こんばんは!COSMUSICA編集長のノリコ・ニョキニョキです。
私は東京芸大の音楽環境創造科という科を卒業しておりますが演奏の方はからっきしだめだめです。いや音楽の環境創造もできないんですけれども。
ですが趣味で5年ほど習っている楽器がありまして、それがハープです✨
しかし先日突然、プロのハープ演奏を生で聴いたことがほとんどないという衝撃の事実に気がつきまして。(気づくのが遅い)
これはいかんと思った矢先、今年芸大のハープ専攻を卒業された斎藤樹里さんの演奏会が催されることを知ったのです。なんというタイミング!
というわけで今日はその演奏会レポートを書こうと思ったのですが、せっかくの機会ですのでみなさんにハープのことを少しでも多く知っていただきたく、ちょっとした解説を挟ませてください😊
ハープってどんな楽器?
実はハープにはいくつか種類があります。すごく大きくわけてると2つの種類がありまして、
①オーケストラにのっているようなグランドハープ
②膝にのるような小型〜150センチくらいのレバーハープ
があります。
グランドハープ
出典:Salvi Harp ウェブサイト
グランドハープは、高さは2mほど、重さは40kgほどもあるサイズも音量も大きい楽器。弦の本数は47本で、ドレミファソラシド…というように並んでいます。ドは赤い弦、ファは青い弦になっているので見やすい! 譜面はピアノとそっくりのものを使用します。
足元に7本のペダルがついていて、それぞれドレミファソラシに対応しています。それを操作することで半音調整ができるんです。たとえばファに対応したペダルを踏み込むと、全てのファがシャープするという感じ。
非常に上品で華やかな音が出る魅惑の楽器ですが、お値段も張るので気軽に始めることは難しい…😭
レバーハープ
基本的なことはグランドと同じですが、レバーハープには、ペダルがついていません。その代わり楽器の上部にレバーがついていて、これを上げることで半音シャープさせることができます。
レバーが全て下がっている状態で、シとミとラがフラットしているので、弾ける曲はフラットが3つ〜シャープが4つまでの曲に限定されます💡 そして演奏中にレバーを操作する場合、タイミングを見て左手でちょいっと上げるような形ですので、ちょっとした臨時記号にしか対応できないのです。
ひざ乗りサイズの「サウルハープ」と、もう少し大きな「アイリッシュハープ」があります。サウルハープは背負って電車移動もできますし、気軽に始められるという点で魅力があります✨ アイリッシュハープは、ケルト音楽などで用いられて、民謡演奏や弾き語りなどにぴったりです。
では紹介はこのくらいにしていよいよ本題です!
斎藤樹里さんのハープコンサート
今日伺ったのは、ハープ&フルートサロン銀座十字屋さんが開催するランチタイムコンサート。毎週水曜日の12:30-13:00で開催されており、なんと入場無料! これは2006年から続いていて7/6(水)はランチタイムコンサート500回記念だそうです✨
十字屋は有楽町線銀座一丁目駅8番出口を出るとすぐです。十字屋のお教室のロビーで開催されるコンサートなのでとてもこじんまりとしているのですが、奏者との距離も近いし、ステージを取り囲むかたちで椅子が配置されているので、どこからでもよく見えて勉強させていただくには最高です。
さてここで改めて斎藤樹里さんのご紹介をしたいと思います。
ハープ奏者 斎藤樹里(さいとう・じゅり)
静岡県出身。第27回日本ハープコンクールプロフェッショナル部門第2位、第24回アドバンス部門第3位。第13回大阪国際音楽コンクールハープ部門アヴニール賞、第16回第2位。第18回静岡音楽館AOI主催「静岡の名手たち」オーディション弦楽部門に合格、併せてロダン賞を受賞。
ハープを篠崎史子、松井久子、木村茉莉、故篠田淳の各師に師事。京都フランス音楽アカデミーにてI.モレッティ、ニース夏季国際音楽アカデミーにてE.セソンの各師のマスタークラス受講。静岡雙葉学園を経て、東京藝術大学卒業。現在同大学大学院修士課程1年在学中。
スタッフの紹介のあと、とても和やかな笑顔で舞台にのぼった斎藤さん。わあ、お召し物がすごくすてき!!(そこ?)
こういう黒いドレスでした。ウェストのリボンは赤くてそれがまたかわいかったです。
曲目は、
『イマージュ第4組曲』より 農民の踊り /M. トゥルニエ
Images Suite No. 4, III. La Danse du Moujik / M.Tournier
グノーのオペラ『ファウスト』の主題による幻想曲 / A.ツァーベル
Fantaisie Op.12 sur Faust de Gounod / A.Zabel
ジャズバンド / M.トゥルニエ
Jazzband / M.Tournier
という3曲で、しょっぱなから大曲です!
1曲目と3曲目を作曲したマルセル・トゥルニエ(1879-1951)は作曲家でもありハープ奏者でもあるので、ハープならでは魅力を引き出すような技巧がたっぷり。もちろん難しい曲なのですがそれを全く感じさせない演奏で、私の知ってたハープの魅力や可能性って本当にごく一部に過ぎなかったんだなと感じました。
2曲目は有名なオペラ『ファウスト』のモチーフを使ったこれまたボリューミーな一曲。ころころと表情を変え演奏されていく様子はひとつの大きな物語を一緒に追いかけているような気分になります。
3曲目は趣向が変わってリズミカルなナンバー。ハープの表現の幅、広いです…!
一音一音がとても心地よく響いて空から光が注ぎ込んでいるかのよう。夢のような30分はあっという間にすぎ、演奏会のあと、ずうずうしくも声をかけさせていただいて、ちょっとしたインタビューをさせていただきました✨
プチインタビュー
暗譜ってどうやるんですか?
めちゃくちゃ個人的な質問やないかい!と思ったあなた。ごめんなさい。その通りです。
だって本当に長い曲をさらさらさら〜っと弾きこなすんですもの!どうなっているの!
斎藤さん「暗譜に関しては、実は大学に入ってから壁にぶつかったんですよ。小さい頃は体で覚えていて、それで全然大丈夫だったんですけど、大学に入ってからそのやり方では安定しないことに気づいて…。ハープはペダルを踏むタイミングも覚えなくてはいけないんですが、現代音楽だと調性もなくなおさら覚えるのが大変です。今は体だけではなく頭も使って覚えるようにしていて、練習中に『ファ#!』と口に出すようにしたり、弾かずに譜面だけ眺めるという時間を作ったりしています」
なるほど…! 確かに考えてみたら古典以上に現代音楽の暗譜は大変に違いない。それを一度に何曲も覚えるのですから本当にすごいです。
いやそれにしても個人的な質問をしてしまった。次こそ、読者が興味を持ってくれそうな質問をするぞ!
練習してると体痛くなりませんか?
すみません。(土下座)
でもね、ハープを構えている姿を見ていただくとわかると思うのですが、非常にいびつな体勢なんですよ。個人的には結構背中がくるんですが、やっぱりプロの方はもう慣れたものなんでしょうか?
斎藤さん「痛いです! 私は幸いにも腰痛はないんですが、肩こりは結構あります。まわりには腰痛がつらいという方も多くて、すごく大変そう…。ただコンクールの3次とかになると40分くらい弾くのでそれはもう慣れですね。体がつらいときはカイロプラクティックに行っています」
やっぱりつらいんだ!なんだか安心😊(なんのこっちゃ)
…というわけで終わりです。私の個人的な質問をぶつけて、終わりです。でも本当に有意義な時間でした!
なんだかハープが気になってきたという方、ハープの魅力に無料で触れられる十字屋のランチタイムコンサートは本当に気軽に立ち寄れておすすめなのでぜひ足を運んでみてくださいね♪
ノリコ・ニョキニョキ
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