教員免許は取る? 音楽学部を出て「学校の先生」になるということ

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こんにちは、じゅあんです。

前回は私の人生で “初コラム” となる「何歳から追いつける? ピアノ科受験のタイムリミットを検証」を執筆させていただきました!

初めましての方にむけて改めて自己紹介させていただくと、私は国立音楽大学附属高校音楽科(ピアノ専攻)から国立音楽大学を卒業し、その後はピアノやソルフェージュを教えながら午前中は私立高校の非常勤講師をしています。そしてこの3月に仕事と並行しながら東京学芸大学大学院の音楽教育専攻を修了しました。

前回の記事でも書いたのですが、私は「ピアノ科」に入ることだけを目標としてしまって、将来については「ピアノの先生になれたらいいな~」なんてぼんやりとしか考えていませんでした。ではなぜ今、私は教員をやっているのか? 今日はこの音楽を生かした仕事のひとつである「音楽科の教員」について書いてみようと思います。

音大から教員へ

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「音楽学部」の学生たちは基本的には「演奏したい」「専門領域で勝負したい」という気持ちが強いと思います。これは当たり前の感覚だとも思います。ですから音楽学部の学生たちにとっての教員免許取得というのはどちらかというと教員を目指しているのではなく「一応、教員免許、持っていた方がいいよね」という保険的な感覚の場合もあるわけです。正直言いますと私も当時は “将来の保険” という意識で教員免許を取得しました。

大学4年生の時に、安定している音楽の仕事を求めて「非常勤講師なら音楽だけ教えられればいいじゃない!」なんて軽い気持ちで数校へ応募しました。その中から一校の私立高校から採用通知を頂けました。

しかし現実はそんなに甘くなかった…。私の勤務先は高校でも音楽は必修科目でした。なので音楽が好きな子もいるけど、苦手な子・嫌いな子もいる。そして新学期を迎え、すでに5月も終わる頃になると私の授業を聞いている子はごくわずか…わずかでもいればよかったほうかも…というくらいでした。

授業で求められる「技術」

「先生」は50分の授業の中で伝えるべきことや活動する内容を組み立て、かつ興味をわかせるような話し方や指示をしなければ、生徒の集中力は5分もすれば切れてしまいます。

この音楽がどんな背景で生まれたのか? 構成は? 魅力はどこか? その中にグッと引き付けるエピソードも混ぜる。また、教室の後ろまで届く声で話すこと。一見簡単そうですが、これを実践するのはなかなか難しいものでした。

また、生徒が歌うときに先生はピアノ伴奏しますが、それまで散々ショパンやリストを弾いてきたのだから教科書の曲ならお手の物! と思いがちです。しかし楽譜を見ていたり、手元を見ていては生徒はそのうち「私たちを見てないな」と感じるので、生き生きと歌うことをやめてしまいます。そこで必要なのは「生徒の様子を見ながら伴奏する力」です。「自己陶酔型演奏」はもっとNGなのは言うまでもありません!

音楽学部と教育学部

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私はその後、教育学研究科の大学院を受験することになるわけですが、その結果として音楽学部と教育学部音楽専攻の違いに直面しました。当たり前に思われるかもしれませんが、決定的な違いを整理すると…

  1. 教育学部は教員免許取得が卒業要件に含まれている(音楽学部は教員免許取得は任意)
  2. 教育学部はピアノも声楽もレッスンするし、勉強もする。つまり音楽科教員になることを目的としたカリキュラムが組まれている。音楽学部は「専攻している音楽に絶対的な自信を!」となるカリキュラムが主軸となっている。
  3. 教育学部のキャンパス内には音楽や芸術を専攻していない学生(要するに一般教科の専攻生)も一緒に勉強する。また何かあれば「みんなで一緒に協力する」ことを基本としている。音楽学部ではとにかく、毎週あるレッスンが重要。気の合う仲間ももちろんいるけど、ひとりでいても結構平気だったりする。

特に2.ですが、小中高の音楽科の授業では現在、日本の伝統音楽や諸外国の民族音楽も含めた広域にわたる教育が求められているので、主に西洋音楽を中心に勉強している学生が多い音楽学部で教員を目指すには、多岐に渡った音楽分野の科目を自ら履修していく必要性も求められていると言えます。

音楽教育と音楽科教育

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私はピアノとソルフェージュも音楽教室で教えているので、学校の教員と並行して仕事をしています。一般的には前者を「音楽教育」と呼び、後者を「音楽科教育」と呼びます。

音楽教育の面では自分で試行錯誤することができるのですが、音楽科教育の中では前述の「求められている音楽技術の違い」にとても戸惑いました。その後大学院受験に踏み切るわけですが、結果としては両方に所属してみたからこそ、それぞれの良さと課題が見えました。

もちろん、音楽学部を卒業して専任教員としてご活躍されている先生も大勢いらっしゃいます。ただ実際に教壇に立った際に求められるのは、音楽力や演奏力だけではないということ。強い気持ちで音楽科教員になりたい! ということであればやはり教育学部進学を目指した方が現場に出た時の対応力が違うと個人的に思います。

「大学で音楽を学ぶ」と言っても、進路によってアプローチは多種多様。もちろん、卒業後の適応力でカバーできることもありますが、これから音楽で進学や就職を、考えたり迷われている方のご参考に少しでもなれば、これまた幸いです。それではまた!

じゅあん

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ABOUTこの記事をかいた人

国立音楽大学附属高校音楽科を経て国立音楽大学卒業。その後、ピアノ・ソルフェージュの指導をしながら都内私立高校音楽科講師。(株)厚木楽器にて音楽芸術コース・ソルフェージュ科講師。2016年3月東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。