FF14の名曲に学ぶ Harp Lesson2「上り階段をくだれ」

FF14プレイヤーのみなさん! 新パッチ楽しんでいますか? 私はようやく、極神龍をこえることができました。

今回が第2回目となるこちらの連載では、毎回FF14にまつわる楽曲をひとつ取り上げ、ハープの奏法や仕組みを少しずつお伝えしています。前回は、ファイナルファンタジーシリーズの音楽を語るに外せない「プレリュード」を取り上げ、「4本の指を均等に使う」練習にぴったりだというお話をしました。

▶第1回:FF14の名曲に学ぶ Harp Lesson1「プレリュード」

今日はハープと言ったらコレ! という奏法「グリッサンド」が生きる曲を取り上げます。

※1:どなたが読んでも楽しめるように心がけるつもりではおりますが、細かい部分でFF14プレイヤーにしか伝わらない表現も出てくるかもしれません(いわゆる内輪ネタ)。意味わからないよと思われましたら恐縮ですが、スルーしてください。
※2:このシリーズは初級レベルの楽典知識を前提に書き進めていきます。これまたよくわからない箇所はスルーでお願いいたします。

グリッサンドって?

グリッサンドとは、一音一音を区切ることなく、隙間なく滑らせて音程を移動させていく演奏技法のこと。

ピアノでもたまに、手の甲を寝かせて鍵盤の上を左から右へグワーッと滑らせる奏法を見ますよね。ハープはグリッサンド奏法との相性が非常によく、ソロ曲にもグリッサンドが入っていますし、オーケストラ曲においては「グリッサンドのためだけに呼ばれている」と言っても過言ではないほどでしょう。

そんなグリッサンドが大層かっこよく使われている曲が、パッチ3.2で実装されたダンジョン「星海観測 逆さの塔」のBGM『上り階段をくだれ』なのです!

上り階段をくだれ Piano&Harp Ver.

 

こちらは、FF14プレイヤーでピアニストのLuciAさんと一緒に演奏したもの(と言っても私は本当にグリッサンドのみですが)。この動画は何かというと、LuciAさんが企画したミュージックフィルム作品のトレイラーで、同じくエオルゼアで創作活動をされているAPOLA監督が撮影・編集したものです。FF14から生まれる二次創作の奥行きには日々驚かされるばかり…たくさんのメンバーとあれやこれや言いながら作った力作ですので、よかったらぜひフルバージョンも見ていただけたら嬉しいです。

▶フルバージョン:FFXIV MusicFilm「白百合の夢(しらゆりトロイメライ)」《Traumerei LILY》

ハープの構造と魅惑のグリッサンド

ハープのグリッサンドには、ピアノなどのグリッサンドとは決定的に違う点があります。それは、足元についているペダルの操作により、隣り合った弦を異名同音にして和音的なグリッサンドを作れるということです。

もう少し詳しくお話します。前回も解説した通り、ハープは足元のペダルひとつひとつに音が対応しており、

これを踏んだり外したりすることで半音を作っていきます。ペダルは2段階になっており、何も踏まない状態が♭(フラット)、ひとつ踏んで♮(ナチュラル)、下まで踏み込むと#(シャープ)になります。

つまり、たとえばファのペダルを一番下まで踏み込めばファ#に、ソのペダルを一番上にすればソ♭となり、F#とソ♭は同じ音ですから、隣り合った2つの弦が同じ音を鳴らすことになります(わからない方はもう、深く考えずにスルーしてください)。

これによりトレモロ奏法もできてしまいます。

クラシックの曲ですが、アンリエット・ルニエという女性ハーピスト/作曲家の書いた『ANGELUS』という曲の冒頭は、グリッサンドがとてもきれいなのでご紹介します。

譜面はこのようになっています。

最初の2音は、ファ#とソ♭を同時に弾いています。グリッサンドを弾くときは、最後の一音がどこに終着したかわかるように左手で補助するとコード感がより一層引き立ちます。

いろいろなグリッサンド!

ハープの譜面にはよく「ad lib.」という文字が出てきます。アドリブ。つまり好きにグリッサンドを弾けということです。そういった場合、何パターンからある弾き方からベストだと思われるもの、もしくは好みのものを選んで演奏します。たとえばこんなふうに低音からぐいぐい盛り上げてみたり、

高音から始まって高音に戻ってきたり、

このように二本指でグリッサンドする奏法もあります!

ハープのグリッサンド、表現の幅が広くてなかなかに魅力的だと思いませんか!? ただし、長時間グリッサンドを弾いていると指の腹がとっても痛くなり、へたすると皮膚がむけてしまいますのでご注意を。

 

次回もFF14の名曲からハープの奏法をひも解いていきます。「この曲取り上げてほしい!」などのリクエストがあればぜひTwitterの方にお寄せください。それではまたお会いしましょう!

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