こんにちは。ヴァイオリン弾き卑弥呼こと、原田真帆です。
今週のおけいこ道は、季節柄、講習会エピソードについてつづりたいと思います。
題して「夏の思い出・講習会編」。少しでもご参考になれば幸いです。
■セミナーデビュー戦
わたしのセミナーデビューは中学3年生と遅めでした。まわりには年下の子も多く、「世の中こんなちっちゃいうちから講習会に行くんだ! へー!」と思ったのをよく覚えています。
わたしはその夏、初めて全日本学生音楽コンクール(いわゆる毎コン)を受ける年でもあったので、講習会に参加してほかの挑戦者のレベルを知りたいという思いもありました。
参加したのは「リゾートセミナー in トマム」*。リゾートという響きがすごいこの講習会、スキーの名所である北海道はトマムという町で、閑散期のホテルを複数借り上げておこないます。
ゆえに練習用のホテルを与えられ、1人1部屋使えるリッチな講習会ですが、リゾート地のためホテル間の移動が循環バス。このバスのスケジュールに日々踊らされました。
*このセミナーは現在は夕張で行われています。
初海外にして……?!
大学に入って最初の夏、わたしは初めて海外に出ました。師匠が講師として参加する、イギリスは湖水地方の講習会に参加するためです。
なぜ海外まで行って日本の先生に習うの? とはよく聞かれます。理由としては、
・初めての海外だけれども先生にお世話していただけるので安心なこと
・2週間、2日に1日レベルで師匠のレッスンを受けられること
が挙げられます。
また、海外の講習会って意外とリーズナブル。航空券も早割など活用すれば、トータル金額で国内講習会の参加費を下回ることも! 海外だからと参加を迷われている方は、おじけず一度ご検討されることをオススメします!(ただし治安に関しては気になる今日この頃)
そしてあろうことか、わたし、このとき初海外にしてセミナーをハシゴしました。
イギリスに2週間滞在したのち、オーストリア・ザルツブルクにてモーツァルテウム音楽大学の講習会へ。こちらも2週間でしたので初めての海外なのに、ヨーロッパに1か月も滞在したのです(荷物の重量制限知らなくて超過料金に踊らされた)。
誰も知らない土地へ!
誰に話しても驚かれるのがこのエピソード。大学2年生のときもリピートして参加したイギリスの講習会で、わたしは出会ってしまったのです。
このヴァイオリニストに習いたすぎる
講習会もといその音楽祭は、期間中毎晩演奏会がありました。その中で聞いた、イタリア人のヴァイオリニストに、わたしは「一聞き惚れ」したのです。
帰国後、Google先生に訊いてみたら(訳:ヴァイオリニストの名前で検索)、ありましたよ講習会。「来年行くしかない!」そしてマジで行きました。
開催地はイタリア、ベネツィア空港から路線バスで50分。町のお宅でホームステイです。バス停からお宅まで「近いから歩いて来られるよ!」と言われて地図を握りしめて行くも普通に迷いました。
知っている人は先生しかいない状況でしたが、ラッキーなことにホームステイ先に日本人のお姉さんが! その他のシェアメイトはキリル文字圏のふたりだったので、英語とロシア語と日本語が飛び交う中、ホストファザーがイタリア語オンリーだった件。
英語は一言も通じなかったけれど、お父さんが毛布を持って「Leggiero!」と言えば「軽いのね!」とわかるし、ゴミ袋を持って「Subito!!」と叫ぶお父さんを見れば「すぐ出す! 待って!」と返せたし(日本語で)、楽語ってすごいという気持ちでした。本来こうやって使うのね……。
■乗り物周りにご注意
とりとめなく講習会エピソードを語りましたが、トマムではバス、初めての欧州旅行では荷物の重量制限、イタリアではホームステイ先までの道順……と、どれも「交通関係」で失敗しています。
講習会に参加する前に気にかけてほしいのが「現地までの移動の周辺事情」や「現地での足」。特に、現地についてしまうと安心してしまい講習会中の移動手段は見落としがちな項目。
事前に参加経験のある人や事務局に現在情報を聞くもよし、バスだったら現地入りした段階でまず時刻表を手に入れるなど。ちょっとしたことですが、これを怠るとレッスンへの遅刻に繋がったりするのであなどれません。
ちなみに、トマムで定期運行バスを逃し遅刻しかかったわたくし。母とふたりでホテルのフロントに泣きついたら、特別にホテルマンの方が車を出してくれました。その節はお世話になりました。
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