進め! ヴァイオリンおけいこ道 第47回「学校で弾く」


今週もおけいこ道のお時間がやってまいりました。ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆がお送りいたします。

今日のテーマは「学校で弾く」こと。文化祭や全校集会などで演奏する機会についてつづっていきます。

学校で弾く

小学校や中学・高校で(もちろん音楽中学・音楽高校を除く)、ときに楽器を習っている人が演奏を披露することがあります。文化祭で、全校集会で、クラスメートの前で…その規模はいろいろなれど、こういった演奏の機会が未来の音楽家にとってすばらしいのは、ご学友から理解や応援を得られるようになること。

部活動などでの活躍は、学校で練習をしていたり大会結果の貼り出しや表彰があったりして、目に留まりやすいのですが、個人で音楽をがんばっている場合には、そのがんばりが学校の友達には伝わりにくいのです。がんばっている姿が見えるからこそ、応援したくなるもの。身近な人の応援は力になります。

にしても、こういった演奏機会を学校から与えてもらえることもありますが、意外と先生側も「こういうこと頼んだら悪いのかな…」と遠慮していらしたりするので、企画を自分から売り込むのも手です。

自分を売り込む…?

わたしは小学校時代に1回、中学時代に1回、そして卒業後に中学の文化祭で演奏しましたが、明かせばどれも「売り込み」です。

小学生時代は、生徒会主催の「有志による特技発表会」の参加募集に自ら申し込みました。ただし出番が1分に限られていたので、係の先生に直談判。

「先生、ヴァイオリンを弾きたいのですが3分いただけないでしょうか…?」
「あら噂には聞いているわよ、あなたヴァイオリンをがんばっているんだってね、3分くらいなら全然いいわよ」

先生のご理解あって3分弾く権利を得て、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番のプレリュード(♪ミレミッシッ♯ソッシですね)をショートカットして披露しました。

このときの反響が非常に大きくて、校長先生・教頭先生に声をかけていただいただけでなく、児童からのアンケートでも感想をいただいたりして、その中でも特に小学1年生の子に興味を持ってもらえたのが嬉しかったです。また直接聞いていない子にもうわさが届いたおかげで、このときにわたしがヴァイオリンを遊びでなくがんばっていることが同級生に伝わったのは、その後ほとんどの児童が同じ中学に進学した環境では非常に助かりました。

中学は部活動に入らないとマイノリティ扱いされる環境でしたが、同じ小学校の子が「あの子はヴァイオリンがんばっているから」と理解を示してくれたおかげで、疎外感を受けたりいじめられたりすることなく過ごせたのは幸せなことでした。

そして中学卒業間近、音楽高校に合格したあとでわたしは静かに卒業を待つ身だったある日、毎日提出必須だった日記帳にさりげなく「学活で弾いたりとか…してもいいですよ…」なんてコメントを書いたところ(さりげなくない)、数日後担任の先生が正式に「最後の学活でちょっと弾いてくれない?」と依頼してくださったので、音楽の先生に協力を要請して、小品2つとそのとき弾いていた協奏曲の最後の楽章を演奏しました。

やはり「あの子はヴァイオリンをがんばっている」と言葉で聞くよりも、一度演奏を聴いてもらったほうが効果覿面(てきめん)。応援してもらえる温度が圧倒的に変わります。

身近な人の演奏の効果

もうひとつだけわたしのエピソードにお付き合いを。大学2年生のときに、出身中学の在校生(当時)で、わたしと同じようにヴァイオリンをがんばっている女の子に出会いました。つないでくれたのはわたしがお世話になった国語の先生で、彼女もちょうど同じ先生に習っていたことから生まれたご縁でした。

ある日彼女がわたしを訪ねてきてくれて、うちに招いて話をするうちに、わたしは一緒に文化祭で弾くのはどうだろう、と思いました。そこで国語の先生に連絡を取り企画を提案したところ、職員会議に通してくださり、企画は採用に。

在校生の彼女と卒業生のわたしの「コラボ」というのが、より生徒さん・親御さんの反響を生んだようです。企画が好評で、翌年は先生のほうから「今年も出ないか」とお誘いいただいたほどでした。彼女にとっても良い機会になったようで、それは企画協力者の国語の先生もそうおっしゃっていました。

とっつきにくいと思われがちなヴァイオリンも、よく知っている人が弾いていることによって身近なものに変わり、興味関心も高まります。実際、1回目の文化祭ではカジュアルな曲目を多めにしたのですが、2回目は先生から「今回はクラシック成分を高めたい」とご提案いただいたのはとても嬉しいことでしたし、聴きたいと思っていただけたからこその発展です。

同窓生というのはそれだけで連体感を感じられるもの。特に愛校心の強い学校ほど、同窓生の活躍をお互い応援したくなりますよね。応援してもらうにはある程度自分の活動を明らかにしておく必要があります。ちょっとしたアピールをすることはいやらしくないし、必要なことだとわたしは考えます。なんていっても、大人になったら自分でガンガン売り込んでいかないといけませんからね…良い練習ではありませんか?


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ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校・同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程1年在学中。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。