プロを目指しながらも一般大学へ。音楽大学へ進学しないメリットとデメリットとは

はじめまして。これからコスムジカでライターをさせていただくことになりました、月元 悠(つきもと はるか)と申します。長崎出身、福岡在住、ときどき東京…と神出鬼没なヴァイオリニストです。

私は現在大学院でヴァイオリンを専攻していますが、大学は実は音大ではなく、いわゆる“一般大学”である西南学院大学の国際文化学部を卒業しました。今回は自己紹介も兼ねてヴァイオリニストを目指しながら一般大学への進学することについて書きたいと思います。

きっかけ

ヴァイオリンを始めたのは3歳のとき。中学に入りコンクールなどにも出るようになると、自然とプロへの道を意識するようになりました。幼少期から長らく師事していたピアノの先生にも「音大を目指しなさい」と繰り返し提言されていたこともあり、将来は音大に進学するのだろうと漫然と考えていたように思います。

ですが高校に進学し、進路を本格的に考える時期になると、特に関心を寄せていた世界史や現代社会の授業を通して「私が知らないことが世の中にはたくさんある」ということに気がつきました。教科書以外のことも知りたい、知らないといけないと感じる瞬間が増えて、一般大への進学という選択肢も視野に入れるようになったのです。

かと言って、プロのヴァイオリニストへの道も諦めるつもりはありませんでした。そこで、どうしても譲れなかった以下の 3 つの条件で大学を探すことにしたのです。

  • 師事している福岡の先生のレッスンにも頻繁に通えること(地元長崎から通っていました)
  • ヴァイオリニストを目指せる環境があること
  • 自分の学びたいことが学べること

そして、私の学びたいことが包括されている学部があり、音楽科がないにも関わらずプロのヴァイオリニストの方が在学されている西南学院大学に行き着いたのです。こちらでは個人の活動もバックアップしてくれる環境が整っていることを知り、受験生になる前には西南学院大学に志望を定めました。

西南学院大学とは

西南学院大学とは、福岡の早良区にあるキリスト教を基盤とした語学教育の充実した国際色豊かな私立大学です。とても自由で明るい校風です。福岡タワーやヤフオクドーム(旧福岡ドーム)やももち浜が近くにあります。

西南学院大学公式HP

私は国際文化学部という、異文化を理解するうえで必要な知識を体系的に学ぶことができる学部に在籍していました。

きっと西南学院大学イチ、教授も授業も学部生もユニークな学部でしたが(笑)専門分野がたくさん枝分かれしているので自分の好きなことを好きなだけ追求できる学部でもありました。みんな一人ひとりが夢を持っていて、それに使命感を持って行動している友人が多いという印象を受けました。その中だからこそ私も切磋琢磨できたのかもしれません。

また西南学院大学は国際文化学部に限らず、歌手やアナウンサーや作家など、その他にもさまざまな分野でプロを輩出しています。立派なチャペルでの著名人の講演会も豊富で、刺激を受ける機会が多く、コンサートも頻繁にあり学外からもたくさんの参加者がいました。

世界に通用する“本物”に身近に触れられる機会を授業の一環で受けることができるなんて、今考えるととてもぜい沢なことでした。

西南学院大学チャペル(出典:西南学院大学公式HP

国際文化学部で学んだこと

世界史概論、表象文化論、西洋文学、民俗学、人類学、美学、哲学、音楽史など、自分の興味のある分野に片っ端から触れていきました。少人数授業では意見を求められることもあり、その都度自分の意見を発表し、他の発言者と議論する機会もありました。

大学 2 年次からは専門分野を研究するゼミに入り、表象メディアなど、映像分析、楽曲分析、紀要論文の要約など自分の言葉で説明することが多かったです。

また私の所属していたゼミの先生は東京藝術大学の楽理科出身の先生だったので、授業の内容も比較的音楽をメインで学ぶことができました。

指定された演奏会に行くことが講義への出席と同等の扱いとなり、その演奏会を聴いた感想や意見のレポートが単位に反映される講義や、ひとつの演奏会を例に、企画・運営にどのくらいの費用がかかるのかなどを自分で考える講義もあり、それらは自分で演奏会を開催する際にとても役立ちました。

サークル活動

サークル活動として私の所属していた管弦楽団には、九州唯一のプロオケである九州交響楽団の団員の方が指導にいらしていました。そのおかげで始めたばかりの新入メンバーもものすごいスピードで成長。なんと、私の先輩はまったくの初心者で入部したにもかかわらず大学卒業後に音大の大学院へ進学し、現在プロの演奏家として活動されています!


音楽系サークルにはほかにも軽音楽部、ギターサークル、グリークラブ、DJサークルなどがあり、今まで興味を持ったことのなかった音楽ジャンルにも日常的に自然と触れるようになりました。ロックなんて聴いたことのなかった私が、今では眠れない夜はロックを聴きながら眠りにつくまでになりました(笑)

また、音楽系サークルの有志で企画する「音系プロジェクト」というイベントでは、他サークルの人とバンドを組み、サイレントヴァイオリンをアンプにつないで演奏しました。ライブハウスでの演奏や、聴きに来てくださっている方のリアクションがクラシックのそれとは全く違い、とても新鮮でした!

私の経験についてご紹介しましたが、学部自体を通じてもっとも大きな収穫だったのは、いろいろな人と出会えたということです。

とにかくちょっと変わった学部に所属していたので、学友たちは一般企業に就職したり、起業したり、進学したり、留学したりと、みんなが違う職業についてそれぞれの人生を選択していました。そんな中で、私も音楽をやっていく意義について考えたり、自問自答を繰り返したりしながら、自分なりの答えにたどり着けたように思います。

西南での大学生活を経て、自分でより深く考える力他人に自分をプロモーションしていく能力が身についたような気がします。

次のページからは、音楽家を志す人が一般大学に進学するメリットとデメリットについて考えていきます。

▷次ページ:音楽家を志す人が一般大学に進学するメリットとデメリット

ABOUTこの記事をかいた人

長崎県出身。3歳よりヴァイオリンを始める。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部卒業。福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程卒業。