音楽家は移動の多い民族ですね! 飛行機で移動する機会もあると思いますが、その際大切な楽器をどう運ぶかが問題となります。
チェロくらいのサイズになると、楽器用にもう一席取るよりほかありませんし、ユーフォニアムやチューバは機内に席を取るか預けるか迷いますよね。コントラバスは預けるしかなくて、まぁいろいろ事故を聞きますが……。
ヴァイオリンやホルンのような、我々の認識では機内持ち込み組も、ときに空港のチェックインで揉めることも。また、ヴィオラは持ち込み可能かもう一席必要になるか、微妙なところです!
そこで今回は音楽家・音大生の声をもとに、「機内持ち込み楽器のアレコレ」、集めてみました。
1.格安航空は厳しい
格安航空は荷物に関してとてもシビアです。預け入れの荷物の重量超過にも厳しいし、楽器が引っかかる話もたくさん聞きます。
たとえばヴァイオリンの場合、ANAが公式に認めている〈機内持ち込みできる楽器ケース〉を持ってしても、格安航空のチェックインで止められることがあるそうです。
ジェットスターやAir Doのホームページには、規定を守れば楽器の機内持ち込みを認める記述があります。規定を順守した上で、「ホームページに書いてありますよね?」とこうしたものを「言質」にしての交渉が有力と思われます。
2.OKと明記がある会社
たとえばブリティッシュ・エアウェイズのホームページにはこうあります。
楽器は、ケースが持ち込み手荷物のサイズ制限を満たしている場合には無料の機内持ち込み手荷物許容量の一部として(追加としてではなく)機内へお持ち込みいただけます。機内に収納スペースがある場合は、サイズ制限を若干超える楽器のお持ち込みも可能です。
出典:ブリティッシュ・エアウェイズ公式サイト
このような航空会社なら安心して乗ることができますね。
そのほか、主だった航空会社の楽器に関する規定を調べたところ、多くが機内持ち込み手荷物の許容重量とサイズを下回るものなら可能という記述でした。サイズとは、多くのところで縦横高さ三辺の合計が115cm。これは一般的な四角いヴァイオリンケース、ヴィオラケース、ホルンケースは超過する恐れがあります。いずれも機内用ケースが販売されているので、準備した方が無難ではあります。
国際線の方が持ち込みに寛容と言われており、トロンボーンが持ち込めたという情報も。ちなみにわたくし自身はいつでも四角いヴァイオリンケースで乗っています。国内線でも9割方乗れるコツがあるので、のちほどお伝えいたします!
3.見た目が影響する??
これは音楽家同士の間でまことしやかにささかれていることで、具体的な証拠があるわけではないのですが、小慣れた調子でチェックインすると、突破できるという説があります。
あまりに当たり前の調子で相手をこちらのペースに乗せてしまう、プロっぽさを全力で醸し出して相手を圧倒する…etc.、びくびくしていると相手に見透かされる、というわけです。
とある大学の教授を務める先生は、いつでもどこでも楽器を止められると嘆いていました。どんなにコンパクトなケースを持っても揉めなかったことがなく、大体強めの交渉をして何とか乗せているそうです。反対に、そのあまりの余裕の雰囲気に、止められたことはない、という先生もいらっしゃいます。
あるいは、身長があれば比率的に楽器が小さく見えるから通れるのでは、という説もありますが、身長に関わらず貫禄で突破できていると思われる方は確かにいます。小柄な方も、お気を確かに。
有効な対策とは!?
国内線の場合、「機内持込手荷物」というタグがないと持ち込み不可能です。逆にこのタグさえあれば大丈夫。ということで、一度このタグをもらったらずっと取らない、というのはひとつ有効な対策です。
うまいこと、このタグをもらえれば占めたもの、機内持ち込み用ではない楽器ケースも突破可能です。また最近出てきたコンパクトなヴィオラケースなら、このタグを普通にもらえたという情報も。
ボロボロになっても付けていると、大体、チェックイン時に「そちら、新しいものに替えさせていただいてもよろしいでしょうか」と言われます。その際は「ぜひお願いします」とドヤ顔でどうぞ。
また、わたしが過去に一度使ったことがあるセリフをご紹介します。
そのときは、某フランス系航空会社でした。チェックインのときに「そちら(楽器)機内持ち込みですか?」と厳しい目で問われました。できない、というようなことを言われたので、わたしは精一杯オトナ感を出して言いました。
「去年こちらの航空会社で乗せていただいたので、今回もぜひ利用したいと思ったのですが」
その後、相手は渋々という感じでしたが、最終的には荷物用名札をいただき、乗せることができました。
会社に問い合わせたわけではありませんが、
・過去に同じ会社で乗せていること
・リピーターであること
この2点が強かったかな、と思います。
なおこの時の「去年も使った」というのは事実でしたが、これ、使えそうですね。どうやって使えるかって? 察してください。
みなさまの楽しい空の旅をお祈りしております!
※注意※
記載の情報は、ホームページの引用をのぞき、情報提供者の協力のもと、経験談に基づくものです。各社の機内持ち込みを保証するものではありません。ホームページ記載の情報も変更される場合があります。フライトの際は最新の情報をチェックして、対策方法などは個人の責任でご使用ください。
最新記事 by 原田 真帆 (全て見る)
- 次々に演奏し、ばんばん出版。作曲家エミーリエ・マイヤーが19世紀に見せた奇跡的な活躍 - 24.05.18
- ふたりで掴んだローマ賞。ナディア&リリ・ブーランジェ、作曲家姉妹のがっちりタッグ - 23.10.30
- 投獄されても怯まず、歯ブラシで合唱を指揮。作曲家エセル・スマイスがネクタイを締めた理由 - 22.11.07
- 飛び抜けた才能ゆえ失脚の憂き目も経験。音楽家・幸田延が牽引した日本の西洋音楽黎明期 - 22.09.28
- 「暗譜」の習慣を作ったのは彼女だった。クララ・シューマンという音楽家のカリスマ性 - 22.01.30