聞かず嫌いをしてはもったいない! 美しくも繊細なレクイエムの魅力

こんにちは!

皆さまは、レクイエムと聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?

先日お友だちから「レクイエムってなんだか聴くのが怖くて…」と言われて驚いたのですが、皆さまの中にももしかしたら同様のイメージをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか?

レクイエムは怖くて暗い音楽だと思って聴かずにいるのは、とてももったいないです! レクイエムには、心が浄化されるような美しい曲がたくさんあります。

今日はそんなレクイエムについてお話ししたいと思います(*^^*)

カトリック教会とレクイエム

カトリック教会のミサ(感謝の祭儀)で歌われる声楽曲は、通称ミサ曲と呼ばれています。これは、ラテン語で書かれた典礼文というものに、あとから曲がつけられたものを指します。

その中で死者に向けて歌われるものが「レクイエム」。よく鎮魂歌と訳されているのを目にしますが、本来は鎮魂の意味はありません。レクイエムは死者のためのミサ曲、つまり死者の生前の罪をお許し下さい…と死者の救済を神に祈る内容です。曲名や解説などには誤訳も多いので、原語の意味を正しく捉えられると、より理解が深まると思います♪

の冒頭の一節をご紹介します。

Requiem æternam dona eis, Domine,
et lux perpetua luceat eis.
主よ、永遠の安息を彼らに与え、
絶えざる光で照らしてください。

このように、死者のための典礼文が「Requiem」という言葉から始まるため、「レクイエム」と呼ばれるようになったのです。

ミサ曲が作られる際、作曲家は数ある典礼文の中から好きなものを選んで曲をつけていきます。なので、ひとえにミサ曲といっても、作品によって構成が異なるんですよ💡

3大レクイエム

さて、さまざまな国・時代の作曲家が多くのレクイエムを残していますが、その中でも絶大な人気を誇る“3大レクイエム”をご存じでしょうか?

🇫🇷 フォーレ
🇦🇹 モーツァルト
🇮🇹 ヴェルディ

フォーレのレクイエムはソプラノソロの美しいアリアPie Jesu(慈悲深いイエスよ)が有名ですね。

🇫🇷 『Pie Jesu』フォーレ


洗練され、ため息が出るほど美しい曲です💓

Pie jesuというと、他にも「キャッツ」「オペラ座の怪人」などミュージカルの名曲を多く作ったアンドルー・ロイド・ウェバー作曲のソプラノ&アルトの二重唱も大変人気があり、コンサートなどでもよく歌われます♡

クラシック音楽は聴き慣れない…という方は、こちらの曲から入ると聴きやすいかもしれません💫

🇬🇧 『Pie Jesu』アンドルー・ロイド・ウェバー


こちらも美しい…✨✨

聴きやすいレクイエムではこちらの作品もオススメです♪

🇬🇧 『Requiem』ジョン・ラター
( 1分10秒あたりから)

フルートとソプラノソロで演奏されるPie jesu、そのあとのオーボエのソロ、全てが物悲しくもとても美しく、個人的に大好きな作品です♪

モーツァルトやヴェルディのレクイエムは日本ではモツレクやヴェルレクという略称で親しまれ、たびたび演奏されています♩

モーツァルトのレクイエムは、ある日匿名の男性からレクイエムの作曲を頼まれて作曲している間に亡くなった、というエピソードが有名ですね。「その男性は死神だったのではないか…?」「自分のレクイエムを作曲していたことになるのでは…?」などさまざまな憶測が飛び交い、レクイエム=怖い! というイメージにもつながってしまったように思います。

現在ではその依頼者の名前も明らかになっていますのでご安心を!(笑)
ちなみにその男性は、有名な作曲家に作曲を依頼し、自分の名前で発表するという音楽愛好家だったとか…。

こんなふうに想像をたくさん膨らませることができるのも、クラシック音楽の魅力のひとつだと思います^ ^

その他

他にも聖書をドイツ語訳したものに作曲された作品もあります!

🇩🇪 ブラームス『ドイツレクイエム』

この曲は死者のために書かれたミサ曲ではなく、残された人々への癒やしとして書かれた演奏会用のレクイエムです。

英語が含まれているものも…!

🇬🇧 ベンジャミン・ブリテン『戦争レクイエム』

平和主義者であったブリテンが第二次世界大戦後に書いた代表作です。大編成のオーケストラと児童合唱が必要な上に、大変難曲のためあまり演奏されませんが、魂の揺さぶられるすばらしい作品です。

私は毎年おこなわれる藝大定期演奏会で合唱を歌いましたが、この曲に出会って初めて本当の意味での「Amen」という言葉を感じることができました。祈るとはどういうことか、改めて考えさせられる作品です。

ブリテンはスコアの冒頭に、ある詩人の言葉を書き記しています🖋

「私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。詩はその悲しみの中にある。詩人の為しうる全てとは、警告を与えることにある」

この言葉に、戦争を二度と繰り返してはならないというブリテンの強い祈りが込められていると思います。

悲しくもレクイエムは戦争の後に多く作曲される、という統計もあるそうです。

以前の記事でも書きましたが、作曲家が作曲をする理由はさまざまです。しかしレクイエムの場合は、その理由が明確なことが多いです。

誰かの深い悲しみと祈りから生まれたレクイエムは、他の作品にはない美しさを持っています。死者のための音楽は私たちの生活にかけ離れた音楽のように思えますが、「罪をお許し下さい」という心理は生きていく中で実はとても身近なものだと思います。

レクイエムは、死者だけではなく今を生きている私たちにも強く訴えかける力があるのではないでしょうか。

ぜひ一度レクイエムを聴いてみてください✨
苦しいときの道しるべになるような一曲が見つかるかもしれません。

ABOUTこの記事をかいた人

小林 瑞花

東京都出身。国立音楽大学附属中学校ピアノ科を卒業した後、声楽科に転科。同高等学校声楽科卒業。東京藝術大学声楽科ソプラノ専攻を経て、現在同大学大学院音楽研究科修士課程声楽専攻2年在学中。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017に出演。文部科学省日本代表トビタテジャパン6期奨学生としてイタリア及びフランスに留学予定。