私事で恐縮ですが、最近ハープの練習記録を無機質につづるだけのブログを始めました。そのブログサービスは、他の方のブログを読者登録することによって簡単に最新投稿をチェックできたり、気軽にいいねやコメントをつけられたりといった機能がついています。タグ検索も充実しているので、同じく大人になってからハープを習い始めた方のブログなども見つけてよく読むようになったのですが…そのような日々の中である疑念を抱くようになりました。
地方って、音楽を学ぶうえで不利なのか? という。
というのも、「レッスンへ行くのに車で1時間」「年に1回の、楽譜を実際に手にとって見れるチャンス」「ハープの演奏会がなかなかない…」といった記述をいろんな方のブログで目にするのです。
私はたまたま東京で育ったということもあり、地方に住んでいる方がそのような悩みを持っているということを考えたことがなかったのですが…「音楽をもっと身近に」をテーマに活動しているCOSMUSICAにおいて、ぜひ考察してみたい事案だなと思い至ったのでした。
地方在住で不利なこと
とはいえ、私が想像の範囲で考察していってもそれは机上の空論。そこで今回は、COSMUSICAライターの中から、長崎育ち・福岡在住のヴァイオリニスト月元 悠(つきもと はるか)さんと、栃木出身で東京に通学していたヴァイオリニストの原田 真帆(はらだ まほ)さんに話を聞いてみることにしました。
ノリコ・ニョキニョキ(以下、ノ)「早速ですが、地方在住で不利だと思ったことはズバリあるかないか、どっちですか!?」
月元(以下、月)・原田(以下、原)「あります」
ノ「おお…たとえばどんな…?」
月「まず、3歳でヴァイオリンを始めることになったとき、なかなか先生が見つからなくて…ようやく見つかった先生のところにも、バスを乗り継いで1時間くらいかけて行っていました」
ノ「3歳で1時間の道のりはつらそうだね。原田さんはどうですか?」
原「わたしは東京に日帰りできる場所に住んでいたものの、東京に出ないと買い物などが不便だと感じていました。楽器のメンテナンスも都内まで行くケースが多いです。楽譜や楽器の弦などは取り寄せや通販に頼ることが多いですが、都内なら即日手に入るのになぁと思うこともしばしばありました。それからそういった演奏用小物をお店で見たりする機会がないから、慢性的に情報に疎くなりますね」
月「わかる! 地方だと、そもそも楽器自体もなかなか見つけられないんですよ。特に子どもの用の楽器は生産量も少ないので、すぐに見つかりません。わたしの場合、楽器が手に入るまで、母が発泡スチロールとダンボールでヴァイオリンの形したものを作ってくれて、持たされていました(笑)」
ノ「それすごいね…。その後ヴァイオリンを習ってきて、成長してからはどうですか?」
月「一流の音楽に触れる機会が少ないというのは大きいと思います。私はしばらくとても優しい先生についていたので、あまり練習しなくても『うまーい!』ってほめてもらえてしまったんです。でも中1のとき、とってもうまい同世代の子と知り合って、衝撃でした。聞けばその子は、しょっちゅう東京に足を運んでいろんなレッスンを受けたりコンクールを受けたり、練習量もものすごくて、自分が井の中の蛙だったことを知ったんです」
原「まず演奏を聴く機会が限られること、そして仲間をつくる難しさについては激しく同意です。わたしは、同じ先生に習う人以外の音楽友達ができたのは、高校進学で東京に出たときで、つまり地元でおけいこをしているだけでは仲間を見つけるのは難しいですよね」
ノ「なるほど。ヴァイオリンならまだしも、たとえばハープとか、もっとニッチな楽器になればなおさらだね」
原「ほんとそうですよ! わたしは中学3年生で初めて東京で開催されたコンクールに出て、そこで出場者同士が友達として楽しげに話していたことに衝撃を受けました。また当時、自分の周りにはそのコンクールに出たことがある人がいなかったから、提出した写真が当日配布のプログラムに載るって知らなくて、みなさんは楽器を持ってニッコリ微笑んだプロフィール写真なのに、わたしだけ英検の受験票のために撮った写真で、恥ずかしく思った経験があります(笑)」
月「あはは(笑)。確かに、コンクールを始めとする、演奏を身内以外の人にも披露する場と、志を同じくした仲間の演奏を聴ける場というのは、地方ではなかなかないですよね。私の場合、年に1回は東京の演奏会に連れていってもらっていました。有名な方のコンサートとかももちろん行くんですけど、なにより同世代の子の…たとえばコンクールで1位をとった子のコンサートとか、そういうものを聴きにいっていましたね」
地方でどうやって音楽を学ぶ?
ノ「趣味として音楽を楽しむ方の中にも、地方であることをデメリットに感じるケースはあるはず。でも今はインターネットがすごく便利だから、活用していけばいろいろ乗り越えられそうかなとも思うのですが」
月「そうですね。世界中の奏者の演奏をYouTubeで見られるとか。もちろん生演奏を聴けることが理想ですけど、聴けないよりはオンラインででも聴けたほうがずっとずっと勉強になります」
原「ネットプリントの楽譜も便利ですよね。この曲を弾きたいって思ったときに、耳コピだと限界がある。ネットなら即座に手に入るのが本当に便利で、楽譜があるだけで弾ける曲がぐっと増えます」
月「あとは精神論になってしまうのですが、向上心を持つことや、発表の機会をしっかり作っていくといったことが大切かなと。一人で音楽をしていると、現状に満足してしまったり、情報収集も感度が落ちていってしまったりしがちなので」
原「その点では、やはり音楽仲間を作れるといいですよね。SNSなんかをうまくを使えば、オンライン上でもいい刺激を受けられたり、仲間の存在が励みになりそう」
月「先生探しに関しても、個人的に生徒さんを募集している先生とかもブログやSNSで見つけやすくなりましたし、skype(スカイプ)レッスンとかもありますし」
ノ「使えるものは使って、工夫できることは工夫して学んでいくことが必要ということか」
原「大変なことも多いけれど、インターネットのある時代でよかった! とポジティブに考えています(笑)」
まとめ
- レッスン、楽譜購入、情報収集にインターネットを駆使する
- 演奏家のブログやSNS、YouTubeチャンネルをチェックする
- 向上心を持って情報感度を高く維持する
- SNSやブログを活用して仲間を作る
- 発表の機会を持つ
音楽スカイプレッスン「カフェトーク」紹介
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また、年に1度、リアルイベント「カフェトーク音楽発表会」を実施。普段はオンラインで勉強している生徒たちが集まり、お互いに刺激を与え合っています。発表の機会があるため、メリハリをつけて練習に取り組むことができますよ♪
おまけ「skypeレッスンで音楽を学ぶって…」
ノ「ところで、Skypeレッスンって、実際どう思います? 人によってはオンラインレッスンに対して抵抗というか、不安がありそうだけど」
月「趣味でやりたい人や、以前習っていて再開したいと思っている人などであれば、すごくいいと思います。移動時間がないというのは大きいですよね。やっぱり片道1時間の道のりを通うのは、趣味としてやるには大変すぎますから…。あと、先生の選択肢が多いのもいいなあと思います。人と人なので、相性というのは絶対に出てくるので」
ノ「先生探しでつまずくと、せっかく『やりたい!』と思った気持ちも低まっていってしまいそうだもんね」
原「先生に師事するのは、月元さんの言う通りまさに “人と人とのこと” だから、極論、都会に出たところで『自分にとっての理想の先生に出会える』とは限らないですからね。オンラインがつないでくれたら、たとえば栃木にいながら長崎の先生のレッスンを受ける、なんてこともできるわけで(笑)、可能性は広がるなあと」
月「あとカフェトークのレッスン一覧を見ていると、教える側としても勉強になるんですよね。『こういうレッスンが需要あるんだな〜』とか。よくも悪くも、こういう場では “いいレッスン” をしないと淘汰されていっちゃうと思うんです。なのでみなさんすごくいろいろ考えながらレッスンされてるんだろうなあって」
ノ「なるほど…。年に1回発表会をやっているというところも、提供記事というのを差し引いても本当によいと思う」
月「それ本当に大事ですよね」
ノ「しかも次回は2018年5月3日(木・祝)銀座ヤマハホールでとか、私が出たいよ(笑)」
原「プロも演奏会で使うホール! 絶対によい経験になりますね」
ノ「上京するのは大変なのでは? と思ったんだけど、聞けばすごく参加率いいんだって」
月「やっぱりみんなつながりがほしいんですよ。そういう上京の機会は有効活用しないと。いい演奏会ないかな、とか、楽譜まとめて買おうとか、せっかく上京するなら計画的に過ごすことをおすすめします」
原「そうですよね、『この発表会に出よう!』って決めることで上京のきっかけになりますし、やはり『誰かに聴いてもらえる』と思えばこそ、はかどる練習もあります…(笑)」
月「あとは臆せずにどんどんお友達とか呼んだ方が…あ、でも東京なのか」
ノ「それが、当日はオンライン配信もするんだそうです」
原「強い! おじいちゃんおばあちゃんとか、客席にじっと座っているのは難しいお子さんとかにも聴いてもらえる!!」
月「それは絶対、勇姿を見てもらうべきですね! それにしても、時代は変わりましたね…(笑)」
ノ「思った(笑)」
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記事提供:Cafetalk
ノリコ・ニョキニョキ
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