【留学準備】フランス留学を決意してから、留学先を決めるまで【フランス】

のだめカンタービレで、のだめと千秋が留学先に選んだパリ・フランス。音楽留学をしたい人にとってかなり魅力的な候補のひとつだと思います。実際多くの日本人が留学先にフランスを選んでおり、音楽大学に通っていれば知り合いの誰かしらはフランスに留学しているのでは…? というくらい。パリだけでなくリヨン、ストラスブール、マルセイユ、などさまざまな地方に日本人がいます。

そんなフランスについて、10月からフランスに留学しているライターyuccaが、自身の経験をもとにまとめていこうと思います。

最初にお断りしておきますが、フランスは全ての情報において、仕様がころころ変わります。導入として日本人の体験談をネットで見る分には構わないのですが、うのみにせず必ずご自身で調べることが必要です。

私自身も、たった一年前にフランス留学した友人からの情報が既に変わってしまっていたなど、情報集めは本当に苦戦しました…。

フランスの音楽留学制度

ざっくりとフランスの留学制度についてお話しします。

フランスの音楽院は基本国立・公立です。そのため学費はかなりお安め。入学する学校やレベルにもよりますが、高くても1500€(年間約18万ほど)くらいでしょうか。安いところだと500€(年間約6万)なんて学校も。日本の私立音楽大学に通うと年間200万ほどするので、それに比べればかなり通いやすいかと思います。ちなみにのだめでいう、オーボエの黒木君が通っていたエコール・ノルマルという学校は私立ですので、ここは例外です。

音楽院の種類はおおよそ3つに分かれます。まずはフランスに2校しかなく、レベルも入試の難易度も非常に高い国立高等音楽院(CNSM)、そしてさまざまな地方にある地方音楽院(CRR)、そしてその他の県立・市立・区立の音楽院。多くの方は日本の音楽大学を卒業した後に留学することと思いますが、その時点でどの音楽院でも確実に年齢制限や入学制限に引っかかることになります。

日本で音楽大学を卒業すると、学士がもらえますね。この学士を持っている人は、CNSMの学士課程(リソンス)を受けられませんので、必然的に修士課程(マスター)を目指すことになります。たとえばピアノ科の学士を持っていたら、CNSMのピアノ科で学びたければ修士課程を目指します。しかし、伴奏科や即興演奏科としての学士は習得していないので、こちらの学士課程は受験できるわけです。

また、CNSM以外の学校に行く場合は、ディプロマ(DEM)を取りたいかどうかも気にしておくべきポイントかもしれません。ディプロマとは特定の単位や、試験の結果を残してもらえる業績証明書。フランスはディプロマが重視されると言われているので、もし将来的にフランスで活動したい場合は頭の片隅にディプロマの存在を置いておくといいと思います。

ちなみにこのディプロマが取れる課程の入学時の年齢制限は大抵が22歳以下。日本の音大を出ている時点で大半の人は22歳を過ぎているので、その課程を受けたい場合は担当の先生と音楽院に問い合わせてお願いしましょう。

なぜフランス?

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たくさんの日本人が留学しているフランスですが、なぜこんなに人気なのでしょうか? 私の体験や、知り合いから聞いた話をもとに考えてみました。

まず、フランス留学のきっかけにマスタークラスや夏期講習会があります。日本では大学や楽器店主催などで多くのマスタークラスがおこなわれており、フランスから多くの先生がいらっしゃいます。また、フランス現地での音楽の夏期講習会も多くおこなわれており、そこにも多くの日本人が参加するため、比較的フランスの先生とつながりやすい環境にあります。私の友達は、このつながりがある人がかなり多かったです。

そして学生にとって嫌でも考えなきゃいけないのが資金の問題。両親に出してもらったり、自分で働いたり奨学金をとって調達したり…。いろんな学生がいますが、フランスでは外国人留学生のアルバイトが認められているため、アルバイトをしながら音楽院に通う学生は少なくありません。そんな中で比較的お金をかけずに日々を無事に暮らせるということは、身体面・精神面にとっても健康的に過ごすことにつながるという大きなメリットになり得ます。

前述のように、音楽院の学費は日本に比べて格段に安いです。それに加えて学生は、良心的な料金でコンサートや美術館などの一流の芸術に触れることができます。その他住宅や交通面も、申請などの手続きをすれば保護が受けられますので、資金面は国にかなり助けられています。

また、フランスの音楽性に惹(ひ)かれる人がたくさんいます。色んな留学先を考えたけれど、まずはフランスで自分の音楽性を伸ばしたい、なんて言う人もいるくらい、フランスはその人がどんな音楽をするのかを重視してくれます。裏を返せば、テクニックだけではなかなか認められない環境でもあります。

日本の音楽大学の教育は基礎の底力を伸ばすという点では優れていると思いますが、変わったものに対してすぐ敬遠する傾向があると、個人的に思います。その点個人個人の音楽性を評価して、おもしろければ生徒として受け入れてやる! という豪快さがあるフランス。まあ良い点があれば悪い点があるのは当たり前で、たまたま日本にちょっとたりていない部分が、フランスにはたくさんあるのではと思いました。

情報は自分の足で探そう

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私もこういったフランスの良い点に強く惹(ひ)かれたひとり。一番最初のきっかけは、凄く素敵な演奏をするピアニストがフランスで学んでいたからというもので、自身の専攻からの視野では考えていませんでした。自分の信じている音楽性をまず伸ばしたい、ということでまずフランスの情報を集めてみようと動き出しました。

私の専攻であるマリンバに関しては、有名なフランスの先生がいるものの、正直打楽器に関しての情報量はゼロに近い状態。名前は聞いたことがあるという奏者がいるものの、こちらに頻繁に来ている様子もありません。日本にいてはどんな情報も仕入れづらいし、話も詳しく聞くことができない…。ということで、おひとり様で大学卒業旅行を兼ねて実際にフランスに行ってみたりもしました。笑

フランスにいる日本人奏者の方を紹介してもらったり、いろんな地方音楽院を回ったり、友達のツテでいろんな音楽院の生徒にコンタクトを取ったり、つたないフランス語で話しかけて施設を案内してもらったり、出会った人には連絡先を聞いておいたり、先生にメールを出してレッスンを取り付けてもらったり…と、今思うと完全に不審者みたいなこともやっていましたが、たくさんの方に助けていただけたおかげでなんとかなりました。

どんな音楽、テクニックや奏法を教える先生なのか、それが自分の学びたいことなのか。特に打楽器の観点からすると、日本での奏法の主流はアメリカかドイツのもの。フランスには伝統的な奏法があることを知っていたので、自分の今までの経験を生かしてくれるのかはかなり気にしました。いろいろ検証していって学校を絞って、今に至ります。

結果、打楽器科専攻とマリンバ科専攻として2つの学校に通うことになって、すばらしい先生に巡り会うことができました。当時は情報がないことでかなり不利な思いをしている気がしていましたが、このくらい調べておいて自分の合ってるところを見つけ出さないと、留学の経験ももったいないことになっていたのかも…と今では思うので、とてもいい経験をしたと思います。


フランス留学は事前の準備も含め、結構なガッツが必要です…! 次回記事では、そんな事前の準備についてご紹介いたします♪

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yucca

小学4年生のとき入った金管バンド部で、「きみには絶対音感があるから、移調楽器は出来ないと思う」という顧問の計らいにより打楽器を始める。国立音楽大学打楽器専攻卒業。