FF14の名曲に学ぶ Harp Lesson3「Dragonsong」

FF14プレイヤーのみなさん、こんにちは。

こちらの連載では、毎回FF14にまつわる楽曲をひとつ取り上げ、ハープの奏法や仕組みを少しずつお伝えしています。これまでは、『プレリュード』を使って「4本指を均等に使う基礎的な奏法」を、『上り階段をくだれ』からは「ハープならではのグリッサンドの仕組み」をお伝えしました。

▶第1回:FF14の名曲に学ぶ Harp Lesson1「プレリュード」
▶第2回:FF14の名曲に学ぶ Harp Lesson2「上り階段をくだれ」

今日は、非常にハープらしい奏法「アルペジオ」について取り上げます。

※1:どなたが読んでも楽しめるように心がけるつもりではおりますが、細かい部分でFF14プレイヤーにしか伝わらない表現も出てくるかもしれません(いわゆる内輪ネタ)。意味わからないよと思われましたら恐縮ですが、スルーしてください。
※2:このシリーズは初級レベルの楽典知識を前提に書き進めていきます。これまたよくわからない箇所はスルーでお願いいたします。

アルペジオって?

アルペジオとは、和音を構成する音を1音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いていく奏法(Wikipedia)のこと。よく弾き語りなんかをする際にはコードをばらして弾いて伴奏したりしますね。また、和音をジャララランと少しずつずらして弾くことも、アルペジオと呼びます。ハープ演奏においては、4音以上の和音が出てきたらかなりの確率でアルペジオで演奏します。

音幅を広くとってたっぷりとアルペジオしてもすてきです。

アルペジオしない奏法は「セッコ(secco)」といいます。鋭く切って演奏するという意味です。

(倍音が耳に痛くてすみません…)

どのように弾くかは、曲の雰囲気や自身の音楽性次第。「どんなアルペジオで弾こうかな、それともセッコがいいかな?」と考える時間が私は好きです。音の配置が物理的に離れている場合は、否が応でもアルペジオで弾くしかないのですが。

Dragonsongを弾いてみた

今年の4月に撮った『Dragonsong』。しっとりした曲は特にアルペジオが映えます。

出だしから早速アルペジオ。一番上の音がメロディになっています。フレーズの始まりや終わりなど、隙さえあればアルペジオを入れていくのがハープ流(笑)。ピアノだったらいちいちアルペジオにしないよな…という箇所もハープではがんがんアルペジオにしていきます。

どっちにする? アルペジオorセッコ

アルペジオで弾くかセッコで弾くか。出だしを両タイプで弾いてみるので、みなさんはどちらがお好みか聴いてみてください。

それぞれよさがあるので悩みますが、イシュガルドの厳しい冬をしっとりと表現するには、やはりアルペジオでポロロンと弾くのがよいかなあと思います。音の隙間に切なさをしのばせて情感たっぷりに弾けば、この曲の雰囲気をより引き立てることができるのではないでしょうか。

と言いながらも、ここは序盤ですし、あまりこってりさせすぎずにセッコを使っていくというのも上手な引き算だと思います。このあたりはもうお好み次第です。

アルペジオを前に出すor出さない

アルペジオの一番上がメロディラインになっていると言いましたが、このために「アルペジオを前に出す」という選択肢があります。

Dragonsongの出だしを例に見てみましょう。

右手のファ・シ・レをアルペジオで弾いています。アルペジオは下の音からポロロンと弾きますので、もし左手と右手が同時に弾き始めたら、左手の最初のシの音と右手のファの音が同時に鳴ることになります。

シとファが合う

ですが、右手のメロディはレの音です。出だしのメロディなので、遅れをとりたくありません。左手のシと、右手のレを同時に弾きたいのです。

シとレを合わせたい

じゃあどうするかというと、右手のファとシは左手に先行して弾き始めます。ゆっくりわかりやすく弾くとこういう感じです。

食い気味に弾き始めて、一番大事な音(メロディなど)をベースに合わせるのです。極端に言えば裏拍から入るイメージです。

逆に、前に出さない方が盛り上がるなあというフレーズももちろんあります。たとえばこちら。

クライマックスとも言えるフレーズなので、メロディを急ぐ必要はありません。むしろたっぷりと溜めることで感情の高ぶりを表現することができるでしょう。

このように、アルペジオをどんな速度で弾くか、前に出して弾くか弾かないかなど、曲想によって変えていくのがハープ演奏の醍醐味といえます。

アルペジオはいわゆる “ハープらしさ” を演出する奏法です。上手に使いこなして、ハープの魅力を上手に引き出してやりたいものです。

 

次回もFF14の名曲からハープの奏法をひも解いていきます。「この曲取り上げてほしい!」などのリクエストがあればぜひTwitterの方にお寄せください。それではまたお会いしましょう!

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