音大生や音大を目指すみなさんはきっと、その先の進路のひとつに「留学」をお考えではありませんか?
音楽界では決して珍しくない「留学」という進路ですが、そもそも音楽家人口はあまり多くないため、インターネット上では音楽留学に関する情報が少ないのが現状です。
そこで! 各国の留学事情を調査しようということで、まずは今度の9月からイギリス留学を始めるライターはらだが、自身の経験を元に留学準備の流れをまとめてみました。ご参考になれば幸いです🇬🇧
そもそもなぜイギリス?
よく聞かれるのです、「なぜイギリスに留学するの?」と。
その疑問ももっとも。現在日本では、音楽留学というとドイツ🇩🇪 やフランス🇫🇷 がメジャーです。次によく聞くのがオーストリア🇦🇹(ウィーンとザルツブルクがありますからね)やスイス🇨🇭 、アメリカ🇺🇸 でしょうか。
わたしの場合、高校と大学でついていた先生がイギリスで勉強されていたというのが大きな影響でした。先生と一緒にイギリスに滞在したこともあります。話を聞き、自分で体感すればするほどイギリスって自由だなと感じました。
イギリスは古典派からロマン派の時代にかけて、自国の作曲家に恵まれなかった一方、大陸から常に一流の演奏家を招き音楽を楽しんできました。
その分よその文化の受け入れに寛容で、新しいことが大好き。特に移民の多いロンドンはアジア人であるわたしたちも行きやすいのです。また大陸から離れて島国という点では日本と似ています。
自由を愛するわたくしとしては、自国の音楽どっぷりよりも、あれもこれも、おもしろいことは全部やりたい! という空気のほうが合っていると思いました。
そして忘れてはいけないのがイギリスの音楽教育は質が高いということ。今年初めて作成された世界音大ランキングでイギリスの音楽大学はトップ50に12校もランクイン。授業に関しては楽しみしかありません!
英国王立音楽院へ行こう! 〜受験から入学まで
というわけで、ここからはわたしが進学する英国王立音楽院の、受験から入学までの流れをご紹介します。
注意:以下はあくまで筆者の経験談です。入試システムには毎年変更があるので、受験する場合詳細は必ずご自身で確認してください。
10月
- 志望校決定
- インターネット出願
- 推薦状依頼
- 課題曲準備
- 語学学校への通学開始
11月
- 受験&面接@東京
12月
- 受験結果(郵送)
1月
- 語学試験受験開始
- 入学手続きその1
- 学校の奨学金応募
- 指導教員の希望提出
2月& 3月
- 語学試験の勉強
- 引き続き語学試験受験
4月
- 履歴書提出
- 語学資格提出期限
- 住まい探し
5月
- 入学金支払い
- ビザ申請準備開始
- 学生寮申し込み期限
6月
- 入学許可証発行開始
7月
- ビザ申請手続き
- 卒業証明書提出期限
8月
- 授業料支払い
- 現地入りスタート
9月
- 入学前オリエンテーション
- 入学手続きその2
- 入学式・授業開始
大まかですが、留学準備の流れは大体こんな感じです。
大変だったことTOP3
以上のような準備を経て、現在は身の回りの支度をしている状況ですが、ここまでの準備で大変だったこと上位 3 つを書き出してみました。
第3 位 VISA申請 😅
どちらに行かれる方も大変とおっしゃるVISA申請。わたしは初めから「これはプロに頼もう!」と留学エージェントにサポートをお願いしてしまいました。お金はかかりますが、確実だし、何より時間の節約……!
それでももちろん自分の情報は自分で書き出す必要があったり、申請手続きは自分でしたりと、100%お任せではありません。また作業過程の間でいちいち時間がかかるのがちょっとストレスです(現在進行形)。
第 2 位 語学試験 😵 😵
英語圏出身でない人は、実技試験とは別に、各自で語学試験を受けて成績を提出します。イギリスではIELTS(アイエルツ)またはPERSONという試験が入学資格として認められます。
IELTSはTOEFLのようなもので、定期的に開催されているので何度もチャンスがありますが、求められるのがなんせ英検準一級レベルかつ試験問題が独特なので、専門の予備校に通いました。
第 1 位 出願 😱 😱 😱
栄えある第 1 位は、出願の手続き! イギリスは現在大学・大学院の出願がすべてウェブ上で行われます。たくさんのフォームに情報を入れるのですがそれって日本語でもしんどいことなので、英語だとより辛かったです。
とても一日では終わらず、しかもわたしの場合出願期間と教育実習期間がもろかぶり。授業準備は昼間のうちに必死に学校で終わらせ、帰宅すると夜な夜なパソコンに向き合いました。逆にこの経験のおかげで、VISA申請はそんなに難しくなかったとも言えます。
もっと詳しく知りたい…?
そんなアナタのために、このランキングTOP 3 の項目を次回記事で詳しくご紹介する予定です。お楽しみに😊🇬🇧
最新記事 by 原田 真帆 (全て見る)
- 次々に演奏し、ばんばん出版。作曲家エミーリエ・マイヤーが19世紀に見せた奇跡的な活躍 - 24.05.18
- ふたりで掴んだローマ賞。ナディア&リリ・ブーランジェ、作曲家姉妹のがっちりタッグ - 23.10.30
- 投獄されても怯まず、歯ブラシで合唱を指揮。作曲家エセル・スマイスがネクタイを締めた理由 - 22.11.07
- 飛び抜けた才能ゆえ失脚の憂き目も経験。音楽家・幸田延が牽引した日本の西洋音楽黎明期 - 22.09.28
- 「暗譜」の習慣を作ったのは彼女だった。クララ・シューマンという音楽家のカリスマ性 - 22.01.30