今週もおけいこ道のお時間がやってまいりました。ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆がお送りいたします。
今回のテーマはチューニングについて。日本語では調弦とも言いますね。
チューニングも音楽のうち
チューニングも音楽のうちとは…?
さて、ヴァイオリニストはステージに出る前にちょこちょこと調弦をして、ステージに出てから再びピアノと調弦して…そして弾き始める。そんなパターンが多いですよね。
いつだか本番を前にして先生に言われて、しみじみと考えた言葉があります。
「チューニングから音楽は始まっていると思って」
確かに、自分が客席にいるときを考えたら、舞台袖から調弦が聞こえてくる段階でワクワクするものです。
あるいは、ピアノの友達と一緒にピアノの先生のレッスンに行ったときには、何気なくチューニングするわたしたちを止めて、先生はピアノの子に向かってこうおっしゃいました。
「この曲を弾くための『A(ラ)』の音を出してほしいな」
ラをあげる、ラをもらうという行為から、このあとに弾く音楽を予感させる⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯チューニングはついついオフステージ感覚になってしまいますが、プロフェッショナルはチューニングから舞台が始まるということです。
長すぎる調弦は興ざめ
では、音楽的なチューニングとはいったいどんなものでしょうか? たとえば気になって調弦に時間をかけすぎると、ときに自分のリズムが崩れたり、集中力が途切れたりして、演奏がうまくいかないことがあります。
もちろん調弦が合わないと弾けないのですが、舞台上でそこまで時間がかかる場合はよっぽど音程が狂ってしまった場合に限られ、コンクールなどを見ていると、その多くが気にしすぎて過剰に時間をかけてしまうパターンと言えます。しかしそれは「早けりゃいい」というわけではなくて、自分のタイミング、それこそ、その日弾く曲のテンションに合わせたタイミングでチューニングできたら理想的です。
スポーツ選手などを見ると、試合の前のルーティンを決めている人が多いですよね。おこなう動作が決まっているということは、タイミングにもほとんどブレがないことは想像に難くありません。たとえばフィギュアスケートの選手がリンクに出ていくところは、わたしたちが舞台に出ていく動作と近いものを感じます。
調弦のおとも
良いチューニングをするためには、おともがいると安心です。ステージに出たら最後、信じられるのは自分(とピアノ)だけですが、楽屋では助けがあってもいいですよね。
多くの人はチューナーを持っているのではないでしょうか。教科書的な「ラ=440Hz」と現在一般的な「ラ=442Hz」の両方を測れるものや、自分で好きなHzを設定できるもの、またはメトロノームと合体しているタイプは人気ですね。
KORG チューナー/メトロノーム
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個人的には昔ながらの音叉が好きです。チューナーも持ってはいますが電子音に合わせるのが好きではなくて…留学するにあたっても日本に置いてきたほどです(笑)楽典の本の最初のほうで、必ず「純音」「楽音」「噪音」という3つの音の種類を習うと思いますが、音叉はこの純音に非常に近い音を出します。
ウィットナー 音叉(チューニング・フォーク)
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音叉を持っている人はあまり見かけないので、ときに友達がわたしの楽器ケースをのぞいて「音叉だ〜! 本物だ〜!」という勢いで珍しがられます。高校生の頃、友達がわたしの音叉を触りながら「音叉って…これを使うと音が自動で合うってわけじゃないんだ…」と言ったことがありました。音叉はただきれいな音がひとつ鳴るだけ、そしてその音を聞いて自分で音を合わせるだけ。とても古典的なチューニングの方法です。
なんだか音叉をポーンと音を鳴らすと落ち着くんですよね。本番前に使うものは、自分が落ち着くものを揃えるのがおすすめです。チューナーも最近はいろいろな色やキャラクターのものがあるので、お気に入りを探してみてください♪
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