受験情報【東京音楽大学編】

受験生のみなさまへ向けて、微力ながら受験情報、対策法、在校生(卒業生)の声を発信していくシリーズ、今回は【東京音楽大学】を取り上げます!

受験対策

前進の「東洋音楽学校」時代から、創立 100 年以上の歴史を誇る東京音楽大学。現在では専攻内においても、より学びたい分野に特化したコースを選択できるようになっていて、ピアノ専攻においては「演奏家コース」「ピアノ・創作コース」「コンポーザー=ピアニストコース」、作曲専攻においては「芸術音楽コース」「映画・放送音楽コース」「ポピュラー・インストゥルメンツコース」「ソングライティングコース」が設置されています。

2010 年より上智大学との単位互換協定プログラムが始まり、幅広い教養を深められることも魅力のひとつです。また 2017 年度から、実技科目を主軸に置きながら英語と教養科目を深めていくことを目的とした「リベラル・アーツ専攻」が発足されます。この専攻では 2 年次からは教養科目の授業が英語でおこなわれ、卒業論文も英語で書きます。音楽分野にとどまることなく国際的な素養を身につけながら学ぶことができます。入学試験はAO入試のみとなっています(今年度の入学試験は終了)。

■楽典

(ポピュラー・インストゥルメンツコース、ソングライティングコース、リベラル・アーツの各専攻志願者以外の受験生全員)

出題は例年「音程」「和音」「音階」「調判定」「楽語」「非和声音と移調」による 6 つの大問から出題されます。問題の中には複雑な出題方法も含まれますので、試験時間の 50 分で解答するために、正しく迅速に答えられるようにしっかり準備して受験に臨みましょう。

音程の問題は、問題用紙に記載された音の上方または下方に、指定された音程を記入する形式で出題される年度が多いです。転回音程を求められたり、問題文に複雑な指定がある場合もあります。音程の基礎ができていれば解答することはできますが、様々な出題方法に慣れておきましょう。

和音に関する問題は、和音の種類を選択肢から解答する形式が多いです。年度によっては、与えられた和音が含まれる調性を全て答えるという問題、もしくは別譜例に示された和音と同じ種類のもの選択する、といった問題が加えられることがあります。

音階の問いは、音、和音、近親調などの指示に従って解答する形式で出題されます。出題方法に少し変化が加えられることもあり、解答方法には細かい指定があるので、問題文をよく読むようにしましょう。

調判定の問題は、毎年ほぼ傾向が一緒です。試験オリジナルの 4 小節程度の短い楽曲の断片が 5 曲出題されます。はじめの 4 題は単旋律ですが、それぞれ音部記号が異なるので注意しましょう。また 5 題目は大譜表の二声課題です。いずれの問題も和声を想像して調性を判断し、解答できるようにしましょう。

楽語に関する出題は、例年、楽語の意味を選択肢から選んで解答する形式です。イタリア語だけではなく、フランス語やドイツ語の楽語から出題されることもあります。また、楽想や速度記号に加えて、奏法に関する用語も出題されますので、広範囲にわたって理解しておくことが必要です。

非和声音と移調の問題は、大譜表の譜例を題材として出題されます。指定された非和声音の種類を選択肢から選び、その大譜表を移調するといった出題方法が、2009 年度から 2016 年度入試まで、ほぼ変わらない形で使われています。調号の有無は毎年変化するので、指示を注意深く読みましょう。

■聴音

(声楽専攻選択者、器楽、音楽芸術コース、指揮の各専攻志願者のみ受験)

※声楽専攻志願者は、聴音か新曲視唱のどちらかを選択して受験します。また指揮専攻志願者は以下の課題に加えて、単旋律と大譜表による二声課題、ピアノ以外の器楽演奏による四段譜(ハ音記号を含む)の聴音課題が、別に課されます。

共通問題

単旋律課題の聴音です。例年多くても調号は 2 つまでのようです。変化音を含みますが、聞き取りづらいほどではないでしょう。リズムも複雑なものはありません。

専攻別課題(2題ずつ)

⒈ 声楽、弦管打楽器、作曲「映画・放送音楽コース」、音楽教育の各専攻志願者

専攻別課題の 1 題目は単旋律聴音課題です。テンポがずれてしまわないように、しっかりカウントをとっていればリズムは取りやすいです。変化音は含みますが、前述の「共通問題」よりも容易に聞きとることができるでしょう。

2 題目は高音部譜表上の密集三和音の課題です。主要三和音にⅡ度の和音を含む課題ですので、属七も含めた基本的な和音の響きと、和音の転回形を聞きとれるようにしておきましょう。

⒉ ピアノ、チェンバロ、オルガン、作曲「芸術音楽コース」、指揮の各専攻志願者

1 題目の単旋律聴音は、音の数が多いために速く書きとる力が必要とされ、変化音も多く含まれます。複雑な連符などはありませんが、シンコペーションとタイが多く出てくるので、そのような課題に慣れておきましょう。

2 題目は大譜表による密集四声体の和声聴音です。借用和音も含まれ、年度によっては転調することもありますが、比較的聞き取りやすい和声課題です。バスから聞き取り、全体の和音の流れをつかみましょう。

■新曲視唱

(声楽選択者、ピアノ、チェンバロ、オルガン、管弦打楽器、芸術音楽コース、映画・放送音楽コース、指揮、音楽教育の各専攻志願者が受験)

※新曲視唱も専攻別課題となります。また、指揮専攻志願者は以下の課題に加えて、ハ音記号が含まれる新曲視唱もあります。

⒈ 声楽選択者、弦管打楽器、作曲「映画・放送音楽コース」、音楽教育の各専攻志願者

2009年度から2016年度までの出題傾向では、調号はひとつまで。音程は取りやすく音数も少ないので、歌いやすい課題だと思われますが、指定された速度記号に適したテンポで歌えるようにしましょう。

⒉ ピアノ、チェンバロ、オルガン、作曲「芸術音楽コース」、指揮の各専攻志願者

新曲視唱の課題も、こちらの専攻の問題のほうが難易度が上がります。調号の数も多くなり、変化音も含みますが、歌いづらいほどの課題ではありません。たくさんの視唱課題を歌い、速度記号に合ったテンポで歌えるようにしましょう。

卒業生の声

東京音楽大学の特徴的なのひとつとして、ほかの音楽大学ではあまり見られないコースや専攻が用意されている点があります。

私は劇伴や歌ものといった商業音楽の作編曲について総合的に勉強できる「作曲専攻 映画・放送音楽コース」を卒業しましたが、在学中は商業レコーディングスタジオと同等レベルの専用スタジオを活用して実践的な授業を受けられました。

また、クラシックを勉強している管楽器専攻の友人たちに曲を演奏してもらったり、卒業制作(CDアルバムづくり)のレコーディングではオーケストラを編成し指揮専攻の友人に指揮をしてもらったり、民族音楽の楽器を取り入れた楽曲をレコーディングしてみたりと、いろんなジャンルを幅広くカバーしている東京音楽大学の強みをフルに活かした内容のものを製作しました。

また、副科という形でガムランや邦楽といった民族音楽・伝統音楽を学べる環境も用意されており、クラシック音楽だけでなくポップス、劇伴、民族音楽といったほとんどの音楽をカバーしている大学というのはあまり類を見ない点だと思います。

もちろん、これだけさまざまな音楽と触れ合ったり交流することができる環境でも、自分が主体的に動かないとなにもなく過ぎ去ってしまいます。どこの音楽大学でもそうだと思いますが、なにをやりたいのかをしっかり見据え、それに向けて自分から動く! 東京音楽大学は、そんな自分の「やりたいこと」にしっかりと応えてくれる環境と学生、講師陣のそろった大学だと思います。

入試情報

・出願期間:
【A日程】平成29年1月上旬を予定
【B日程】平成29年3月上旬を予定
※入試要項は10月以降発表予定

・試験日程:
【A日程】平成29年2月16日(木)~2月20日(月)
【B日程】平成29年3月22日(日)~3月24日(水)

※一般入試の場合の情報を掲載しています。
※詳細は公式ホームページの入試情報でご確認ください。