藝高入試直前! 長期戦に向けて備えておきたいこと

年も明け、いよいよ一年のうちでもっとも寒い季節がやってきました。毎年大寒の頃におこなわれるのが…東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校(息切れる…以下・藝高とします)の入学者選抜試験です。

藝高受験の特徴は入試期間が通常の高校入試よりも長いこと。連日試験があるため、まるで甲子園を勝ち進んで毎日試合があるような過酷さなのです。

誰にとっても大変な試験ですが、特に地方組は宿泊を必要とするため不安要素が多いと思います。そこで今回は藝高出身の筆者が、個人の経験を元に、藝高入試で備えたいものをまとめてみました!

泊まる人も通う人も

上野公園の桜

まずはすべての人に共通することについて。

受験票と楽器は死ぬ気で持ってください。これがなかったら始まりません。

そしてとにかく冷え対策。学校に行くまでに冷えます。しかし電車が蒸したり、校内も入試時は本気で暖房を入れるので、思いがけず暑くなることもあります。ヒートテックのような下着に頼りすぎず、着脱できるものを活用しましょう。

また校舎の廊下が結構ツルツルしているので、雨の日は注意してください。雪が降る季節でもあり、受験と雪がヒットした年も少なくありません。もしものために交通機関も含めて雪対策を考えておきましょう。学校へ行くときと試験で演奏するときの靴を分けるという手もあります。学校に着くとまず控え室に通されるので、そのタイミングで履き替えれば大丈夫です。

わたしは栃木出身のため受験は通おうと考えていましたが、万が一雪で電車や新幹線が止まった場合を考慮して、当日キャンセルができる宿を確保していました。

泊まる人へ

前述の通り試験は自宅から通うつもりだったわたくしですが、結局とある理由で泊まることになったので、泊まる人の気持ちもわかります。宿泊を必要とする地方の方は参考にしていただければ幸いです。

まず前日に前乗りする方がほとんどと思います。19 日の詳細スケジュールの掲示を見に行くのを忘れないでくださいね。

事前に確保したいのが当日練習できる環境。藝高にて与えられる音出し時間だけでよいなら必要ありませんが、学校に行く前に音出ししていかれる方が多いです。上野近隣のスタジオを借りたり、またはホテルのカラオケボックスなどを使わせてもらえるところもあるので、調べてみてください。

持ち物としてはまず試験のときに着る服。試験は 3 つないしは 4 つありますので、着まわしを考えておくと当日焦らなくて安心です。服に関しては、全部制服で受ける人、実技は私服で筆記・面接試験は制服、全部自前のなんちゃって制服を着る人など、いろいろです。

そして“安心”できるアイテムを備えましょう。もしものための風邪薬解熱剤頭痛薬はしのばせたいですね。演奏などで体を痛めたときにつかう湿布なども入れましょう。またホテルは乾燥しますから、寝るときにマスクを着用して、湯船にお湯を張って寝ると良いでしょう。

楽典関係の本やノートもお忘れなく。試験の直前に楽語の復習ができるものもあるといいですね。

学科試験用の筆記用具は、使い慣れたものを用意します。ここは一般的な高校入試と同じです。持ち物に関しては募集要項をよく確認してください(コンパスとかコンパスとか)。

ちなみに、わたしは試験以外のときに着る服をまるっと忘れて、着た切り雀になりかけました。途中で春のようにやたら暖かい日があって、服を買いました。レアですが思いがけず暑い日があることも…とはいえ、都内ですから何でもすぐに買えますので、お荷物はどうぞ無理せずに!

学科の日

例年ですと学科の日は試験がお昼をまたぎますので、実技を通過したら昼食のことも考えましょう。わたしのときは外に出て食べることもできました。まわりに聞いてみたところ、コンビニで買った子から、近くの美術館のカフェなどを利用した子までさまざまでした。もちろん持ち込んで学校で食べることもできます。

病気や怪我のとき

ところで、万が一病気やけがをしてしまったら、どのようにしたらよいでしょうか?

普通の風邪などについては自己責任ですが、学校で登校禁止になるような病気(インフルエンザなど)にかかった場合、一般論としては在学中の学校と受験先の学校に相談するのが筋なようです。受験を止められるか、別室受験ができるか、それはケースバイケースですので、受験担当の先生に相談するようにしてください。

けがの場合も、まずは相談してみることが大切です。そして受けられるならがんばってください。実はわたしは、年明けすぐに体育の授業でけがを負い、左足首の靱帯損傷により松葉杖で受験しました。

事前の日程発表を母が見に行き、そのとき事務室に声をかけて事情を伝えたら、入試担当の副校長先生がいらして話を聞いてくださいました。通常ヴァイオリンは立って演奏しますが、ご相談したところ椅子に座っての受験も認めてくれました(結局立って弾きましたが、当日まで椅子の選択肢を残しておいてくれたのです)。

試験当日は誘導の人を多めにして付き添ってくれたり、保健や体育の先生自らサポートしてくれたりとても親切で、少人数の学校だからこその手厚さを感じました。あとから聞けば、わたしは初の松葉杖受験者だったようですが、こんなわたしも合格できました。けがをしても作曲・演奏できる状態ならば、とりあえず相談してみましょう。チャンスを失うのはもったいないです。

当日は時間に余裕を!

当たり前のことで恐縮ですが、試験当日は時間に余裕を持って出かけてくださいね。特に注意したいのが、藝高入試は土日も構わず決行するため、電車の時間。休日ダイヤは電車が思いがけず少なかったり通過したりするので、まず時刻表を調べること、そして早めに出かければ万が一列車の時刻を勘違いしても大丈夫でしょう。

なお入試期間中は藝高の正門からしか出入りできません。学校説明会などで裏門的なもの(ただのフェンス)を見た事がある方もいらっしゃると思いますが、閉鎖されますのでご注意を。裏口入学はできない、ということでしょうか…お後がよろしいようで! みなさまの合格をお祈りしております!!

ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校・同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程1年在学中。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。