受験生のみなさまへ向けて、微力ながら受験情報、対策法、在校生(卒業生)の声を発信していくシリーズ、今回は【東京学芸大学】を取り上げます!
受験対策
東京学芸大学は、教育学部のみの単科大学であるため、音楽専攻(または選修)においては音楽科教員や音楽の指導者を目指すためのカリキュラムが組まれています。「 A 類」と呼ばれる「初等教育教員養成課程音楽選修」、「 B 類」と呼ばれる「中等教育教員養成課程音楽専攻」が、音楽教諭になるためのコースです。
前期・後期日程におこなわれる音楽共通科目「楽典」「聴音」は A 類・B 類共通であり、「新曲視唱」においては別課題でおこなわれます。
またこれまで音楽を専門に学べるコースといえば「 G 類」と呼ばれる「教育支援課程表現教育コース」がありましたが、こちらは 2014 年度までで募集を停止、2015 年度以降は「 E 類」こと「教育支援専攻表現教育」の中で音楽を専攻することができるようになりました。
こちら E 類入試の音楽における筆記課題に「楽典」「聴音」はなく、美術・音楽・演劇といった芸術を総合的に捉えた内容の小論文が課せられます。
ここでは A 類・B 類入試の楽典・聴音・新曲視唱について解説します。
楽典
例年、大問が 5 つある試験となっています。
問 1 では、示されたひとつの三和音に関連して、いくつかの設問があります。2014 年度入試以降は、必ず「コードネーム」に関する問題も出るようになりました。しかし三和音と七の和音程度の簡易なものなので、コードネームの基本的な事項を押さえておきましょう。
問 2 は、ハ音記号を含む四段譜、もしくは五段譜を使用した音程の問い。基礎が身に付いていれば問題なく答えられる内容となっています。問題文をしっかりと読みましょう。
問 3 では、調判定が出題されます。過去 10 年間の問題をさかのぼってみると、単旋律ではあるものの、答えを導くことが難しい問題が多く見られます。示された譜例の旋律を頭の中で想像し、その背景となる和声の流れを感じられるようにしましょう。旋律から和声を感じ取る力をつけておけば、新曲視唱にも役立ちます。たくさんの課題に取り組んで慣れましょう。
問 4 は、主に音楽用語の出題です。2016 年度は前期・後期入試とも、提示された楽語の意味に当てはまるものを、語群から選択する形が取られていますが、2015 年度の後期日程においては、奏法やリズム、音楽形式など幅広い範囲から出題されていました。
問 5 においては、2016 年度の前期・後期日程とも、奏法・リズム・音楽形式に関する選択問題が出題されました。しかし 2015 度前期では、リピート表記に関する問いと、その総演奏時間の算出が問われたり、2015 年後期では教会旋法・五音音階を問う出題がありました。倍音や室内楽における楽器編成を問われた年度もあります。いずれも複雑な問いではありませんが、どのような分野が出題されても解答できるように、幅広い音楽の知識を身に付けておくことが大切です。
上述のとおり、問 4 と問 5 は出題傾向が年度によって少々異なるので、できたら他大学の過去問などにも触れておくと、安心して試験に臨むことができると思います。
聴音
2 題の単旋律課題と1 題の四声体開離の和声課題が課されます。
単旋律 1 問目は 4 分の4 拍子で出題される傾向にあるようで、音もリズムも比較的取りやすい課題といえます。しかし 2 問目の 8 分の 6 拍子の課題で、リズムは複雑になり音も多いので素早く聴き取る力が必要となります。また変化音も多く含まれているので、音楽理論に基づいた臨時記号をつけて書けるようにしておきましょう。
和声聴音では、借用和音が多用されているので、調性に即した臨時記号をつけられるようにしましょう。前半 4 小節は声部間の音程が近いので、1 声部ずつ丁寧に取ることを心がけます。対策としては、和声聴音課題の響きに慣れておくことが有効です。
新曲視唱
こちらは A 類、B 類、別課題で試験が行われますが、両課題とも難易度に大きな差はありません。
リズムは比較的取りやすい課題ですが、思わぬところに休符が使用されていたりするので、予見の際にしっかりと把握しておきましょう。旋律については、特に歌いづらいということはありませんが、変化音が多用されているので、そうした課題に多く取り組んでおくことをおすすめします。
卒業生の声
自然豊かで広大なキャンパスをもつ学芸大学。春には桜のアーケードが出迎えてくれ、秋にはきれいな紅葉が広がっている…このように四季折々で色々な表情をみせてくれる我がキャンパスは、私にとって自慢でした。そのような環境も影響してなのか、学芸大学で私が出会った友達は例外なく皆、優しく友達思いで、のびのびと自分のやりたいことに打ち込んでいる尊敬できる人ばかりでした。
私が所属していた A 類音楽科は、小学校の全科の免許もとりながら、音楽の勉強も深めていけるとてもお得な学部です。レッスンは、1・2 年生ではピアノ、声楽、管弦打楽器のいずれも受けることができ、3 年生以降で各選修に分かれます。お箏や三味線、篠笛や和太鼓、サンバの授業等もとることができます。私は 3 年生からピアノを選修しましたが、少人数ならではの、先生のきめ細かい指導のもと、音楽の奥深さと面白さを心から感じられたことは私の財産です。さらに、同じ門下生同士の仲が良く、先輩後輩や A 類 B 類 G 類を問わず、よくお食事に行ったり、演奏を聴き合ったりしていました。
そんな学芸大学の魅力はずばり「音楽の力を伸ばせるとともに、人としても成長できること」だと私は思います。先生方は、一人ひとりの性格を見抜いて、長い目で温かく適切な指導をしてくださります。視野を広げたい時には、音楽科から離れた他の学部の授業もとることができます。壁にぶつかった時には、一緒に悩んで解決策を考えてくれる仲間がいます。私には贅沢すぎる環境の中、4 年間やりたいことを存分にやらせてもらいました。音楽を深めたい方、アットホームな環境の中で学びたい方、教員になりたい方、ぜひ足を運んでください。(初等教育教員養成課程 ピアノ選修 卒・T.O)
入試情報
・出願期間:平成29年1月23日(月)~2月1日(水)までに必着
・試験日程:
【前期日程】平成29年2月25日(土)〜2月26日(日)
【後期日程】平成29年3月12日(日)〜3月13日(月)
※一般入試、教育学部の場合の情報を掲載しています。
※詳細は公式ホームページの入試情報でご確認ください。
COSMUSICA編集部
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