音楽家の就活? フリーランスになる前に準備しておくべき3つのこと

こんにちは。フルーティストの岩崎花保です。

私は今年の 3 月に大学院を修了し、 4 月からフリーランスの演奏家としての生活が始まりました。

一般大学の場合、学部の 3 年生頃から就職活動を開始し、就職先が決まった状態で卒業を迎えるという人が多いと思いますが、芸術系の大学はその真逆! これを読んでくださっている音大の学生さんも、就職を検討している方は少数派なのではないでしょうか?

ただ、だからといって、卒業するまで何もしないというわけにはいきません。プロとして身を立てていくためには、オーディションやコンクール、演奏会などは精力的に取り組んでいく必要がありますし、私たちにとっては練習することそのものも仕事です。そう考えると、プロを目指したその瞬間から就活は始まっているともいえます。

実技的な面では皆それぞれにたくさんの経験を積んできていますが、専攻のこと以外となると苦手に思っている人が多いのもまた芸術家。というわけで、今回は卒業後フリーランスとして活動していくにあたって、実技以外で準備しておくべき超定番の 3 つを紹介したいと思います。

プロフィール写真

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当たり前ではありますが絶対に必要となるのがプロフィール写真です。昔に撮ったものをいつまでも使っているとお客さんに実物と違うなぁと思われてしまうかもしれないので、大学入学以来撮り直してないなあなんて方はぜひ見直しを。

写真館の選び方

まだあまり撮られることに慣れていない人はとにかく枚数をたくさん撮ってくれてデータも全部もらえるお店がおすすめです。最初はどうしても表情が硬くなるので枚数が多い方がいいものが撮れる確率が上がります。また、その場で 2、3 枚に絞るのもなかなか難しいので、データを全部渡してくれるプランのあるところのほうが良いでしょう。

何回かプロフィール写真を撮りに行ったことのある人は、背景や衣装チェンジにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。たとえばコンチェルトのソリストなど、自分が主役のコンサートの時は可憐なドレスの写真の方がいいかもしれませんが、カフェでライブをするにはそれだと派手すぎるかもしれません。また宗教曲のコンサートだとノースリーブ不可なんてこともあったりするので、自分がどういう仕事が多いのかよく考えて衣装を決めましょう。私はクラシックコンサート用にドレスの写真と、カフェライブや音楽教室用に白いシャツの写真を持っています。

また、スタジオで撮るか外で撮るかでも雰囲気はだいぶ変わってきます。公園などの緑が多い場所で撮影すれば開放的でさわやかな写真が撮れます。ただ、外での撮影の場合は天候で左右されてしまうので、雨天はどうするか決めておかないといけないのと、カメラマンさんやアシスタントの方を外にお連れしなければならないので日程を決めるのが難しくなり、料金も高くなります。

プロアマ問わず知り合いに頼むという方法もあります。カメラが趣味の友達に頼めばこちらも気楽に緊張せずに撮影に臨めるので、ラフな写真でも問題ない場合や、とにかくまずは撮られることに慣れたい! という人は頼んでみるといいかもしれません。もし友達にプロのカメラマンがいたら、より個性的な作品が撮れるでしょう。どこで撮るのか、どんな雰囲気にしたいのか、打ち合わせを重ねれば重ねるほど理想に近い一枚へと近づきます。個人でお仕事をしている人も多いのでまずは相談してみましょう。但し、友達だからと言ってお礼をしなかったり、連絡が適当になってしまったりするのは禁物です。トラブルになりかねませんし、何より失礼なので絶対にやめましょう。親しき中にも礼儀ありです。

どの方法でも、写真ができあがったら自分だけで選ぶのではなく身近な人にもどれがいいと思うか聞いてみましょう。最終的に決めるのは自分ですが、どういうふうに見えるのかという客観的な意見はとても役に立ちます。

余談ですが、私は学生でお金がなく、かつ急ぎで写真が欲しいときに秋葉原のコスプレ写真館でプロフィール写真の撮影をしたことがあります(笑)撮影は一時間で済んでデータもすぐに受け取れて 3000 円と超良心的でした。探してみれば使えるところはまだまだあるかもしれませんね。

名刺を作る

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音楽家は新しい現場に行くことが多い職業。名刺があると挨拶がスムーズに進むので早めに作っておくことをオススメします。デザイナーに頼んで作ってもらうという手もありますが、駆け出しの音楽家には痛い出費なのであまり現実的ではないです。

インターネット上にもさまざまなサービスがあります。テンプレートの中から選んで作ることのできる「テンプレートBANK」というサイトや、自分で最初からデザインができるサイトなどいろいろあるので、オリジナリティーを求めている人は自力で作ってみるのも良いかもしれません。

テンプレートは使わずに最初から作成するのは慣れるまで時間がかかるため決して楽な作業ではありませんが、世界にひとつだけの名刺をゲットすることができます。それからアドレスなどが変わった際、すぐに直せるのも良いところです。私は「picky-pics」というサイトを使って自分でデザインしたものをラクスルで印刷しています。デザイン費はもちろんタダなので費用は印刷代のみの 100 枚 500 円程度でした。

芸大の生協でも名刺を作ることができます。決まったものの中から紙や字体を選んで簡単に作成することができるので、芸大生の名刺デビューにはうってつけだと思います。オプションなどで値段は前後しますが、お手頃な価格なので私も学生の頃は利用していました。

SNSを活用しよう

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以前、行きたい演奏会があり詳細を調べてみたら情報がまとまっているページが出てこなくて、困ったことがありました。チラシは作られているのにネットには情報が載っていない…クラシック界あるあるですね。ですがこのご時世、ネットで演奏会情報が見られないなんて不親切すぎます。

そこで、自身の出演する演奏会情報などを発信できるよう、20 歳の時にブログを始めました。SNSはいろいろありますが、ブログは長文で情報をまとめることに向いているだけでなく、「自分の家」のような機能を果たせる点でも持っておくと良いかと思います。また、音楽家というのは案外人柄というのも含めて見られることが多いもの。ブログで日常的に何かを発信することで、自分がどんな演奏家であるか伝えることができるメリットというのは無視できません。

まとめ

どれも定番のものばかりですが、あとでやろうと思っているうちに学生を終えてしまい、ばたばたしてしまう方も多いかと思います。フリーランスとして、プロとして身を立てるために、できることは学生のうちからひとつずつクリアにしていきましょう♪

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愛知県出身。フルート奏者。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学、同大学大学院音楽研究科修士課程を修了。第15回日本クラシック音楽コンクール中学校の部全国大会第1位。第61回全日本学生音楽コンクール高校の部全国大会第1位。第13回万里の長城杯国際音楽コンクール管楽器部門第1位など入賞多数。現在はフリーランスの音楽家として演奏会の企画や後進の指導に力を注いでいる。