雨続きの不思議な8月ももう終盤。みなさま、お盆休みは楽しまれたでしょうか? COSMUSICAでは8/10(木)に原田真帆氏・若杉まり氏によるヴァイオリンデュオコンサートを開催いたしました。ふたりはともにイギリスで学ばれた・学ばれている方なので、今日はイギリスの作曲家たちに焦点をあててお届けしたいと思います。
20世紀イギリスの音楽シーン
15世紀の初めにジョン・ダンスタブルという作曲家が活躍し、16世紀にタリスとバード、次に17世紀のパーセルが活躍したのちは、20世紀にいたるまでしばらく音楽界の表舞台に立つ人物は現れず…という、ちょっと変わった音楽史を持つのが、イギリスです。しかし20世紀に入るとどうしたことでしょう、数々の名作曲家たちが頭角を表してくるのです。
エルガー『威風堂々』
まずはじめに、『威風堂々』を作曲したエドワード・エルガー(1857〜1934年)です。幼い頃から音楽の英才教育を受けて育ち、ヴァイオリンやオルガンの演奏家としても活躍しました。しかし作曲家としては長らく伸び悩み、ようやく彼の作品が認められ始めたのは、1890年代のこと。『黒騎士』『生命の光』など複数の曲で徐々に知名度を高め、1899年には『エニグマ変奏曲』の大成功でその地位を確固たるものにしたということです。
『威風堂々』は管弦楽のための行進曲集で、エルガーが作曲したものは1〜5番まであります。有名すぎる第1番の中間部(あの印象的で胸を打つメロディ! 通称『希望と栄光の国』)は「イギリス第2の国歌」と呼ばれるほど多くの人に愛され、ロンドンで毎夏開催される、8週間にも及ぶクラシック音楽コンサートシリーズ『BBCプロムス』の最終夜に必ず演奏されているそうです。
ホルスト「惑星」より『木星』
グスターヴ・ホルスト(1874〜1934年)の作曲した組曲『惑星』には7つの楽章があり、そのすべてに惑星の名が付けられています。もっとも有名な「木星」は平原綾香さんが歌詞をつけて歌ったことでも記憶に新しい…と書こうとしたらもう13年以上の前のことでした!(笑)
発表当時は好評されたものの、同時代の作曲家ドビュッシーの『海』やストラヴィンスキーの『春の祭典』などが鮮烈に評価されていたために次第に忘れられてしまったというこの曲。1961年頃にカラヤンが再発掘し、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で紹介したりレコーディングをおこなったりしたことで、再び日の目を見たということです。
ブリテン『ハープのための組曲』
ここにきてハープ曲を紹介するわたしです。ベンジャミン・ブリテン(1913〜1976年)は5歳から作曲を始め、9歳には弦楽四重奏曲を作り上げるなど幼少期からその才能を発揮していた人物。第二次世界大戦後のイギリスで精力的に活動し、歌劇や合唱曲、管弦楽曲など多数の作品を残しました。
このハープ組曲はそんな彼が晩年に書いた曲です。それこそハープ界隈の人にしか馴染みのない曲かもしれませんが、聴いてみると、前衛的な響きやフレーズもあれば和声のはっきりした部分もあり…となかなか聴きやすいではありませんか! ハープの特性も存分に生かされており、ハープの曲もっといろいろ聴きたい〜という方にぜひご紹介したい楽曲のひとつです。
さて、実はSunday Classic本編はこれにて終了となります。次回は「隠れ? 名曲紹介」と称して、わたしが個人的にヒアリングをして集めた「私にとっての名曲はこれだ!」という作品たちを紹介したいと思います。教科書には載っていないかもしれないけれど、ぜひ聴いてほしいという曲です。ぜひ、楽しみにお待ちくださいませ!
ノリコ・ニョキニョキ
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