今週もおけいこ道のお時間がやってまいりました。ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆がお送りいたします。
今週は、楽器ケースの中身をクローズアップ。筆者のケースの中身も公開します!
ケースの中に入れるもの
楽器ケースに入っているものと言えば、もちろん楽器、弓。そして松ヤニと肩当てとクリーニングクロスあたりは「バイオリン初心者セット!」に必ず入っているでしょう。
加えて必ず入れておきたいのは、まず替えの弦。急に弦が切れたときのために、一度使った弦を「予備」として忍ばせます。新品の弦は調弦が落ち着くまでに時間がかかるので、ピンチには適さないのです。
わたしは弦を新しくするときに外した弦を捨てずに保存、弦を張り替えたら予備の弦も更新しています。新旧の弦がわからなくならないように、弦の袋や、弦にテープを貼って日付をメモするのがオススメです。
また鉛筆もあるといいですね。もちろん別に持っていてもよいのですが、うっかり忘れることもあります。ケースに 1 本あるとないのとでは、想像以上にQOLが変わります。余裕があれば消しゴムもどうぞ!
備えあればうれしいな
「憂いなし」と「嬉しいな」ってアナグラムできますよね。そんなことはどうでもいいや。
さて、ここからは必須ではないけれど入っていると役立つシリーズ。ただし日々の生活の中での登場回数は決して多くないので、ご自分のケースの容量に合わせて取捨選択してください。
まずは製本テープ。あると何かと使えます。譜面が破れてしまったとき、ちょっと留めたいときなど、ピンチを救ってくれる存在です。
爪切りを入れておいて、いつでも使えるようにしている人も多いです。爪ってふと気付いたときに切りたくなるもの。また思いがけず爪が割れてしまったりササクレが痛いときにあると助かりますね。
チョークやソープは弦を巻いているペグが止まらないとき、またはすべりが悪いときに、ペグと穴の接地面に塗るものです。写真中央右の茶色いスティックは楽器店で売られている「ペグソープ」、すべらないとき・すべりすぎるとき、どちらにも使えます。写真中央左は黒板で使うあのチョークそのもので、すべりをとめるとき用。ふつうの固形石けんを濡らさずに使うと反対になめらかになります。これらは応急処置用のアイテムなので、何日も状況が改善しない場合は楽器を調整に出しましょう。
あご当ての金具を締める工具も、いつもは使わないけれど、いざあご当てが緩んでしまったときに焦るんですよね…わたしもまだ持っていないのですが、少なくともおうちにあると安心ですね。
女の子だったら、ヘアゴムが 1 本あると本番でゴムが切れたりしたときに役立ちます。
そして楽器でお仕事をするようになったら、ハンコがあるとすごく便利です。大学にてとある先生に言われてハッとしたのが、このセリフ。
「君たちの場合、仕事と言ったら必ず楽器を持っているんだから、ケースにハンコ 1 本入れておけばいいじゃない…!」
確かにその通りです……ハンコがないと給与が受け取れないこともあるので、音楽の仕事をするようになったらケースにハンコ、おすすめします。
入れすぎ注意
いろいろご紹介しましたが、しかしですね、入るだけ入れればよいというわけではなく……重たくなりますし、ケースをうっかりひっくり返したときのリスクがあまりにヤバイです。
わたしは心配性なので、いろいろ詰めていたのですが、あるとき一念発起して大掃除&断捨離しました。そしていつも松ヤニの箱が小物入れの中で踊っていたので、中に厚紙で仕切りを入れてみました。この板 1 枚でかなり快適になります。
大掃除日和の年末、ヴァイオリンケースの中も大掃除、いかがですか?
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