ベルリン便り Vol.14 ~オーケストラツアー【ツアー成功の裏側で】

ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の日本ツアーレポート、これまではツアーについてや演奏会の裏側、外国人から見た日本の印象などをお伝えしました!

ツアーレポート第 1 弾【概要編】
ツアーレポート第 2 弾【演奏会編】
ツアーレポート第 3 弾【外国人から見た、日本】

今回は総括編として、このツアーの成功に欠かせなかった“とある存在”についてご紹介したいと思います。

ステージに立たねども、演奏会を作る!

(福島県立音楽堂終演後の撤収の様子。出典:ツアー公式ブログ

オーケストラの演奏会に欠かせないのが、ステージマネージャーの存在。ステージに椅子や譜面台、楽器を並べてセッティングしたり、楽器を運搬・管理したり、その仕事は多岐に渡ります。椅子が低いと言う奏者に別の椅子を持ってきたり、終演後にすべての道具を再びトラックに積んだり…彼らの仕事はリハーサルの前から始まり演奏会の後まで続きます。演奏会の最中が唯一の休憩と言っても過言ではありません(ただし、演奏中にすでに撤収の準備をしていることも)。

ステージマネージャーの方々は奏者たちより 1 時間も 2 時間も早く現場入りし、終演後には団員さんが乗るバスを先に送り出して、すべてを片付けてからタクシーで帰ります。福島で演奏した際は、終演後に東京へ新幹線で帰らねばならず、「奏者だけでなくステージマネージャーたちも最終の新幹線に間に合うよう、速やかな撤収にご協力を」という呼びかけがあったほどでした。

力仕事で疲れた体を休める暇が十分なかったにもかかわらず、毎日すばらしいステージを作ってくださった彼らには、尊敬と感謝の気持ちしかありません。

ツアーのA&O(アーとオー)!

(このようなすばらしい公演ができたのも、たくさんの方の支えがあったから。出典:ツアー公式ブログ

ドイツ語で《物事の核心》を意味する、“das A und O”という言い回しがあります。ギリシャ語のアルファベットの最初のAと最後のΩ(オメガ)に由来しており、オメガはOmegaと書くことから “das A und O” と言います。

まさにツアーの “A und O” だったのが、事務局のおふたり。日本に同行されたのはひとりだけですが、おふたりは日本や韓国でのビザの申請に始まり、エージェントとやりとりをしたり、ツアー中のトラブルに対処したりなど、計り知れない量の仕事をなさっていました。

一度、日本に同行した事務局員さんと食事に行く機会がありましたが、ツアー前は普段の業務と並行しながら準備をせねばならず、連日朝から晩まで事務局にカンヅメ、誰にも邪魔されないように電気を消して雨戸も閉めて仕事されたこともあったそうです。

それでも起きる、トラブル…。

(プラットホームにはスーツケースの山が…。出典:ツアー公式ブログ

万を辞してスタートするはずだったツアーですが、実は出発前に、ベルリンの空港の従業員がストライキを起こし、飛行機が飛ばなくなるという大きな事件がありました。

ストライキはドイツでは比較的よくあることで、起きる際は前日までに必ず予告されます。今回も私たちの出発2日前にストライキが開始される予定でした。しかし結局ストライキは2日間おこなわれず、よりによって我々の出発日に始まってしまったのです。

ストライキの可能性が出たときから、すでに事務局は電車での代替案の準備を始めていました。乗り換えのフランクフルト空港までの電車を予約し、2日前にはそういった代替案があることが告知され、我々が不安なく出発できるように取り計らわれていたのです。

出発日のストライキは前日午前に予告され、私もニュースで見て知っていたのですが、事務局員さんもその日の午後にわざわざ電話でご連絡をくださり(一人一人にお電話されたそう)、さらにメールも送ってくださったのでした。

当日も特急列車の座席が人数分すべてきちんと予約されていたり、フランクフルト空港に我々専用のチェックインカウンターが用意されていたりと、彼らの代替案はもう完璧! おかげで、我々は無事に日本へ旅立つことができたのです。彼らには本当に頭が上がりません…。

ツアーに参加して

(日本での最終公演後にはバックステージにこんなものが。KHOとは、KonzertHausOrchesterのこと。出典:ツアー公式ブログ

団員でないにもかかわらず、ご縁をいただいて参加することができた今回のツアー。自分の母国での開催だったこともあり、非常に貴重な機会となりました。

これまでヴィオラの方々以外はあまり存じ上げなかったのですが、今回のツアーを通して管楽器や打楽器の方々ともお知り合いになれました。さらに日本人ということでいろいろな場で頼りしていただいたり、コンツェルトハウス管弦楽団公式 Twitter の日本語文を書くことになったりと、楽しい経験がたくさんできました。同時に、ツアーの大変さを学んだり、彼らから見た日本を教えてもらったり、そもそも日本に連れてきていただけて家族や友人の前で演奏することができたりと、本当にありがたいことの連続でもありました。

その一方で、日本人としてはまだまだ日本を知らないとも痛感しました。団員さんのほうが良いお店や観光地、日本文化を知っていたということも少なくなく、文化や歴史等について質問されてもあまり答えられない自分が恥ずかしくなりました。

外国の方と接するときには、彼らの知る数少ない「ニホンジン」のひとりが自分、というシチュエーションも少なくないので、ドイツでドイツ文化に馴染もうとするのみならず、自国についても見直していきたいと思いました。


4 回に渡り、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の日本ツアーについてご紹介しました。

まだまだこちらの生活でご紹介したいことはたくさんあるのですが、今ゼメスターに卒業試験があり、その準備に専念するため、このコラムは少しの間お休みをいただきます。試験が終わって落ち着いてから、また再開したいと思っておりますので(再開第1回はきっと試験についてでしょう…)、どうか楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです♪

それでは、Auf Wiedersehen (またの再会に)!!