今週もおけいこ道のお時間がやってまいりました。ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆がお送りいたします。
本日は、楽譜の書き込みについて考えてみたいと思います。
書き込みは多いほうがいいの?
レッスンや練習の中で、楽譜に書き込みをすることがあると思います。覚えておきたいことをメモする作業は、記憶のためにも大切です。
しかし、「書き込んだ」という事実に満足して終わってしまうという危険性があることも無視できません。
たとえばこんな楽譜に出会うことがあります。
僕は基本楽譜の書き込みはカット部かテンポ変化や最低限の事しか書かないけど
コンクールの指導に行くと学生のこんな楽譜を見る。ここまで書かないと覚えられないのなら本末転倒。
最早、音符見えないし意味ないのでやめろと指導する。 pic.twitter.com/uGRWRvNukC— こーへー (@kouhey0903) 2014年8月15日
これでは元の音符が読めませんね。暗譜しているからでしょうけれど、暗譜したあとだって何度でも音符を見つめ直すべきです。
【Warner Classical Break】誰の作曲のヴァイオリン協奏曲でしょう。
ヒントはこちら→ http://t.co/gsowaURBwN
それにしても、すごい書き込み・・・(※演奏者とこの楽譜とは関係ありません) pic.twitter.com/VphLAFUk0z— ワーナークラシックス・ジャパン (@warnerclassicsJ) 2015年6月27日
学校での板書もそうですが、多色取り揃えることに一生懸命になってしまうといいますか、よくまとめたなぁ、という気持ちになることは、すこし危険だと思います。
では、黒一色ならよいのかと言うと……
中学生の時にけっこうガチな吹奏楽部に入ってたんだけど、当時の楽譜がやばい pic.twitter.com/MySDvmnxkX
— mari-no (@mrn_KO) 2016年9月17日
鉛筆だけでも、こんなにすごい譜面を作れるのか、と正直驚かされました。
楽譜の余白にあるもの
楽譜というこの書物の中で、もっとも重要な情報を担うのは音符です。そして五線の、音符と音符の間にこそ、作曲家の想いや表したいことが込められているとわたしは考えます。
ですから、楽譜の余白は、余白であって、余白でないような気がするのです。
また、演奏はナマモノなので、毎度同じものを再現できるわけではないし、同じくある必要もありません。
ああこれは、音価やテンポを楽譜と違うことをしてよい、という意味ではありませんよ。その歌い回しやニュアンスが、毎回異なってくるよね、という意味です。
特にわたしは書き込みが少ないタイプだからとは思いますが、たくさん書き込むということはそれだけ束縛を増やしてしまうような気がします。
多く書き込めばそれだけ紙の上に情報が増えて、大切な情報が埋もれてしまう危険性もまた否めません。
色づかいもしかり。七色の楽譜は見た目には楽しいけれど、実用性を考えると少々見づらいのではないでしょうか。
でも、音楽に色のイメージを持つことは、表現を豊かにすると思います。色を変えることに夢中にならずに、その書き込みは譜面の上の音楽を尊重しているか、音楽の内容に沿っているか、考えてみてほしいなと思います🌈
用法・用量を守って
楽譜の書き込みは、五線の中の音楽を引き立ててこそ、その力を発揮できます。先生に新しいことを言われた➡️楽譜に書いた➡️オッケー、ではなく、その書き込みの内容を練習の中でかみくだき、自分のものにするプロセスを大切にしたいです。
最後に少しだけ、わたしの楽譜を……まずは失敗例から。
バッハのフーガの楽譜です。声部を明確にしたくてカラーペンで色をつけたところ、その線の太さが五線や加線と一致してしまい非常に見づらいことに。これをするならずいぶんと芯が丸くなった色鉛筆がオススメです。この手のインクは時間が経つと消えることもありますしね。
別のフーガでは色分けしませんでしたが、それで充分というか、まぁ色いらなかったなって思いました。
でも、たまにこんな落書きもします。
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