【レポート】ドイツで0歳からのリトミックレッスンMusikgartenに娘と通ってみた!

こんにちは、初めまして。ドイツ、ハレ在住ピアニストの大木美穂です。

ドイツの市立音楽教室ではしばしば、Musikgarten(ムジークガルテン)と呼ばれる0歳からのリトミック教室が開催されています。わたし自身、これがどういったものなのかずっと気になっておりましたが、なかなかタイミングが合わず見学できずにいました。

その後、昨年の秋に子どもが生まれ、3カ月くらい経った頃です。ベビースイミングやベビーヨガのコースを検索していたときに、ふと気になっていたリトミックのページを発見しました。ちょうど生後5カ月からのコースが始まる日が、子どもが5カ月になる日ということもあり、それならばリトミック教室に行ってみよう! と思い立ったのでした。

Musikgartenって?

音楽の庭という意味である「Musikgarten」と呼ばれている、0歳からのベビーミュージック講座。

Musikgartenの目的は、子どもが楽しく音楽と触れ合い、家族との生活の中に音楽を取りこませることです。遊びを通して音楽を感じ、自分で音楽をするようになることが目的です。Musikgartenのレッスンは、基本的には親子8〜10組程度のグループレッスン。みんなで歌ったり、踊ったり、音楽を聴いたり体験したりします。そうすることで、音楽が当たり前のものに感じられるようになります。長期的調査によると、音楽教育は子どもの成長にさまざまなポジティブな影響をもたらします。音楽的才能だけでなく、社会的行動や学習能力にもよい効果があると認められています
ドイツ音楽早期教育機構のホームページより抜粋)

私が参加したコースは、生後5〜6カ月の赤ちゃんとママ親子10組くらいのグループレッスンでした。期間は3カ月、週に一度、45分のレッスン。全12回。

私たちのグループも他のグループも、小さい赤ちゃんのレッスンはほぼ午前中開催でした。

内容も上記にあるように、歌ったり踊ったり。また音楽を聴いてそれに合わせて布を赤ちゃんの前でひらひらさせたり。

と、これではざっくりすぎるので、簡単に一回のレッスンをレポートしてみます。

レッスン内容の例

  • まずは赤ちゃん一人ひとりに先生がミニシンバルと歌で挨拶。これは毎回でした
  • 赤ちゃんを膝と太ももにのせて、歌に合わせてお馬さん遊び
  • 赤ちゃん一人一人にミニ楽器(これは日によって違う。シンバル、トライアングル、タンバリン、木の棒など)が配られ、叩いたり、なでたり、こすったり。いろいろ試させて音を出させる。その後はママが楽器でリズムをとりながらみんなで歌う
  • 先生がピアノを弾き、それに合わせてみんなで踊る(というか曲に合わせてノリノリで歩く)。先生がピアノを曲の途中でストップしたら、止まる(赤ちゃんの反応がかわいい)
  • 音楽をCDでかけて、それに合わせて赤ちゃんの前で布をひらひら
  • 楽器が配られ、ママたちが一人ひとり、四拍子の中でママ・パパをモチーフにさまざまなリズムをつける。マーマママ(休み)、パパパパママ(休み)のように
  • 大きいカラフルな布の上に赤ちゃんたちを乗せて、ママたちみんなで布をパタパタひらひらさせて波を作り、海をテーマにした歌を歌う
  • さようならの歌で挨拶(これも毎回)

と、こんな感じです。

こうやって書き出すととてもたくさんに見えますが、それぞれが長くても5分程度なので、これ全部で40〜45分でした。

歌は毎回歌う歌もあれば、新しいのが追加されることも。毎回歌う歌に関しては、ママたちもみんな一緒に歌いました。全部で20曲くらいは習ったのではと思います。

歌も、ドイツの童謡からチェコやロシア、フランスの童謡(歌詞は主にドイツ語)まで、さまざまでした。

気になる赤ちゃんの反応は?

楽器が配られ、生後5〜6カ月の赤ちゃんがまず一番はじめにとる行動は……

ですよね。

口に入れます。

先生はこのこともわかっており、赤ちゃんに渡される楽器は「口に入れてもいいよー」と言わせるか、逆にダメなものは「これは口に入れないように気をつけてください」と言われました。

中には配られるとほぼ同時にこんな体勢で口に入れる子も。

ちなみに後ろに横になっているぬいぐるみは、先生がいつも赤ちゃんの代わりとして何かをして見せるときにいつも使っていました。

最初の頃は、多くの赤ちゃんはレッスン中泣いたりぐずったりすることもしばしばあったものの、回数を重ねるにつれ、笑ったり反応したりすることが増えてきました。

期間も3カ月ということもあり、レッスンを始めた頃はごろ寝体勢だった赤ちゃんたちも徐々に座れるようになり、成長がはやい子はハイハイして動き回るようになっていました。

早期音楽教育をすれば音楽の才能が目覚める?

リトミックに通わせれば音楽の才能がある子になるのか? と聞かれれば、人によると思います。

そもそも0歳の子どもと一緒にリトミックに通うママさんたちの目的は、多くの場合、そこではないように感じます。

子どもが生まれ、家事や育児に追われて時間がない……心に余裕がない……とならないよう、週に一度、音楽の時間を作る。子どもと一緒に笑い、歌い、踊る。

45分のレッスンを終えて出て行くママたちは、来たときよりも晴れやかな笑顔を見せて帰っていくように見えました。

筆者が思うMusikgartenをするメリット

ということで、筆者が体験してみて感じた、親子にとってMusikgartenをするメリットを挙げてみます。

  1. 毎週同じ時間に同じところに行き、毎回同じ音楽の挨拶から始まり、音楽の挨拶で終わる。習慣づけによいかも!
  2. 他の同じ年齢の赤ちゃんをもつママ・パパたちと出会える
  3. ママパパにとってもよい気晴らしになる
  4. 小さい頃に聞いていたけど忘れかけていた伝統歌や童謡をもう一度おさらいできる
  5. 新しい歌も学べる
  6. 普段あまり音楽と触れ合わない家庭のママも、どうやって音楽で遊ぶか学べる
  7. レッスン後は、ママたちが歌を口ずさむ時間が明らかに増える
  8. それによって赤ちゃんもご機嫌に!

音楽が身の回りにある生活を

日本のリトミックレッスンも早いところだと0歳からスタートするところもあるようです。

子どもの成長は本当にはやいもの。普段仕事や家事をこなすママパパさんたちはとっても忙しい毎日になりますが、週に一度、こうやって子どものためだけの時間を作り、一緒に歌を歌って遊んだりする時間はきっとその後もよい思い出になりそうです。

子育ては大変なことも多いけど、かけがいのないこの時間を、子どもと一緒に楽しく過ごせたらよいですよね。

子育て中の皆さん、どうぞすてきな時間をお過ごしください!

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栃木県出身。3歳からピアノを始める。2010年、横浜国立大学音楽教育課程在学中に日本政府より奨学金給付を受け、ドイツ、エアフルト大学に一年間留学。2013年よりドイツ、ハレ在住。2017年、マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク器楽教育ピアノ修士課程を最高得点で修了。2019年よりエアフルト大学にて音楽教育科にてピアノとアンサンブルの授業を受けもち、後進の指導をしている。現在、ザクセン・アンハルト州より研究奨学金を受け、ハレ大学博士課程にて、スポーツ心理学を応用した音楽家のためのメンタルトレーニングについて研究中。ピアノ演奏、研究、ピアノ指導のかたわら、ドイツ語翻訳及び通訳、メンタルトレーニングコンサルタントをおこなっている。