トップ画像は筆者のケースですごめんなさい。でも、自慢の楽器ケースなんです。
あれは6年前のこと。自分の求める条件がすべて揃った楽器ケースを、1年半かけて探し抜いた末にこの子と出会い、以来ずっと愛用しています。
そのとき苦労した経験から、長年「楽器ケースレビューをやりたい」という思いを胸の中で温めてきましたが、ついに実行します! ケースを購入するときに確認したいポイント《20》や、主要各社のケースの特徴をまとめました。ケースの価格と重さも全て調査! 唯一無二のヴァイオリンケース比較、とくとご覧あれ!
ヴァイオリンケース激動期
この10年をわたしは「ヴァイオリンケース激動期」と名付けているのですが、理由はふたつあります。
ひとつは、2006年に放送されたドラマ「のだめカンタービレ」にて、瑛太さん演じる峰龍太郎が持つビビッドな色のケースが大ブームになったこと。それまでシックな色が多かったケースの常識を打ち破る、情熱的な赤でした。
ふたつ目のワケは、今から6〜7年前に起きた「機内持込可能手荷物のサイズ厳格化」により、飛行機に従来のヴァイオリンケースを持ち込むことが難しくなったこと。それをきっかけに、各社がそのサイズ規定内のケースを開発し、今ではコンパクトなケースがかなり増えました。
そんな激動期にあって、買う方も選び放題となった今は、機能性、価格、重量など、比較する対象がたくさん。一体何を目安にケースを選んだらいいの? ということで、ケースを選ぶときに確認したいポイントを考えてみます。
ケースを買うときはここを見ろ!
それでは「好みが分かれる項目=奏者のこだわりどころ」20点を挙げてみます!
楽器ケースの決め手20
- 角型かひょうたん型か
- 木製布張りかハードケースか
- チャックか留め具か
- 鍵付きかどうか
- 紐はリュック型か片提げ型か
- リュック型の場合、金具の位置はどうか
- 持ち手の握り心地
- 足付きかどうか
- 縦にしたときの持ち手の有無
- 楽譜ポケットの有無・位置
- 楽譜ポケットのサイズ・容量
- 弓は何本入るか
- 弓を留める部品の形状
- 弦ホルダーの有無
- 小物入れの形状や位置・容量
- 楽器周りのクッションの形状
- 楽器を留める紐の有無
- 楽器のお布団(カバー)の有無
- 湿度計の有無
- ケースを開いたときのバランス
ポイントを解説!
以上の20の項目を、簡単に解説していきます。これは、必ず見なくてはいけないポイントではなく、自分の好みに沿ったケースを探すためのチェックです。もし「どちらでもよい」項目があれば飛ばしてください。
1.ケースの形はもっとも大きな分岐点です。オブロング(角型)か、ひょうたん型系列のシェイプか、最大の違いは重さでしょうか。そして2.素材もわかりやすい違いです。オーソドックスな木製布張りタイプか、ツルツルピカピカ、カーボン系の素材でできたハードケースか。布張りならバッジやワッペン、ハードケースはシールでの装飾も可能です。3.チャックか留め具か問題は、かなり好みが分かれます。木製のケースはチャック、ハードケースは留め具の傾向にありますので、この点も考慮して素材を選びましょう。留め具なら完全防水などと言われていますが、浸水被害例も聞いたことがあるので、一概には言えません。
4.鍵付きかどうか、気になる方もいるでしょう。ダイヤル式も最近増えました。5.紐はリュック型か片提げ型か、ご自分のライフスタイルや体の調子に合わせましょう。6.リュック型の場合、金具の位置はどうかというのは、リュック型には金具3点方式と4点方式がありまして、背負い心地がかなり変わります。7.持ち手の握り心地は実際に触ってみないとわかりませんが、きゃしゃな手の人には、太いグリップは持ちづらいですよね。
8.足付きかどうか。これはケースを縦にしたときに役立つもので、転倒事故を防ぐ効果アリ。9.縦にしたときの持ち手の有無は、電車などで縦に持ちたい人には欠かせないチェック項目です。上の写真が持ち手アリのサンプルです!
10.楽譜ポケットの有無・位置は、日頃の鞄との兼ね合いも考慮します。オーケストラなどの大判の譜面は、楽器ケースに入れられた方が便利ではあります。ポケットはケースの蓋についているものが多いですが、ケースの底面にあるものも。底にあると、ケースを横に置いたときに倒れにくいというメリットがあります。併せて11.楽譜ポケットのサイズ・容量も気になります。
12.弓は何本入るか、シェイプ型だと2本程度が多く、角型だと4本入るものが多いです。13.弓を留める部品の形状は、弓の先を差し込む部分や、弓の元を留める部品の好みがあれば、チェックしましょう。また弓ホルダー付近で言うと、14.弦ホルダーの有無も確認したいところ。
内装を見ていきます。15.小物入れの形状や位置・容量は、松ヤニや肩当てなど、どれだけグッズを入れたいか、自分の都合を考えます。16.楽器周りのクッションの形状は、フカフカが良いか、さらっとしたほうが良いか、お好みに合わせて。
そして17.楽器を留める紐の有無も意外に気になるところ。マジックテープ式もあります。紐があればうっかりケースがひっくり返っても安心です。18.楽器のお布団(カバー)の有無は本当に好き好き。お布団がなくてもスカーフで包めば大丈夫です。19.湿度計がデフォルトでついているケースもいくつかあります。また後付け用の湿度計も販売されています。
20.ケースを開いたときのバランスはなかなか重要です。バランスとは、開いて楽器を出すときに、ケースが自立するかどうかということ。楽譜ポケットの中身が重すぎると倒れてしまうケースもあれば、ケースの蓋が直角に開いたところで止まるよう、本体と繋ぐ紐が付いているタイプもあります。
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