音楽学部なのに“卒展”!? 東京藝術大学の「音環卒展」に来てほしいワケ

お久しぶりです、ちょんちかです。

私は東京藝術大学 音楽学部の音楽環境創造科というところに所属しているのですが、4年生なのでもうすぐ卒業です。

音楽学部の学生が卒業するときは、楽器を演奏する人は「卒演」、楽理科は「卒論」、作曲科なら「卒制」をそれぞれやったり提出したりすると思います。

そんな中、音楽環境創造科は大学院音楽音響創造・芸術環境創造と合同で「東京藝術大学 音楽環境創造科大学院 音楽音響創造・芸術環境創造 卒業制作・論文 修了制作・論文発表会2017」を開きます!!!
※私も覚えられないほど長いのでここでは「卒展」と略させていただきます。

なんで卒「展」?

híə ―hear/here―(染野 拓)

音楽環境創造科についての記事は以前に書かせていただいた(▶︎「ついに解明! 言語化不可と思われた「音楽環境創造科」を在校生が説明してみる」)ので、そちらを参照していただけると嬉しいのですが、私たちは6つのプロジェクト(世間でいうところのゼミ)に分かれて活動をしています。

すごくざっくりというと、

    1. 作曲
    2. アートマネジメント
    3. 音響
    4. 演劇・舞台
    5. 文化研究
    6. 音響心理

といった感じです。何が言いたいかというと、卒業する時に「作品を作る!」という人、「論文を書く!」という人、あとはまれに「両方やる!」という人がおり、それらが混在した結果の呼び方が「卒展」ということです。

美術学部の「卒展」とは雰囲気が違って(やっていることが違うので当たり前ですが)、見に来た方が実際に作品を体験したり、論文の発表を聞いたりできるところが特徴です。

どんな作品があるの?

Player(渡辺 千加)

そんなわけなので、みんな全然違った作品を作っているのですが、このままではとても想像がしにくいと思うのでいくつか作品を紹介します。

◎『Player』

記事を書いている手前、私の作品を一応紹介させていただきますね。私は作曲のゼミに所属しており、ずっとおもちゃの楽器を使った作品を使って制作をしています(紹介一発目から偏っていてごめんなさい笑)。今年は観客と演奏者、日常と非日常をそれぞれあいまいにしようという試みをしていて、『Player』というコンサート作品を制作しました。入退室自由なのでぜひふらっと立ち寄ってください。

◎『Terpsichora for 4.2ch + Headphone system』

音響系のゼミに所属している田中克くんによる作品。作曲家の辻田絢菜さん(藝大大学院出身)がこの作品のために書き下ろしたオルガンの曲をみなとみらいホールで録音し、ミキシングしたものです。彼は2年生のときから「ヘッドホンの遮音性能」に着目した作品を継続的に制作しています。今回は、普通のスピーカー4台と低音用スピーカー2台、そしてヘッドホンを同時に使用するものとのこと。ヘッドホンという身近な再生機器を用いていながら、組み合わせの“あや”で鮮やかな臨場感が表現されています。

◎『最近、友達が何を考えているのか分からない件。』

やはり音響系のゼミに所属している、黒石紗弥子さんのオーディオドラマ。音響系のゼミだと「システムを使うため」の作品が多い印象ですが、黒石さんは「インターネットを介したコミュニケーション」に焦点をあてた上で音響システムを駆使しています。彼女はストーリー作りから手がけており、お笑い芸人のアンジャッシュのコントを制作時に参考にしたという話も…?

…と例を挙げてみましたが、他にも沢山の作品・論文の発表があります!! 公式サイトに作品・論文紹介がまとまっておりますのでご覧いただければと思います。

▶︎東京藝術大学 音環卒展2017 作品紹介ページ

委員長コメント

ここにいて。ここにいる。 (薬袋 桃子)

本卒展の委員長より、COSMUSICAの読者のみなさまに向けたコメントをもらってきたので紹介させていただきます!

******

COSMUSICA読者の皆さん

私は音環卒展の実行委員長を務めております、松浦知也と申します。

音環の卒展は「卒展」を名乗っていますが実は半分くらいは論文発表ですし、コンサートや演劇、オーディオドラマなどの発表もあります。非常に説明に苦労するイベントなのですが、とりあえず来ていただければわかる! と思います。

論文も作品もとにかくテーマが幅広いのですが、ご自身の興味のある発表があればそれを目的にでも、「何をやっているかよく分からないけどなんとなくおもしろそう!」という動機でも、はたまた「ついでにと思って立ち寄っただけ」というきっかけでも、きっと「こんなことを大学の研究に選ぶ人がいるのか」となるものがひとつは見つかると思います。

特に今年は文化研究や音響心理などの専門的な論文発表でも、テーマ自体は身近で取っ付きやすいものが多いので、ぜひWebページの作品紹介で気になるものがあるか探してみていただければ幸いです。

金曜日には教員と学生による座談会、土日にはゲストの皆さまを多数お招きして作品講評や論文発表のアフタートークなども予定しております。「この人はどんなバックグラウンドでこの研究や作品に至ったんだろう?」と気になった方はこちらもぜひご参加ください。

上野の卒展よりは規模は小さいですが、その分濃厚な内容になっていることは保証いたします! 音環生一同お待ちしております。

要するにどうしても来てほしい

ケに介入しうごめいて、ケに完結する日々のこと(前田 菜々美)

よく「音環は何をしているところなの?」と聞かれます。科としてやっていることが共通しているわけではないので、この質問にスパッと答えるのはなかなか難しいのですが、個人個人のやりたいこと・やっていることは比較的明確です。

やっていることが各々でバラバラに見える一方で、意外なところで研究の興味や制作スタンス、考え方が近しい人がいたりもします。

今年度は公式WEBにインタビュー企画を掲載しています。卒業生を6つのグループに分け、それぞれ一時間近くじっくり話しました。私もインタビュアーをしましたが、たとえ近しい興味や考えを持っていてもアウトプットがまったく違ったり、似た環境にいながら興味が全然違ったりと、とてもおもしろかったです。

そんなうちの科も、根っこの部分は「音楽学部」。バラエティこそかなり豊かですが、音楽に少しでも興味がある方は楽しんでいただける卒展になっていると思います。いえ、します!!(笑)

また、金曜日は20:00まで開催することになりました。平日の学校・お仕事帰りでも見やすくなっております。土日よりは金曜日の方がいくらか空いていて見やすいと思います! 入場無料でアクセスも良いので、タイムスケジュールをチェックしてぜひお越しください!

※「当日どうしても行けない…」という方のために、論文集のネット販売もおこなっております! 13個の論文・論考に加えて付録のDVD付きで、ぴったり¥2000.-です(別途送料と手数料がかかります)。 ページ数は500を超える、がっつりとした論文集です!詳細はこちらからご確認ください。

開催概要

「東京藝術大学 音楽環境創造科 大学院 音楽音響創造・芸術環境創造 卒業制作・論文 修了制作・論文発表会2017」

入場無料!

会期:2/10〜12(金・土・日)
※毎日クローズ時間が異なります
2/10  10:00〜20:00
2/11  10:00〜18:00
2/12  10:00〜17:00

場所:東京藝術大学 千住キャンパス(JR常磐線・東京メトロ千代田・日比谷線・東武スカイツリーライン・つくばエクスプレス「北千住駅」から徒歩5分)

お問い合わせ先

mail:sotsuten.onkan@gmail.com
web:http://onkansotsuten.com/
Twitter:@onkan_sotsuten
Facebook:facebook.com/onkansotsuten/

The following two tabs change content below.

ちょんちか

埼玉県出身。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科プロジェクト1所属。おもちゃ楽器を用いた楽曲の研究と制作をしている。趣味は寺社巡り。