進め! ヴァイオリンおけいこ道 第12回「乾燥と楽器とわたし」

こんにちは! 今週のおけいこ道の時間がやってきました。ヴァイオリン弾きの、卑弥呼こと原田真帆です。

今回は気候と楽器について、取り上げたいと思います。

秋だ! 乾燥してくるぞ

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まだ残暑は厳しい……と言いつつも、徐々に秋めいてきました。秋の日は鶴瓶通しと言いますが、これから日の入りがぐっと早くなりますよね。

秋になると急に空気が乾燥してきます。高温多湿な亜熱帯気候の日本の夏が、秋に変わるとき、その湿度は大きく変化します。

我らが扱う弦楽器は、木製なだけに湿度の変化に敏感です。乾燥すると木が水分を失って縮み、湿気があると空気中の水分を吸って膨らみます。

乾燥と湿気の狭間で…

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ヨーロッパ生まれの弦楽器にとって、実は日本の湿気は大敵です。

もちろん楽器は木の伸び縮みを考慮して作られており、木の板を貼り付ける糊に工夫がされています。この糊は万が一膨らみすぎたときに剥がれるようになっていて、もしこの機能がないと木の板は割れてしまいます

湿気を含むと何となく楽器も重たくて、鳴りにくくなります。また、調弦のペグが硬くなるのも湿気のせい。ペグが膨らむだけでなく、穴の方も縁が膨らむことで直径が小さくなります。楽器への負担を最低限にするために、夏の除湿は大切なのです。

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一方、これからのやや乾いた季節は、木にとってごきげんな季節。楽器自体も、出た音を通す空気も軽くなって、音がよく響きます。

ただ、乾燥しすぎると今度は木の水分が失われて、やはり割れてしまうので、真冬に暖房器のそばに置いたりすることは絶対に避けてくださいね! 暖房器に気をつけていれば、ヨーロッパほどは乾燥しない日本ですから、その他のシーンでは大丈夫とは思います。でももし「なんだか音がカッサカサ」と感じたら、楽器用の加湿器を使いましょう!

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通称ミドリムシ(またはヘビ)こと「ダンピット」。緑の管を水を張った洗面器に浸して、水を含ませたら外側の水分を拭き取り、楽器のf字溝から中へ差し込んで使います。練習後に入れて、弾かない間に保湿してもらうと良いでしょう。

というわけで加湿器のほうはあるのに、除湿器はないのですよねぇ。湿気も乾燥もどちらも調整してくれるシートはありますが、わたしは本当に湿気を取りたいときは、夜間に自室のエアコンで除湿をかけっぱなしにして、楽器をピアノの上にむき出しで置いておく、という方法を取っています。

これは、楽器のニスを乾かすために職人さんに教えていただいた方法ですが、湿気取りにも応用しています。なお今年は「エアコンはかけっぱなしの方が電気代が安い・エコ」という説が広まりましたね。実際そのように一晩中エアコンをかけていても、電気代が跳ね上がるようなことはありませんでした。

人の保湿はたいせつに

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しかしながら、乾燥してくると人間の皮膚は痛みます。手があかぎれになったりして、切れてしまうととても痛いですね。

演奏家は指を多く使うので、ぜひ保湿ケアをしてください。特に弦楽器奏者は指先がタコになっていたりして硬いのでなおさら乾燥しがち。一度タコが切れるとなかなか治らないので……対策しましょう。

もちろんハンドクリームを付けたベタベタの手で楽器を持つのはご法度。油分もまた楽器の天敵で、とくに弓の毛は、油分を含むとツルッツルになって音が出なくなるので要注意です。練習が終わったら、手をいたわりながら優しくハンドクリームをつけましょう。

そしてもちろん、風邪対策も! 受験生のみならず、風邪・インフルエンザ・ノロウイルスにはかからないに越したことはありません。喉を潤して、楽器とともに元気に冬を迎えましょう!(気が早い)


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原田 真帆
栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院博士課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。

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