【ドイツ】ドイツの音大生活と日本の違い【留学】

こんにちは。この度COSMUSICAでライターをさせていただくことになりました齋藤 友亨(ともゆき)です。ヴュルツブルクという南ドイツの小さな街の音楽大学でモダントランペットとバロックトランペットを勉強しています。現在、学部 2 年生です。

今日は、ここが日本とは違うなあという、ドイツならではの音大生の日常や学生生活についてつづっていきたいと思います。

ドイツの音大の学部生の授業数は少ない

ドイツでの教育制度は、昔はDiplomというシステムだったのですが、現在はアメリカにならって4年生の学部(Bachelor)と2年の大学院(Master)という日本と同じようなシステムになっています。しかし必要な単位数は大きく異なり、学部生も日本の音大よりもずっと少ない単位で卒業できます。

日本の音大では実技系やソルフェージュや音楽理論とは別に一般教養の科目(外国語やその他諸々)が必要で、一年生の頃は月曜日~土曜日で授業が詰まっていましたが、ドイツは全然違います。

日本では吹奏楽も室内楽やオーケストラも毎週授業がありましたが、ドイツでは吹奏楽はもちろんなく、オーケストラも毎学期数回の集中講義という形になっています。5 日間リハーサルをして本番という感じなうえ、トランペットは 2 ~ 3 人くらいしかのらないので毎学期 1 回出演する程度です。

室内楽も自分たちでアンサンブルを組み、レッスンを数回受けて先生からサインをもらえば単位になるという形。学部生の場合は2年生の後期に、大学院の場合は1年後期に試験があるのみです(卒業試験のときにも室内楽があります)

座学系の授業もとても少なく、基本的に音楽に関係のない授業は全くありません。大学院の場合は実技系のみと言っても過言ではありません。

実技試験もリサイタル形式

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実技試験のおこない方も大きく違い、日本のように 1 曲を演奏するようなスタイルではなく、(管楽器の場合)数曲からなるプログラムの曲を演奏します。

日本では学部生で 10 分未満、卒業試験でも 15 ~ 20 分ほどの演奏になりますが、ドイツでは学部 2 年の後期と大学院1年の後期にある中間試験では 20 分程度のプログラムを演奏し、卒業試験では 1 時間のリサイタル形式の試験をします。(ピアノは 75 分)そのため日本のように難曲を1曲演奏するというよりも、易しめの曲を音楽的にきちんと長いプログラムとして演奏しきれるように教育されます。

受験の実技試験でも、異なるスタイルの曲を 3 曲選び 15 分ほどのプログラムを組んで演奏しました(これは大学により異なり、エチュード 1 曲+任意の 2 曲というところもあります)。僕の場合は「ネルーダの協奏曲第一楽章」「スラブ幻想曲」「ヒンデミットのソナタ第一楽章」というプログラムでした。

ドイツの音大は年間 5ヶ月が休み

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ドイツの音楽大学はなんと年間で 5 ヶ月間も休みがあります。

夏学期:4 月から7 月中旬まで
冬学期:10 月中旬から 2 月中旬まで

聖霊降臨祭という休暇で 5 月に一週間の休みがあるほか、大抵の大学は受験期間で一週間ほど休みになります。

夏休みはなんと3ヶ月間もあり、冬学期が始まるのは 10 月です。12 月にはクリスマス休暇が 2 週間あります。

そして春休みも 1 ヶ月半です。

本当に休みが長いですが、その代わりに休暇中にはドイツ各地でマスタークラスなどの講習会やフェスティバルオーケストラなど開催されているので時間を持て余すということはあまりありません。帰省して家族とゆっくり過ごすのもよし、演奏会をするのもよしなので、そこは生徒の自主性に任されている感じがします。

授業が少ないのも、学費が無料なので文句は出ません。

ドイツのオーケストラでピストンを吹くと特殊管手当がつく

実はドイツ(とオーストリア)で使われるトランペットやクラリネットは、日本やアメリカで使われているものとは違う構造の楽器が演奏されています。

くわしくはまた別の機会に書くとして、今回はドイツならではのトランペット事情をご紹介します。

ロマン派以降の曲には「コルネット」と呼ばれるトランペットの同属楽器がオーケストラに登場するのですが、トランペットで代用しても差し支えない場合でも必ずコルネットで演奏します。なぜならコルネットで演奏すると“特殊管手当”なるものが下りるからです。

コルネット

コルネットはトランペットと外見も音域も似ていますが、起源がトランペットとは異なります。音が少し柔らかく機動性のある楽器で、金管バンドや吹奏楽などでも使われます。

こちらの動画では、トランペットとコルネットで分かれて演奏していますね。

また「マンボ」などの曲やポップスを演奏するときに、日本やアメリカで使われているタイプのトランペット(ピストントランペットまたはジャズトランペット)を演奏しても“特殊管”手当がつくそうです。おもしろいですね。

しかし興味深いことに、バロックトランペットナチュラルトランペットといった古楽器(ピストンやロータリーシステムのつく以前の楽器)を演奏しても「トランペットはトランペットだから」という理由で手当がでないそうです。笑

じゃあジャズトランペットもトランペットなんじゃ…という疑問が生まれますが、なんだかドイツトランペット以外はトランペットと認めたくないような、ドイツ人らしい頑固なところが感じられます。

意外と少ないドイツの音大の学部生の情報

ドイツへ留学する方の多くは、日本の音楽大学を卒業してからこちらの大学院へ進学されると思うので、あまり学部の学生の情報は多くないと思います。トランペットの情報も少ないと思うので、これからドイツのトランペット事情をどんどんお伝えできるようにがんばっていくのでよろしくお願いいたします!

留学のことをあまりメインに書いていませんが、自分のブログもほぼ毎日更新していますので、良かったら暇つぶしくらいに読んでみてくださいね。

▶︎齋藤 友亨ブログ「あうすどいちゅらんど」

ABOUTこの記事をかいた人

齋藤友亨

11歳で神代修の元でトランペットを始める。2012年東京音楽大学に入学、2013年に渡独しRainer Auerbachに師事。2015年にヴュルブルク音楽大学に入学。