進め! ヴァイオリンおけいこ道 第9回「ハウツー本って正しいの?」

こんにちは! 今週もおけいこ道のお時間がやってきました。ヴァイオリン弾きの、卑弥呼こと原田真帆です。

今日は「奏法に関する本について」取り上げたいと思います。

ハウツー本の元祖

おけいこ道を歩まれる親御さんなら、一度は「ヴァイオリン奏法」的な本を手に取ったことがありませんか? この手の「ハウツー本」の歴史は意外と古く、元祖は、かのヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのお父さんの著書です。

バイオリン奏法

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レオポルト・モーツァルトは優れたヴァイオリン指導者でした。『バイオリン奏法』は今日に至るまで、ヴァイオリニストのみならずすべての音楽家が読むべき本として語り継がれてしました。

なぜなら内容はヴァイオリン奏法だけにとどまらず、スラーやテヌート、スタッカートの音価(音の長さ)や、装飾音の正しい付け方など、演奏家が知っておくべきことが網羅されているのです。

同じ理由から、フルート奏者・クヴァンツの『フルート奏法』と、大バッハの息子にあたる鍵盤奏者・エマニュエル・バッハが書いた『正しいクラヴィーア奏法』が、レオポルトの本と併せて「音楽家必携の3つの書」と言われています。

『フルート奏法』

『カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 正しいクラヴィーア奏法 第一部』

奏法の<正解>って何?

現代では、そうした「元祖」から20世紀の本、最新の書籍に至るまで、ヴァイオリン奏法に関する本は実にたくさんの種類があります。

さて、それでは、そういった書物に書かれていることは“絶対正しい”のでしょうか?

わたしは、“絶対正しい”かどうか、で言えば「NO」だと思います。しかしそれは“間違ったことが書かれている”という意味ではありません。

奏法に関する本に書いてあることは“真実”のひとつだと思います。でも、真実っていくつもあると思いませんか? え? コナンくんは「真実はいつもひとつ!」って言っていた? そうでしたね、では“事実”といたしましょうか。

例えばです。東京藝大に行きましょうというときに、どの駅から行こうか考えます。

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一番最初に思いつくのはJR上野駅、徒歩約10分。上野は地下鉄の銀座線や日比谷線も止まりますね。しかしですよ、実はJR鶯谷駅からも、JR日暮里駅からも徒歩約10分なのです。もっと言いますと、千代田線の根津駅からも約10分だし、京成線の上野からも日暮里からも10分程度。西日暮里や秋葉原、後楽園あたりからなら、タクシーに乗って10分くらいで着きます。

どれも間違いではないですね。どれが自分の最寄駅からアクセスが良いか。ではわたしは上野東京ラインだから上野駅から行こう。それだけのこと。

というのは、「この本にある写真と楽器を構える位置が違う!」と無理やりまねするようなことは適切ではありません。楽器を構える位置は、腕の長さや肩の角度によって変わるもの。それは、最寄駅に合わせて路線を選ぶのと似ています。

大切なのは、自分の状況・状態に合わせてもっとも効率的な方法を選ぶこと。奏法の本から読み取るべきは「弓の端から何cmのところを持つ!」ということではなく、「手のどの部分がどのような働きをしていて、どこの力が抜けていれば良いのか」ということです。

ヴァイオリン奏法の真実とは

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それがわかれば苦労なんかしないよっ! という話ではありますが、わたしは姿勢に違和感がなく体を楽に使えている状態が奏法の正解だと思っています。

見かけになにか不自然さがある=その周辺に余計な力が入っているので、力が入るべきところと、抜けるべきところを見極めていかねばなりません。

これはわたし自身、現在進行形で考えていることであり、また年齢やその時々の体によって「楽な姿勢」は異なるはずなので、弾いている限りはずっとずっと探し続けるべき<真実>だと思います。

一緒に考えてみませんか?

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最後に、あつかましく宣伝をさせてください。

この度「おけいこ道」シリーズと並行して、月額500円の会員さまだけが読める特別なコラム「進め! ヴァイオリンおけいこ道 あどゔぁんす」を配信することになりました。

本来は「おけいこ道で迷える人々に広く開かれたコラムでありたい」という理念のもと誕生したこちらの「おけいこらむ」ですが———

このコラムを配信する「コスムジカ」、実は諸経費が編集長の自腹なんです(2016年8月現在)。せっかく軌道に乗ってきたメディア、今後もよりニッチに幅を広げていきたい……! と思ったところで常に行き着くのがお金があればもっとできるのにという事実。

そこでこの度、クラウドファンディングというウェブを使ってみなさまからカンパを募るサービス「CAMPFIRE」を利用して、月額サポーター制度を始めました。サポーターは必ず「リターン」という見返りがありまして、見返りは金額ごとに4種類あります。

そのうちのひとつが、月額500円(〜5000円のお好きな額)のご支援で、月一回の限定コラム「おけいこ道 あどゔぁんす」が読めるというもの。

「あどゔぁんす」では通常の「おけいこ道」よりさらに具体的に、ヴァイオリンおけいこのあれこれを書いていきます。例えば今回の奏法の話だったら、そのうち「あどゔぁんす」にて、右手の形について写真付きで考えてみたいと思っています。

そして読者のみなさまからの質問も受け付けます。わたくしはあくまで「ちょっぴり先輩」なだけですから、一緒に考えていくくらいのスタンスでご参加ください。

これははやりの「オンラインサロン」のクラシック版の先駆けになるのでは…! と自負しています!!

もし少しでもご興味があれば、またはコスムジカが今後も続くように応援したい! と思ってくださるなら、サポートいただけますと嬉しいです。みなさまの清きワンコイン、お待ちしております(あ、もちろんツーコインズでもスリービルズでも構いません!)。

ご参加を希望の方は下記リンクから、「おけいこ会員」というリターンを選択の上お申込みください。

そして何より、こちらのコラムは、これからも変わらず毎週無料で配信しますので、今後も変わらぬご愛顧賜われましたら幸いでございます。

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原田 真帆
栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院博士課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。