*コンサートの開演前に*
コンサートなどでよくプログラムと一緒に配られるプログラムノート(曲目解説)。みなさんは開演前に読まれますか?
お連れ様とのおしゃべりに花を咲かせていると、プログラムノートを開かずに開演の時間…ということもあるかもしれません。ですが、この曲目解説には、楽曲をより楽しむためのエッセンスが詰まっているんですよ✨
今日は、曲目解説の与える効果について、お話したいと思います⭐️
ところでみなさん、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルをご存知でしょうか。
『水の戯れ』『ボレロ』など様々な名曲を残したラヴェルですが、彼は晩年、記憶障害と言語症を患います。
文字を書こうとしても言葉が出てこない…そんな症状に悩まされていました。さらには手もうまく動かせなくなり、美しいメロディーを思いついても譜面に書きおこすことができなかったそうです。
「僕の頭の中には音楽が聴こえているが、それを譜面におこすことができない」と語ったという話も残っています。作曲家にとってそれは、どれだけ辛く、悔しかった事でしょうか。
そんなラヴェルが残したピアノ曲に、『亡き王女のためのパヴァーヌ』という曲があります。
どんな印象を受けましたか?
この曲はラヴェルが20代前半に作曲したものなのですが、こんなエピソードが伝えられています。
あるとき、記憶障害が進行していたラヴェルは、自分の作った『亡き王女のためのパヴァーヌ』を耳にしました。そしてその時、友人にこう聞いたというのです。
「この美しい曲を作ったのは誰ですか?」
私はこのエピソードを聞いてから、この曲が大好きになりました。
ラヴェルは、頭の中からぽろぽろと記憶が抜け落ちていくなかで、その美的感覚だけはけっして失わなかったのです。この悲しくも美しいメロディーを聞くと、”はじめて”その美しい旋律に触れたときのラヴェルの高揚した様子、そしてそれを見ていた周りの悲しそうな表情が目に浮かびます。うっとりとこの曲を聴くラヴェルに、これは貴方が作った曲なのですよ! と心の中で叫びたくなります。
美しい音楽の裏に悲しい物語がある。このエピソードを知らずに聴くのと知ってから聴くのとでは、感じ方が変わるように思います。
お芝居や映画などでも、悲しい物語を際立たせるために対比として幸せな物語を描くことがあります。
たとえば、主人公が一人ぼっちでとても寂しい気持ちになっているときに、街の人々は友達や家族や恋人と楽しそうに過ごしている…そんな描写を見たことがあるのではないでしょうか。
もちろん、仮にこのエピソードが存在しなかったとしてもこの曲は大変美しく、それはこの曲本来のすばらしさです。ですがたとえば、ある俳優さんの人柄を知ってからその人の演技がより好きになるのと同じように、作曲家の性格やその曲が作られた経緯などを知ることは、クラシック音楽をより好きになるキッカケになるのではないかと思います(*^^*)
作曲家も人間です。
ある曲は、
*大好きな人に献呈するために書いたのかもしれない
*失恋の悲しさを作品にする事で穏やかな気持ちになれたのかもしれない
*大切な思い出として残しておきたかったのかもしれない
*宮廷から依頼されて本意ではないものを仕方なく書いたのかもしれない
*身近な誰かの死を偲んで書いたのかもしれない
*何気なく手に取った詩集に曲をつけてみただけかもしれない
*誰のためでもなく神様と自分の対話のために作ったのかもしれない
何歳のときに、どんな精神状態のときに、どんな理由で、どんな気持ちで書いたのか?
曲の背景を知ると、もっと曲を聴くのが楽しくなります!✨
演奏者は音楽のことだけでなく、このような背景を勉強し深い理解を持って演奏することで、お客様に伝える努力をしなければなりません。それをよりクリアなものにしてくれるのが、プログラムノートだと思います。
プログラムノートは演奏者が、
この情報を是非知ってから聴いて欲しい!!!✨✨
というところをまとめたものです。愛情たっぷりに書いています♪
私たちも、みなさんに楽しんで読んでいただけるよう工夫して解説を書くように頑張りますので、ぜひコンサートに行く際には、開演前に目を通してから聴いていただけましたら嬉しいです♪
みずか
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わかりやすい説明ですね。これからも読ませていただきます(^-^)
コメントありがとうございます^ ^
これからも読んでいただけるとのこと、とても嬉しいです(*^^*)
興味深い記事になるよう、頑張ります♪