進め! ヴァイオリンおけいこ道 第50回「おけいこ道を通して伝えたかったこと」

こんにちは。卑弥呼ことヴァイオリニストの原田真帆です。

実はこちらのコラムの初回が2016年6月20日だった、ということで、毎週連載してちょうど1年がたちました。何度か休んでしまった週もありますが、1年は約52週で今回がコラム50回目ということで、ほとんど毎週連載をしてきたと言えるでしょう。

こうして毎週水曜日に更新する連載は今回で一旦締めることになりました。しかし「おけいこ道」は続きます。そこで今回はいつもと趣向を変えて、あとがきのような形で「おけいこ道を通して伝えたかったこと」と、今後の「おけいこ道」について記したいと思います。

わたしにとっても挑戦だった「おけいこ道」

「おけいこ道」初回はこちらのサイト「COSMUSICA」のオープン日でもありました。COSMUSICAを立ち上げるにあたり、わたしはぜひとも「おけいこ道」を歩む親子に向けたコラムを書きたいと考えました。

「おけいこ道」とはこのコラムのために作った造語ですが、この道はときに険しく、ときに霧だらけです。そして最近はこれだけネットで情報が得られる世の中なのに、おけいこ市場はまだまだ発展途上。イマドキは親御さんがスマホを使いこなす世代になっているのに、その需要と供給が合っていないように感じていました。口コミが有力となると、地方で学ぶ人や大型の門下に属さず先輩などがあまりいない人は、情報弱者になってしまう。また情報を求めにくい閉塞感を打破したい、という思いもありました。

わたし自身は藝高入試前までほとんど片田舎で育ち、いわゆるコンクールに強い先生や、音楽の道を目指す生徒さんがたくさんいらっしゃる門下に在籍したことはありませんでした。そんな中でも、先生が教えてくださったことや、希少な先輩お母様に教えていただいたことには多く助けられました。

オーソドックスな「おけいこ道」を通ってきて、かつライティング活動をしているわたしだからこそ書ける記事があるはず⎯⎯⎯⎯。そう信じてスタートさせたこの連載ですが、これまでに“週に必ず1本の連載を書き続ける”という経験がなかったので、「果たしてたしかなコンテンツを毎週生み続けられるのだろうか」という不安もまた大きかったのを覚えています。

ただでさえ厳しい「おけいこ道」だから

ただでさえ簡単には歩めない「おけいこ道」です。周りの人ができる協力と言ったら、その道をなるべくなだらかにまっすぐにするサポートだと思うのですが、悲しい哉、ライバルの道をより険しくすることに注力したくなってしまうのが人間の性(さが)。でもそれはとても不毛なことです。

また、同じゴールを見据えているはずなのに、親子でいがみ合ってしまうことも少なくないのが「おけいこ道」。どちらにも思いがあるからこそ、親子のあらそいはヒートアップしがちですが、お互い傷つくのもまた事実です。

人の道の上に石を置いてくるようなことはせず、自分の道をまっすぐに歩んでほしい。
終わりのない道だから、せめて少しでも楽しんで歩んだほうが良い。

全50回の「おけいこらむ」は、一貫してその思いを持って執筆に当たりました。

わたし自身、些細なことから真剣なことまで、何度親子で揉めたかわかりませんし、なんなら今だって揉めるトリガーは道のそこらじゅうに落ちていると言っても過言ではありません。けれども、そのトリガーに素直に向き合ってみたり、違う角度から見てみると“楽しいこと”に替えられる(こともある)、と思ったりします。

今までの自分の「おけいこ道」を振り返ってみて、もちろんつらい思い出もたくさんあるのですが、ふとした瞬間に思い出す「楽しかったこと」「おもしろかったこと」「ゲラゲラ笑ったこと」もたくさんあって、そのそばには必ず母がいます。一番怒られて腹がたつのは母だけれど、一番「ゲラゲラ」を共有できるのも母だからです。

実際うちの親子は結構変わったシーンでゲラゲラしていて、それをよその人に目撃されると首を傾げられるのですが…。

これからの「おけいこ道」

さて、毎週水曜日の「進め! ヴァイオリンおけいこ道」は、ここで一旦区切りとして筆を置きたいと思います。しかし、「おけいこ道」にはまだまだ書ききれていないことがあります。

そこでこれからは月に1回、「進め! ヴァイオリンおけいこ道 あどゔぁんす」と題して、引き続き「おけいこらむ」を執筆していきたいと思います。これからも迷える「おけいこ道」の小さな灯火になれたらいいな、という思いを込めて、変わらず無料で読める「おけいこらむ」を配信していきますので、今後ともご愛顧いただけたら非常に嬉しく存じます。
(なお、これまでファンクラブ会員向けの有料版の名称を「あどゔぁんす」としてきましたが、1周年を機に体制を見直し、この名称は月刊の無料コラムに使うことにしました。これからも無料なのでどうぞ安心して読んでください♪)

これまで読んでくださったことへの感謝と、これからもよろしくお願いしますという思いを込めて、「進め! ヴァイオリンおけいこ道」第50回を終わります。

ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院研究課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。