みなさん、クラリネットには、実はたくさんの種類があるとご存じでしょうか? 管楽器には同属楽器を持つものも多いですが、クラリネットはその中でも種類が豊富にある楽器なんですよ!
今日は、普段目にしないクラリネットファミリーを、いくつかの動画とともに紹介したいと思います。
クラリネットの種類
B管(ベーカン)
これがいわゆる「クラリネット」と言われるもの。
皆さんが目にするクラリネットのほとんどはこれにあたります。華やかな音色が特徴。
A管(アーカン)
B管と見た目はほとんど同じですが、B管に比べて柔らかく深みのある音が出ます。
モーツァルトのクラリネット協奏曲やクラリネット五重奏曲、ブラームスのクラリネット五重奏曲などで使われています。オーケストラでの出番も多いです。
写真は、マイクラリネット。手前がA管、奥がB管です。
Esクラ(エスクラ)
画像参照元:長永楽器公式サイト
小さいクラリネット。アンサンブルや吹奏楽、オーケストラと何にでも使われています。
エスクラのソロのある有名な曲に、ベルリオーズの「幻想交響曲」第5楽章、ラヴェル「ピアノ協奏曲」第3楽章などがあります。
Altoクラ(アルトクラ)
画像参照元:BUFFET CRAMPON PARIS公式サイト
私が初めて吹いた特殊管は、このアルトクラでした。当時特殊管に慣れておらず、なかなか吹きこなせなかった思い出があります。
吹奏楽では割と登場しますし、クラリネットアンサンブルでも8重奏くらいの編成になると使われます。
Basset Horn(バセットホルン)
画像参照元:BUFFET CRAMPON PARIS公式サイト
名前はホルンだけどこれもクラリネット。調性はホルンと同じF管です。
一見するとアルトクラにそっくりなのですが、アルトクラよりも少し細めで繊細な音色です。鼻をつまんだような音とたとえられるのですが、落ち着いたとても美しい音色の楽器です。
特殊管の中で唯一、B・A管と同じマウスピースで吹くことができます。
モーツァルトの「レクイエム」などで使われていますが、滅多にお目にかかれないレアな楽器です。
Bassクラ(バスクラ)
画像参照元:BUFFE CRAMPON PARIS 公式サイト
クラリネット族の代表格かつ人気者。
アンサンブルでも吹奏楽でもオーケストラでも大活躍。低音でみんなを支えていたかと思えば、ソロだって吹いてしまう、なかなかおいしい楽器です。
動画中では、右から2番目がバスクラ。一番左はエスクラです。
コントラアルトクラ
画像参照元:BUFFE CRAMPON PARIS 公式サイト
これは…う~ん、次に紹介するコントラバスクラの一回り小さいものです。
え、説明が雑? ごめんなさい、この楽器だけ本番で演奏したことがなく、あまり思い入れがないのです…。この楽器もあまり見かける機会はないでしょう。
コントラバスクラ
画像参照元:Henri Selmer Paris公式サイト
今回ご紹介した特殊管は、学生時代に一通り吹いてみたのですが、“ やってみて良かった特殊管 第1位 ”はこちらの楽器です! なにせ滅多にお目にかかれない楽器ですから。それにとても楽しかった記憶があります。
その名の通りとても大きな楽器で、持ち運ぶだけで一苦労、ケースはあまりの大きさに「棺桶」と呼ばれ、フォルテでロングトーンしたら4拍で全ての息が持っていかれる…。最低音なんて低すぎてもう、音として機能していませんでした。
☆特殊管のここが大変☆
・リード代がかかる
そもそもリード楽器はリード代がかかるのが宿命ですが、中でも特殊管のリードとはいうのは、ダメになるのがとても早いです。楽器が大きくなるとそれに比例してリードの面積が広くなっていく(でも厚みはほぼ同じ)ので、フニャフニャになりやすいのです。紙に水分を含ませるとフニャフニャになりますよね、まさにあのような感じです。そういうリードはもう使い物にならないので、さようなら…します。
・マウスピースの大きさが違う=アンブシュアが定まらない
アンブシュアというのは、楽器を吹くときの口の形のこと。楽器によってマウスピースの大きさが違うので、たとえばバスクラを吹いた後にエスクラを吹くと、かなりの違和感があります。
そのほか、演奏中の持ち替えとなると、しばらく置いているうちにリードがパサパサに乾いてしまう、楽器が冷える(冷えると音程が下がります!)という問題も。
おわりに
学生時代、今しかできないことはなんだろうと考えて思いついたのが、学内の特殊管を順番に吹いていくことでした。持つ楽器が変わると、そこから見える景色も聴こえてくる音も変わります。今となっては本当に貴重な経験でした。
みなさんも、クラリネットの演奏を聴く際には、ぜひ「あれは何管かな~?」と注目してみてくださいね!
今榮 くみこ
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