてないタイプの人もいますが貴重です

パソコン使える?

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作曲科は使えます。なぜなら彼らは自分の曲をパソコンを使って出力しているからです。楽理科ももちろん使えます、彼らは学者さんですからね。しかしこれが演奏家たちになるとちょっと危ない…おそらく、各大学の各科目に2・3人やたら使える人がいるかなぁ、といった感じです。

勉強できるの?

ピンキリです。とっきどき「東大入れるレベルに頭良かったけど音楽やりたくなった」タイプの秀才がいたり、かと思えば「数学赤点常連です」タイプの人もいたり。ピンキリです。

でもおしなべて言えるのは、それぞれ集中力はあります。ここぞ、というときにテヤァとパワーを発揮することには長けていて、そんな火事場の何とか力で学科試験をこなしています。

就職活動とかするの?

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する人もいます。特に近年は、とある音大の進路担当の先生が出した「音大生就活本」が売れるほど、就活生が増えたのでしょう。演奏家とは違う方向から音楽に携わる道を選ぶ人や、まったく異なる業界に進む人も。

ときに彼らは「音大なのに就活するってことは、音楽やめるってこと? その調子で会社辞められたら困るよ」などと圧迫されることも。それは、彼らの音楽へのリスペクトと自問の結果を踏みにじる、ひどい言葉であります。音楽の尊さを知るがゆえ、己の適切な立ち位置を探しに行っているのですから。

音大生も人の子です!!

以上、10のウワサを真偽を検証しました! 音大生も、ある面ではフツウの大学生、ある面ではいっちょまえに芸術家的です。かなりキャラクターが濃いことは自他共に認めます。

とはいえ音大生も人の子。タフそうに見えても、「飲み屋なんて行かれへんやろ、家にバーでもあるんとちゃうか?」「どうせ楽器ばっかり弾いとって泥なんか触ったことあらへんやろ」とキツい冗談はなかなか傷つきますので、ご遠慮ください🙇

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ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院研究課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。